導きの舞
『……シャル…』
「上手く踊ろうとしなくていい。
ちゃんと送ってやれ」
『うん……』
不安げな表情をして戻ってきたララはシャルに縋るような視線を送る。
しかしシャルは優しく突き放す。
彼女は自信なさげに、胸に抱えた扇を広げた。
海のように青い龍が描かれたその扇を天高く掲げ、ララは導きの舞を踊りだす。
長い銀髪が舞い、涙が横に流れる。
こんなにも悲しくて、美しい舞を見たのはマルコは初めてだった。
決して上手とは言えない。
ぎこちない動きだった。
それでも彼にはその涙を流しながら舞う幼児の姿は何よりも美しく見えた。
シャルやマルコ、一番隊のクルー数人はララのその舞を静かに、目を逸らすことなくじっと見つめた。
それが生きている者の最後の弔いだ、と感じて。
『………っ…
シャル…っ…!』
「よくやった。これで皆の死が浮かばれる」
『じょうずに……できた…かな…?』
「ああ。充分だ」
『うぅ〜…ゔぅ〜…』
舞を終えたララは泣きながらシャルに抱きつく。
気丈に振る舞っていた彼女だが、やはりまだ子供だ。
プツン、と緊張の糸が切れたように泣きじゃくっている。
マルコはララの元に歩みより、彼女の煌めく銀髪を優しく撫でた。
知り合って間もなかったが、手を差し伸べずにはいられなかったよう。
少なからず、ララに対して情が湧いてしまっているようだ。
「——これからどうするつもりだよぃ?」
「………」
弔いを終えて、泣き疲れたララはマルコの腕の中で気持ち良さげに眠っていた。
その横でシャルは意味もなく島から見える海の景色を眺めている。
今後、どうするつもりなのかマルコはシャルにふと尋ねた。
子供一人とシャルだけではこの先、生きていくのは難しい。
可能ならば助けてやりたい、と彼は心の奥底で思っていた。
「行くあてがねェんならよぃ…」
「?」
「俺たちの船に乗るかぃ?」
「!
そこまでしてもらうわけには…」
「けど嬢ちゃん一人で生きるには無理があるだろぃ?
俺たちなら守ってやれる」
「それは…」
「オヤジと知り合いなんだろぃ?」
「……まぁ、な」
「だったら尚更だ。
手助けさせてくれねェかぃ?」
「………。
…すまない」
「気にすんなよぃ。
これも何かの縁だ」
シャルには道が残されていなかった。
マルコ達の手を借りる他ない。
もし、この手助けがなければきっとララは苦しい道を辿ったことだろう。
感謝しても仕切れない恩がのちに彼女の心に芽生える。
この日の記憶はララの頭に深く刻まれることとなった。
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「上手く踊ろうとしなくていい。
ちゃんと送ってやれ」
『うん……』
不安げな表情をして戻ってきたララはシャルに縋るような視線を送る。
しかしシャルは優しく突き放す。
彼女は自信なさげに、胸に抱えた扇を広げた。
海のように青い龍が描かれたその扇を天高く掲げ、ララは導きの舞を踊りだす。
長い銀髪が舞い、涙が横に流れる。
こんなにも悲しくて、美しい舞を見たのはマルコは初めてだった。
決して上手とは言えない。
ぎこちない動きだった。
それでも彼にはその涙を流しながら舞う幼児の姿は何よりも美しく見えた。
シャルやマルコ、一番隊のクルー数人はララのその舞を静かに、目を逸らすことなくじっと見つめた。
それが生きている者の最後の弔いだ、と感じて。
『………っ…
シャル…っ…!』
「よくやった。これで皆の死が浮かばれる」
『じょうずに……できた…かな…?』
「ああ。充分だ」
『うぅ〜…ゔぅ〜…』
舞を終えたララは泣きながらシャルに抱きつく。
気丈に振る舞っていた彼女だが、やはりまだ子供だ。
プツン、と緊張の糸が切れたように泣きじゃくっている。
マルコはララの元に歩みより、彼女の煌めく銀髪を優しく撫でた。
知り合って間もなかったが、手を差し伸べずにはいられなかったよう。
少なからず、ララに対して情が湧いてしまっているようだ。
「——これからどうするつもりだよぃ?」
「………」
弔いを終えて、泣き疲れたララはマルコの腕の中で気持ち良さげに眠っていた。
その横でシャルは意味もなく島から見える海の景色を眺めている。
今後、どうするつもりなのかマルコはシャルにふと尋ねた。
子供一人とシャルだけではこの先、生きていくのは難しい。
可能ならば助けてやりたい、と彼は心の奥底で思っていた。
「行くあてがねェんならよぃ…」
「?」
「俺たちの船に乗るかぃ?」
「!
そこまでしてもらうわけには…」
「けど嬢ちゃん一人で生きるには無理があるだろぃ?
俺たちなら守ってやれる」
「それは…」
「オヤジと知り合いなんだろぃ?」
「……まぁ、な」
「だったら尚更だ。
手助けさせてくれねェかぃ?」
「………。
…すまない」
「気にすんなよぃ。
これも何かの縁だ」
シャルには道が残されていなかった。
マルコ達の手を借りる他ない。
もし、この手助けがなければきっとララは苦しい道を辿ったことだろう。
感謝しても仕切れない恩がのちに彼女の心に芽生える。
この日の記憶はララの頭に深く刻まれることとなった。
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