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襲撃

『…シャル…
——ふうじんさま、おたすけください』

持ちつ持たれつの関係だった。

数分、目を瞑って祈りを捧げていると石像が青白く光りだした。

地面には紋章のような模様が浮かび上がっている。

ララの右肩から手の甲にかけてその紋章が大きく描かれていた。

刺青のような類いではない。

内側から浮かび上がっているように見える。

彼女はそれに気づかない。

時間で言うと十分くらいだろうか。

シャルと一族の身を案じて、祈りを捧げていたその時。


———ドゴオオオオォォォン!!———

大砲を撃ったような大きな音がした。

祠の中にいたララの耳にもその音は届く。

驚いて彼女は身体を跳ね上げ、目を見開いた。

『な…なに…?』

祠の入り口に視線を向けるが、気配は何もない。

おそらく、集落でなにか起きているのだろう。

幼いララにもそれは理解できた。

立ち上がって外へ出ようと、彼女は一歩足を踏み出す。

脳裏にシャルに忠告された何があっても祠から出るな、という言葉をララは思い出した。

『……ど…どうしよう…』

シャルと交わした約束と葛藤し、悩みに悩んだ末にララは祠を飛び出す。

その小さな身体で集落の方角に向かって駆けていく。

皆の身を案じて。

この時、誰が予測しただろうか。

惨たらしい惨劇 を。

幼い彼女にはあまりにも惨すぎる。


—————
—————

一方その頃、集落では……。

「クソッ…
逃げたか」

シャルは翼を羽ばたかせ、世界政府の旗を掲げた軍艦を睨みつけていた。

船はアーテリア島から逃げるように離れていく。

地に足をつけ、目の前に広がる惨状 を見渡す。

老若男女問わず、切り刻まれた一族の姿。

皆、絶命している。

黒いスーツを身に纏った男の遺体も混じっていた。

壮絶な戦いだったのだろう。

遺体がそれを物語っている。

鐘の音は襲撃を警告する音だったようだ。

「おいおい…
ひでェな、こりゃ」
「!
誰だ」

そこへ青い炎のような翼を羽ばたかせて地に降り立った、一人の男。

金髪の個性的な髪型をして、けだるげな目でこの惨状を眺めた。

前空きのシャツを羽織り、そのシャツの隙間から十字架と三日月が重なったマーク、かの四皇白髭海賊団の海賊旗のマークを胸に大きく刺青をしているのが見える。

シャルは警戒心剥き出しに、その男を見つめた。

「うおっ!
喋ったよぃ!」
「何用だ」
「そう警戒するなよぃ、俺ァただ島の偵察に来ただけだ」
「………。
…そう、か…」
「派手にやられたみてェだねぃ」
「まぁ…な」
「さっき政府の船を見かけたがよぃ、まさか…」
「ああ。そのまさかだ」
「なんだって政府が…」

シャルが人語を話すことに男は当然、驚いたよう。

しかしすぐにそれを受け入れた。

ここはグランドライン。

摩訶不思議なことが起きても、何もおかしくない。

一々気にしていたらキリがない。


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