覚醒
「オヤジ」
「マルコか…」
「ララは?」
「…知らねェなァ」
「………。
あんまりあいつを甘やかすなよぃ」
「グララララ!
娘を甘やかすのは父親の特権だろうが」
「ったく…
ほどほどにしといてくれよぃ…」
マルコは肩を竦めてため息を漏らした。
白ひげのララに対する甘やかしはまだまだ続くよう。
呆れるしかない。
「………」
その頃ララは静かに海面を裸足で歩いていた。
ピチャピチャ、と水音が歩く度に聞こえる。
「………水…龍」
静かなララの声が響く。
その瞬間。
——ザバァアアン!!——
海中から突き上げるように何かが彼女の目の前に現れた。
ララの何十倍もある海の王、海王類が。
『えっと……?
あなたが私を呼んでたの…?』
「………」
ララは何を思ったのか、目の前の海王類が声の主だと勘違いしたよう。
そんなこと、あるはずがないというのに。
海王類の出現に当然、船上では大騒ぎになる。
白ひげもマルコも目を見張った。
「グララララ!
こりゃ、とんでもねェもん呼び寄せたなァ」
「笑い事じゃねェよぃ!
あの馬鹿!!」
呑気に笑う白ひげに対してマルコは焦っていた。
恐れていたことが起きてしまった、と。
いつも口をすっぱくして海へ出るな、とララに言っていたわけはこれだった。
何が起こるかわからないグランドラインの海に一人で出るのは自殺行為に等しい。
海王類に遭遇した日には命の保証はないだろう、と。
マルコは自分が能力者にも関わらず、腕を不死鳥化してララを助け出そうと海へ飛び立とうとした。
「待て」
「…なんだよぃ」
「まだだ」
そこへ、マルコの動きを止めるシャルの一声。
神獣化して鋭い目つきで海王類と対峙するララを見つめている。
「……まだ?」
「今お前が行けば死ぬぞ」
「心外だねぃ。俺が海王類一匹にやられるとでも?」
「そうではない」
「?」
「いいから見てろ」
二人の視線の先には海王類を不思議そうに見上げているララの姿が。
自分の置かれている状況を全く理解していないよう。
涎を垂らして今にも食われそうになっている。
クルー達が騒ぎ立てて、ビスタが身を乗り出して彼女を助け出そうとしているのをマルコが必死で食い止めた。
自分も助けたい気持ちをぐっと堪えながら。
「グギャアアアアア!!」
『!』
「ララ!!」
海王類が雄叫びを上げてララに食いかかろうとした。
彼女はぎゅっと目を瞑り、衝撃を覚悟する。
『?』
「!」
だが、いくら待てども痛みは襲ってこない。
さっきまで騒がしかった船上も鎮まり返っている。
ララは恐る恐る、閉じていた瞼を開けた。
.
「マルコか…」
「ララは?」
「…知らねェなァ」
「………。
あんまりあいつを甘やかすなよぃ」
「グララララ!
娘を甘やかすのは父親の特権だろうが」
「ったく…
ほどほどにしといてくれよぃ…」
マルコは肩を竦めてため息を漏らした。
白ひげのララに対する甘やかしはまだまだ続くよう。
呆れるしかない。
「………」
その頃ララは静かに海面を裸足で歩いていた。
ピチャピチャ、と水音が歩く度に聞こえる。
「………水…龍」
静かなララの声が響く。
その瞬間。
——ザバァアアン!!——
海中から突き上げるように何かが彼女の目の前に現れた。
ララの何十倍もある海の王、海王類が。
『えっと……?
あなたが私を呼んでたの…?』
「………」
ララは何を思ったのか、目の前の海王類が声の主だと勘違いしたよう。
そんなこと、あるはずがないというのに。
海王類の出現に当然、船上では大騒ぎになる。
白ひげもマルコも目を見張った。
「グララララ!
こりゃ、とんでもねェもん呼び寄せたなァ」
「笑い事じゃねェよぃ!
あの馬鹿!!」
呑気に笑う白ひげに対してマルコは焦っていた。
恐れていたことが起きてしまった、と。
いつも口をすっぱくして海へ出るな、とララに言っていたわけはこれだった。
何が起こるかわからないグランドラインの海に一人で出るのは自殺行為に等しい。
海王類に遭遇した日には命の保証はないだろう、と。
マルコは自分が能力者にも関わらず、腕を不死鳥化してララを助け出そうと海へ飛び立とうとした。
「待て」
「…なんだよぃ」
「まだだ」
そこへ、マルコの動きを止めるシャルの一声。
神獣化して鋭い目つきで海王類と対峙するララを見つめている。
「……まだ?」
「今お前が行けば死ぬぞ」
「心外だねぃ。俺が海王類一匹にやられるとでも?」
「そうではない」
「?」
「いいから見てろ」
二人の視線の先には海王類を不思議そうに見上げているララの姿が。
自分の置かれている状況を全く理解していないよう。
涎を垂らして今にも食われそうになっている。
クルー達が騒ぎ立てて、ビスタが身を乗り出して彼女を助け出そうとしているのをマルコが必死で食い止めた。
自分も助けたい気持ちをぐっと堪えながら。
「グギャアアアアア!!」
『!』
「ララ!!」
海王類が雄叫びを上げてララに食いかかろうとした。
彼女はぎゅっと目を瞑り、衝撃を覚悟する。
『?』
「!」
だが、いくら待てども痛みは襲ってこない。
さっきまで騒がしかった船上も鎮まり返っている。
ララは恐る恐る、閉じていた瞼を開けた。
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