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覚醒

「いつ見ても奇妙な武器だな」
『……そうかな?
これが一番使いやすいんだよね。剣は重たくて扱えないし』
「普通はある程度重さがあった方が扱いやすいんだが」
『そうなの?』
「ああ。まあ、扱い易けりゃなんでもいいさ。
喋ってないでやるぞ!」
『あ、うん。
お願いします!手加減しないでよね!』
「そりゃ、ララの腕次第だな」
『むぅ…』

は互いに動きだした。

一本の剣と二本のサーベル。

普通に考えたらララに勝ち目はない。

だが、身軽な彼女は彼の攻撃を難なく交わす。


——ガキンッ——

互いの剣が音を立てて交わり合った。

「強くなったじゃねェか、ララ」
『手加減しといてよく言うよっ…!』
「当たり前だ。数十年しか生きてねェヒヨッコが俺に勝てると思うな」

ビスタが二本のサーベルでララの風剣を弾き返しながら言った。

二人の稽古はどらかというと手合わせに近い。

ビスタが彼女に言葉でどうこうしろ、と教えたことはなかった。

ララの強さは全て目で見て盗んだもの。

それが彼の教え方だ。

少し冷たいように思えるが、これが一番手っ取り早い方法。

頭で理解してもそれを行動に移せる者は少ない。

沢山傷ついて、傷つかない方法を模索していく。

それが彼女なりのやり方。

稽古が終わる頃にはいつも小さな傷を作ってマルコの元に帰ってくる。

『はぁっ……はぁっ…』
「終わりにするか?」
『まだ……や…る…!』

数時間、休憩もしないでずっと剣を交えていた二人。

ララは息を切らして体力の限界が来ていた。

一方のビスタは息ひとつ乱していない。

これが二人の強さの差だ。

まだまだ壁は大きいよう。

「のわりには息が乱れてるぜ」
『だ…だって……!』
「また明日相手してやるから今日は終いだな」
『え…!
まだ私、できる…』
「ぶっ倒れるまでする気か。マルコと出かけられなくなるぞ」
『………明日にする』
「いいこだ」

ララは負けず嫌いだった。

体力の限界がきてるというのにビスタに挑もうとしている。

だが、マルコの名前を出すと彼女はすんなり諦めて風剣をしまう。

単純な子だ。

ビスタは素直に諦めたララの少し汗ばむ髪をわしゃわしゃ、と撫でてから稽古場を出ていく。

彼女はその黒い大きな背中を見送りながらその場に大の字になって、天井を仰いだ。

ララの頬や腕には小さな傷が作られている。

かなり激戦した稽古だったようだ。

『……(まだまだだなぁ…。強くならなきゃ)』

ララは強さに貪欲だった。

ビスタやマルコと比べるとまだ彼女は弱い。

まだ彼等に守られている立場だった。

ララは早く独り立ちしたい気持ちが強かった。

いつまでも守られてばかりじゃダメだ、と。


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