覚醒
「こんな時間にどうした?なんか用かぃ?」
『起きてるみたいだから、おやすみ言おうと思って…』
「そうかぃ。おやすみ」
『………』
「?
ララ?」
『マルコは寝ないの?』
「もう寝るよぃ」
ララはマルコを心配していた。
昨夜も今日も連日、遅くまで仕事をしている。
日に日に目の下のクマが濃くなっていく姿に彼女はいつか倒れるのではないか、と心配していた。
だが、それもやむを得ないだろう。
他の隊と違って一番隊は全ての隊の取りまとめ役を担っている。
だから他の隊の隊長より仕事が倍以上あり、それを彼一人で今までしてきた。
毎晩徹夜になるのは当然だろう。
『明日からマルコのお手伝いちゃんとするからね!』
「頼りにしてるよぃ」
『えへへ…』
「さっさと寝ろぃ」
『はーい!
おやすみ、マルコ!』
頼りにしている、というマルコの言葉にララは嬉しそうに表情を緩めた。
そして笑顔で彼の部屋から離れ、自室へと戻っていく。
これから寝る人間とは思えない程、元気に。
マルコは笑みを溢しながらその背中を見送った。
『流石に寝よっと。眠いや』
自室に戻ったララはゴロン、とベッドに横になる。
首からさげていた青いネックレスのトップが転がり、彼女の視界に映った。
海のように青く、宝石のように輝くそれが。
何気なしにララはそれを手に取り眺めた。
『あれ……
こんなのあったっけ…?』
ふと、ララはネックレスの異変に気づく。
数日前までは透き通るように青い、ただの球体状の宝石だった筈。
だが、彼女の瞳に映るそれには龍の絵が浮かび上がっている。
肌身離さず身につけていたが、いつからこうなっていたのかは不明。
『………。
……水…龍……?』
浮かび上がったその龍の絵にララの頭にそんな言葉が、浮かんだ。
見た事も聞いたこともない、その龍の名を。
「……寝ないのか?」
『!
シャル、いたんだ』
「早く寝ろ」
『?
うん……?』
ベッドの傍らに黒猫の姿で丸まっていたシャル。
ララの思考を遮るように声をかけた。
この件に関してシャルは何も助言をしたことがない。
何か知っているようにも思える。
彼女が何かに気づくのを恐れているようにも。
その夜、ララは鍛錬で流した汗を洗い流す為に部屋に備えつけのバスルームでシャワーを浴びてからベッドで眠りについた。
時刻にして夜中の三時のことだった。
—————
—————
「……ぃ…!
ララ!起きろぃ!!」
『……ん……んぅ…?
ぁ……マルコ…』
翌朝。
ララはマルコの怒号で目を覚ました。
呆れた表情で見下ろす彼の姿が視界に映る。
「やっと起きたかよぃ」
『ふあぁぁ……おはよ』
「飯の時間だよぃ。さっさと起きろ」
『まだ眠い…』
「遅くまで起きてるからだよぃ。自業自得だ」
『だって眠れなかったんだもん…』
当然と言えば当然だが、いつもは朝早く元気に目を覚ましてマルコを起こしに来るララだったが、今朝はその真逆だった。
いつまでも起きて来ない彼女を仕方なしに彼は起こしに来ていた。
遅くに起きようとマルコは咎めることはしない。
だが、食事を抜かせたことは一度もなかった。
充分な食料は蓄えているが、海上での生活だ。
いつ食料が尽きるかわからない。
食べられるうちに食べておけ。
それが彼の口癖だった。
だからこうしてララを叩き起こしにきたというわけだ。
.
『起きてるみたいだから、おやすみ言おうと思って…』
「そうかぃ。おやすみ」
『………』
「?
ララ?」
『マルコは寝ないの?』
「もう寝るよぃ」
ララはマルコを心配していた。
昨夜も今日も連日、遅くまで仕事をしている。
日に日に目の下のクマが濃くなっていく姿に彼女はいつか倒れるのではないか、と心配していた。
だが、それもやむを得ないだろう。
他の隊と違って一番隊は全ての隊の取りまとめ役を担っている。
だから他の隊の隊長より仕事が倍以上あり、それを彼一人で今までしてきた。
毎晩徹夜になるのは当然だろう。
『明日からマルコのお手伝いちゃんとするからね!』
「頼りにしてるよぃ」
『えへへ…』
「さっさと寝ろぃ」
『はーい!
おやすみ、マルコ!』
頼りにしている、というマルコの言葉にララは嬉しそうに表情を緩めた。
そして笑顔で彼の部屋から離れ、自室へと戻っていく。
これから寝る人間とは思えない程、元気に。
マルコは笑みを溢しながらその背中を見送った。
『流石に寝よっと。眠いや』
自室に戻ったララはゴロン、とベッドに横になる。
首からさげていた青いネックレスのトップが転がり、彼女の視界に映った。
海のように青く、宝石のように輝くそれが。
何気なしにララはそれを手に取り眺めた。
『あれ……
こんなのあったっけ…?』
ふと、ララはネックレスの異変に気づく。
数日前までは透き通るように青い、ただの球体状の宝石だった筈。
だが、彼女の瞳に映るそれには龍の絵が浮かび上がっている。
肌身離さず身につけていたが、いつからこうなっていたのかは不明。
『………。
……水…龍……?』
浮かび上がったその龍の絵にララの頭にそんな言葉が、浮かんだ。
見た事も聞いたこともない、その龍の名を。
「……寝ないのか?」
『!
シャル、いたんだ』
「早く寝ろ」
『?
うん……?』
ベッドの傍らに黒猫の姿で丸まっていたシャル。
ララの思考を遮るように声をかけた。
この件に関してシャルは何も助言をしたことがない。
何か知っているようにも思える。
彼女が何かに気づくのを恐れているようにも。
その夜、ララは鍛錬で流した汗を洗い流す為に部屋に備えつけのバスルームでシャワーを浴びてからベッドで眠りについた。
時刻にして夜中の三時のことだった。
—————
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「……ぃ…!
ララ!起きろぃ!!」
『……ん……んぅ…?
ぁ……マルコ…』
翌朝。
ララはマルコの怒号で目を覚ました。
呆れた表情で見下ろす彼の姿が視界に映る。
「やっと起きたかよぃ」
『ふあぁぁ……おはよ』
「飯の時間だよぃ。さっさと起きろ」
『まだ眠い…』
「遅くまで起きてるからだよぃ。自業自得だ」
『だって眠れなかったんだもん…』
当然と言えば当然だが、いつもは朝早く元気に目を覚ましてマルコを起こしに来るララだったが、今朝はその真逆だった。
いつまでも起きて来ない彼女を仕方なしに彼は起こしに来ていた。
遅くに起きようとマルコは咎めることはしない。
だが、食事を抜かせたことは一度もなかった。
充分な食料は蓄えているが、海上での生活だ。
いつ食料が尽きるかわからない。
食べられるうちに食べておけ。
それが彼の口癖だった。
だからこうしてララを叩き起こしにきたというわけだ。
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