覚醒
『ベタベタする…。
シャワー浴びてこよ』
数分、身体を休めて回復したララは汗ばむ自身に不快感を覚えた。
身体を起こし、誰もいない稽古場から出ていく。
自室にあるバスルームでその汗を洗い流すために。
時刻は午後三時。
まだ夕食までには時間がある。
甲板ではクルー達が忙しそうに身体を動かしていた。
自分達の為すべきことのために。
『………』
ララはクルー達のその様子を立ち止まって眺めた。
彼女はマルコを率いる一番隊の一員ではあるが、彼がララに仕事を与えることはない。
毎日ビスタと稽古をしながら過ごしている。
戦闘となれば前線で活躍するが、必ずその後ろにはマルコやビスタがいてララに傷を負わせないように守られていた。
彼等からしたら大事な妹を守るのは兄貴の役目、とでも思っているのだろう。
だが、それは彼女の重荷になっていた。
お前はまだ一人じゃ何もできないヒヨッコだ、と言われているようで。
自分はマルコや白ひげの役に立っているのか、不安な気持ちが彼女を襲う。
「お嬢」
ララがしんみりとした表情をしていると、一人の男が呼び止めた。
十六番隊隊長、イゾウだった。
着崩した桃色の和装姿に黒髪の長い髪を結い上げたその男は肌けたその胸元が無ければ、女性と見間違う程美しい美貌を持っている。
その証拠に数年前まで彼女はイゾウのことを同性だと勘違いし、一緒に風呂に入ろうと誘って彼を困らせたことがあった。
当然、マルコにこっぴどく怒られたのだが。
『あ、イゾウ』
「しけた面してどうしたんだぃ?」
『……なんでもないよ』
「…今日もずいぶん派手にやってたみてェだねェ」
『え……あ、うん。うるさかった?』
「いや…あいつらに比べたら静かなもんさ」
『そっか…』
「ちゃんとマルコんとこ行けよ?傷が残っちまうぜ」
『わかってるって。心配性だなぁ…』
「そりゃそうさ。大事な妹だからねェ」
イゾウはララに何も問いただすことはなかった。
その役目は自分ではない。
マルコの役目だ、と。
乱暴に彼女の頭を撫でてからイゾウはその場を後にする。
『?』
ララはきょとん、と首を傾げてその背中を見送った。
なんの用だったのだ、と。
しかし答えが出るはずもない。
彼女はすぐに歩を進める。
身体の不快感を洗い流すために。
甲板を通り過ぎ、マルコの部屋の前も通り過ぎようとしたその時。
——ドガッ——
彼の部屋の扉が開いて、それがララの顔面に直撃した。
それはもう、タイミングばっちりに。
『あだっ…!』
「ん?
…いたのかぃ」
『急に開けないでよ…』
「無茶言うなよぃ。
……随分としごかれたみてェだねぃ」
マルコは開いたドアの裏側にいたララに少し目を見開く。
ぶつかった衝撃で彼女の額は赤くなっていた。
きめ細やかな白い肌が稽古で作った小さな傷とドアにぶつかって赤くなった額とで美しいその美貌が台無しになっている。
彼はララの頬の傷に優しく触れた。
.
シャワー浴びてこよ』
数分、身体を休めて回復したララは汗ばむ自身に不快感を覚えた。
身体を起こし、誰もいない稽古場から出ていく。
自室にあるバスルームでその汗を洗い流すために。
時刻は午後三時。
まだ夕食までには時間がある。
甲板ではクルー達が忙しそうに身体を動かしていた。
自分達の為すべきことのために。
『………』
ララはクルー達のその様子を立ち止まって眺めた。
彼女はマルコを率いる一番隊の一員ではあるが、彼がララに仕事を与えることはない。
毎日ビスタと稽古をしながら過ごしている。
戦闘となれば前線で活躍するが、必ずその後ろにはマルコやビスタがいてララに傷を負わせないように守られていた。
彼等からしたら大事な妹を守るのは兄貴の役目、とでも思っているのだろう。
だが、それは彼女の重荷になっていた。
お前はまだ一人じゃ何もできないヒヨッコだ、と言われているようで。
自分はマルコや白ひげの役に立っているのか、不安な気持ちが彼女を襲う。
「お嬢」
ララがしんみりとした表情をしていると、一人の男が呼び止めた。
十六番隊隊長、イゾウだった。
着崩した桃色の和装姿に黒髪の長い髪を結い上げたその男は肌けたその胸元が無ければ、女性と見間違う程美しい美貌を持っている。
その証拠に数年前まで彼女はイゾウのことを同性だと勘違いし、一緒に風呂に入ろうと誘って彼を困らせたことがあった。
当然、マルコにこっぴどく怒られたのだが。
『あ、イゾウ』
「しけた面してどうしたんだぃ?」
『……なんでもないよ』
「…今日もずいぶん派手にやってたみてェだねェ」
『え……あ、うん。うるさかった?』
「いや…あいつらに比べたら静かなもんさ」
『そっか…』
「ちゃんとマルコんとこ行けよ?傷が残っちまうぜ」
『わかってるって。心配性だなぁ…』
「そりゃそうさ。大事な妹だからねェ」
イゾウはララに何も問いただすことはなかった。
その役目は自分ではない。
マルコの役目だ、と。
乱暴に彼女の頭を撫でてからイゾウはその場を後にする。
『?』
ララはきょとん、と首を傾げてその背中を見送った。
なんの用だったのだ、と。
しかし答えが出るはずもない。
彼女はすぐに歩を進める。
身体の不快感を洗い流すために。
甲板を通り過ぎ、マルコの部屋の前も通り過ぎようとしたその時。
——ドガッ——
彼の部屋の扉が開いて、それがララの顔面に直撃した。
それはもう、タイミングばっちりに。
『あだっ…!』
「ん?
…いたのかぃ」
『急に開けないでよ…』
「無茶言うなよぃ。
……随分としごかれたみてェだねぃ」
マルコは開いたドアの裏側にいたララに少し目を見開く。
ぶつかった衝撃で彼女の額は赤くなっていた。
きめ細やかな白い肌が稽古で作った小さな傷とドアにぶつかって赤くなった額とで美しいその美貌が台無しになっている。
彼はララの頬の傷に優しく触れた。
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