襲撃
ここはグランドラインに位置するアーテリア島。
のどかな海賊もあまり寄り付かない、生まれつき風を自在に操れるステリア族の暮らす島。
そこに一人の五歳くらいの幼女、ララがいた。
太陽に反射してキラキラ輝く長い銀髪、エメラルドグリーンの大きな瞳をした純真無垢な幼い女の子。
島には小さな集落があり、一族はそこで生活をしている。
皆、銀髪とエメラルドグリーンの瞳をしているが彼等の特徴だった。
正午を過ぎると集落のさらに奥にある森の丘にぽつん、とある巨木にララはよじ登ってそこから見える海を見るのが彼女の日課だった。
『ねぇ、シャル』
「…なんだ」
ララの膝上で眠る黒猫。
彼女と同じエメラルドグリーンの瞳をした小さな黒猫は不思議なことに人語を理解し、ララと平然と会話をしている。
『きょうは海賊、くるかなぁ…?』
「来るわけないだろう。こんなちんけな島に」
『むぅ…。
海賊みたいのにぃ…』
頬を膨らませて、むくれるララ。
世間では恐れられている海賊だが、島から出たことのない無知な彼女は自由に海を渡り歩く彼等に強い憧れを抱いていた。
だから毎日こうして海賊が見えないか、海の見えるこの丘で彼等の姿を探している。
その時だった。
——カンカンカン——
大きな鐘の音が鳴った。
非常時に鳴るその鐘は数十年鳴ったことがない。
集落で何か起きたのだろう。
シャルは耳をピン、と立てて周囲の音に耳を澄ます。
『…な、…な…に…?』
「ララ、祠に行ってろ。様子を見てくる」
『え…でも…』
「すぐ戻る」
初めて聞く鐘の音にララは不安そうな表情を浮かべる。
シャルの黒い小さな身体の背に大きな白い翼が生え、身体はみるみる大きくなっていく。
その変幻した身体は翼を羽ばたかせて宙に浮き、不安そうにしている彼女を威圧感のある眼差しで見下ろす。
どうやら黒猫の姿は仮の姿だったようだ。
「いいか、ララ。祠から一歩も出るな」
『え……』
「何があってもだ。いいな?」
『ぅ……ぅん…?』
有無を言わさない眼差しでシャルはララに言った。
子供ながらに何か非常事態が起きていることは理解しているよう。
翼を羽ばたかせて上空から集落へ向かうシャルの背をララは不安げな表情のまま、見えなくなるまで見送った。
そしてよじ登った巨木からゆっくり、怪我をしないように降りる。
丘を下り、木々が生い茂る間を縫って林の奥へ奥へと駆けていく。
一見すると何もないと思われる、崖壁にぶち当たるとララは足を止めて、それに触れた。
——ゴゴゴゴゴゴ——
大きな音を立てて、崖壁が右にずれた。
するとそこは人が一人、入れる程度の小さな祠が女性の石像と共に祀られている。
この祠は石像を護るために作られたものだった。
一族の者しかこの崖壁 は開けられない様になっている。
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のどかな海賊もあまり寄り付かない、生まれつき風を自在に操れるステリア族の暮らす島。
そこに一人の五歳くらいの幼女、ララがいた。
太陽に反射してキラキラ輝く長い銀髪、エメラルドグリーンの大きな瞳をした純真無垢な幼い女の子。
島には小さな集落があり、一族はそこで生活をしている。
皆、銀髪とエメラルドグリーンの瞳をしているが彼等の特徴だった。
正午を過ぎると集落のさらに奥にある森の丘にぽつん、とある巨木にララはよじ登ってそこから見える海を見るのが彼女の日課だった。
『ねぇ、シャル』
「…なんだ」
ララの膝上で眠る黒猫。
彼女と同じエメラルドグリーンの瞳をした小さな黒猫は不思議なことに人語を理解し、ララと平然と会話をしている。
『きょうは海賊、くるかなぁ…?』
「来るわけないだろう。こんなちんけな島に」
『むぅ…。
海賊みたいのにぃ…』
頬を膨らませて、むくれるララ。
世間では恐れられている海賊だが、島から出たことのない無知な彼女は自由に海を渡り歩く彼等に強い憧れを抱いていた。
だから毎日こうして海賊が見えないか、海の見えるこの丘で彼等の姿を探している。
その時だった。
——カンカンカン——
大きな鐘の音が鳴った。
非常時に鳴るその鐘は数十年鳴ったことがない。
集落で何か起きたのだろう。
シャルは耳をピン、と立てて周囲の音に耳を澄ます。
『…な、…な…に…?』
「ララ、祠に行ってろ。様子を見てくる」
『え…でも…』
「すぐ戻る」
初めて聞く鐘の音にララは不安そうな表情を浮かべる。
シャルの黒い小さな身体の背に大きな白い翼が生え、身体はみるみる大きくなっていく。
その変幻した身体は翼を羽ばたかせて宙に浮き、不安そうにしている彼女を威圧感のある眼差しで見下ろす。
どうやら黒猫の姿は仮の姿だったようだ。
「いいか、ララ。祠から一歩も出るな」
『え……』
「何があってもだ。いいな?」
『ぅ……ぅん…?』
有無を言わさない眼差しでシャルはララに言った。
子供ながらに何か非常事態が起きていることは理解しているよう。
翼を羽ばたかせて上空から集落へ向かうシャルの背をララは不安げな表情のまま、見えなくなるまで見送った。
そしてよじ登った巨木からゆっくり、怪我をしないように降りる。
丘を下り、木々が生い茂る間を縫って林の奥へ奥へと駆けていく。
一見すると何もないと思われる、崖壁にぶち当たるとララは足を止めて、それに触れた。
——ゴゴゴゴゴゴ——
大きな音を立てて、崖壁が右にずれた。
するとそこは人が一人、入れる程度の小さな祠が女性の石像と共に祀られている。
この祠は石像を護るために作られたものだった。
一族の者しかこの崖壁 は開けられない様になっている。
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