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覚醒

『…スゥ……スゥ…』
「寝ちまったか…」

部屋に辿りつく前にララは歩く振動の心地よさでマルコの腕の中で眠ってしまったよう。

あどけない寝顔を浮かべている。

その表情に彼は昔の、幼い頃の彼女を思い出した。

まだこの船に乗船して間もない小さなララを。

(……いつの間にかでかくなったよぃ)

ララのシンプルで少し殺風景な部屋に着くとマルコは彼女をベッドにそっと寝かせた。

起こさぬように、優しく。

ベッドの傍らに腰を降ろし、癖のない艶やかなララの銀髪を優しく撫でて彼は目を細めた。

彼女の成長にしみじみとしながら。

しばらくララの寝顔を眺めていたマルコだったが、彼女の銀髪をひと束掬い、そこに優しく口付けをした。

まるで映画のワンシーンのように。

その後すぐ彼は立ち上がり、部屋を出ていく。

ララがこのマルコの行為に気づくことはない。

呑気に穏やかな表情で眠っている。


—————
—————

『……ん…
……あれ…?』

次にララが目を覚ましたのは夕方頃のことだった。

部屋には誰もいない。

自分がなぜ部屋で寝ているのか疑問に思ったが、すぐに理解した。

マルコが運んでくれたのだ、と。

『……いっぱい寝ちゃったな』

ララは胸に罪悪感を抱いた。

皆んなが仕事をしている中自分は呑気に眠ってしまった、と。

誰も咎めるものはいないだろうが、申し訳なさが胸に残る。

彼女はベッドから抜け出してマルコの部屋へと足を運ぼうとした。

だが……。

「……ぃ…」
『?』

部屋のドア越しから微かに女性の声が聞こえた。

おそらくナースだろう。

珍しいことではない。

マルコは一応、船医だ。

ナースが彼の部屋に尋ねてくるのは珍しいことではなかった。

ララは特に疑問に思うことなく、彼の部屋のドアをノックしてから開ける。

『マル……あ…』
「!」

ララの目の前に広がったのはマルコの身体の上に馬乗りなったナースの姿。

二人の視線が彼女に向けられる。

服が肌けた様子を見ると、非常にまずいタイミングで部屋を訪れたようだ。

それがララにもすぐ理解できた。

『邪魔してごめんなさい!』
「ララ!!」

ララはかあぁあ、と顔を真っ赤にしてその場から逃げていった。

いくら鈍くても二人が何をしようとしていたのかはわかるらしい。

彼女はマルコの静止の声も聞かずに甲板へと走っていく。

いつだったか、ララはサッチに聞いたことがあった。

マルコはモテる、と。

若いナース達に人気だと。

女に興味がない彼が言い寄ったというわけではなく、ナースがララの昼寝している隙を狙って言い寄ったのだろう。

古株のナースであればマルコのララに対する気持ちを知っているので野暮なことはしないが、さっき部屋にいたナースは最近乗船したナースだ。

彼女は二人の関係性を知らない。


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