覚醒
『きもちー…』
「お前ェは昔から好きだねぃ、これが」
目的もなく、夜空を飛び回るマルコは絶えず笑顔のララに昔を思い出していた。
幼い彼女が泣き出すと決まって彼は空へ連れ出して、あやしてやる。
とめどなく流れる涙もその広大な景色に引っ込んでいた。
愛らしい笑顔を浮かべながら。
ララが成長するにつれてその機会は一気に減ったが、彼女にねだれることは増えた。
その度にマルコは嫌な顔ひとつせずに時間を作る。
どんなに仕事が溜まっていようと。
「着いたよぃ」
『………。
…ここ…』
「ん?
どうしたよぃ」
『なんか…似てる。アーテリア島に』
「そうかい?」
『うん。なんとなくだけど…』
島に上陸したララは辺りを見渡すと、故郷の島のような懐かしさを感じた。
決して島の創りが似ている、とかそういうわけではない。
だが、島に纏う雰囲気や木々が生い茂る感じなどがアーテリア島を連想させた。
「………。
もう十年経つんだねぃ」
『……うん。そうだね』
「お前ェは…」
『?
なに?』
「……いや、なんでもねェよぃ」
マルコは言いかけて言い淀んだ。
少し複雑げな表情を浮かべて。
ララは不思議そうに首を傾げて彼を見上げる。
『なにそれ。気になるよ』
「………。
お前ェは…」
『?』
「海賊になったこと、後悔してねェかぃ?」
『後悔?どうして?』
「俺なんか助けちまったばっかりにお前ェは海賊になったが、本来向いてねェだろぃ」
『それは…』
ララは純粋で心優しい女の子だった。
きっとマルコに出会わなければ海賊などという、嫌われ者になることもなかっただろう。
あの時助けたのが彼ではなく、真っ当な人間だったら?
もっと幸せな人生が遅れたかもしれない。
そんな思いが彼の中で駆け巡る。
『………。
マルコはなんかじゃないもん』
「あ?」
『マルコが助けてくれたから、パパが私を迎え入れてくれたから生きてるんだよ』
「それでも俺に拾われなきゃ、もっと違う人生があったかもしれねェだろぃ」
『でもそこにマルコはいないんでしょ?』
「まぁ…そうなるねぃ」
『だったらいらない。マルコのいない人生なんて楽しくないもん』
「お前ェそれ、意味わかって言ってねェだろぃ…」
「?
意味?」
マルコは頭を抱え、項垂れる。
ララの考えなしに発言したその言葉は彼を悩ませた。
言葉だけ聞くとそれはマルコに好意を抱いている言葉だが、彼女はそんなつもり毛頭ないだろう。
ララのきょとん、と首を傾げた表情がそれを物語っている。
自覚がないだけで好意は抱いているのかもしれないが。
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「お前ェは昔から好きだねぃ、これが」
目的もなく、夜空を飛び回るマルコは絶えず笑顔のララに昔を思い出していた。
幼い彼女が泣き出すと決まって彼は空へ連れ出して、あやしてやる。
とめどなく流れる涙もその広大な景色に引っ込んでいた。
愛らしい笑顔を浮かべながら。
ララが成長するにつれてその機会は一気に減ったが、彼女にねだれることは増えた。
その度にマルコは嫌な顔ひとつせずに時間を作る。
どんなに仕事が溜まっていようと。
「着いたよぃ」
『………。
…ここ…』
「ん?
どうしたよぃ」
『なんか…似てる。アーテリア島に』
「そうかい?」
『うん。なんとなくだけど…』
島に上陸したララは辺りを見渡すと、故郷の島のような懐かしさを感じた。
決して島の創りが似ている、とかそういうわけではない。
だが、島に纏う雰囲気や木々が生い茂る感じなどがアーテリア島を連想させた。
「………。
もう十年経つんだねぃ」
『……うん。そうだね』
「お前ェは…」
『?
なに?』
「……いや、なんでもねェよぃ」
マルコは言いかけて言い淀んだ。
少し複雑げな表情を浮かべて。
ララは不思議そうに首を傾げて彼を見上げる。
『なにそれ。気になるよ』
「………。
お前ェは…」
『?』
「海賊になったこと、後悔してねェかぃ?」
『後悔?どうして?』
「俺なんか助けちまったばっかりにお前ェは海賊になったが、本来向いてねェだろぃ」
『それは…』
ララは純粋で心優しい女の子だった。
きっとマルコに出会わなければ海賊などという、嫌われ者になることもなかっただろう。
あの時助けたのが彼ではなく、真っ当な人間だったら?
もっと幸せな人生が遅れたかもしれない。
そんな思いが彼の中で駆け巡る。
『………。
マルコはなんかじゃないもん』
「あ?」
『マルコが助けてくれたから、パパが私を迎え入れてくれたから生きてるんだよ』
「それでも俺に拾われなきゃ、もっと違う人生があったかもしれねェだろぃ」
『でもそこにマルコはいないんでしょ?』
「まぁ…そうなるねぃ」
『だったらいらない。マルコのいない人生なんて楽しくないもん』
「お前ェそれ、意味わかって言ってねェだろぃ…」
「?
意味?」
マルコは頭を抱え、項垂れる。
ララの考えなしに発言したその言葉は彼を悩ませた。
言葉だけ聞くとそれはマルコに好意を抱いている言葉だが、彼女はそんなつもり毛頭ないだろう。
ララのきょとん、と首を傾げた表情がそれを物語っている。
自覚がないだけで好意は抱いているのかもしれないが。
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