生き残り
『?
おじさん、ウイスキーロックで頂戴!』
「あいよ」
ララは二人の会話に首を傾げながらカウンターに座って、酒場のマスターに酒を注文した。
数秒で酒はすぐ彼女に差し出される。
渋い色のそれでララは喉を潤す。
『マルコは呑まないの?』
「…もらうよぃ」
マルコは彼女の隣に腰を下ろす。
サッチもそれに続いた。
酒場はカウンター席とテーブル席があり、テーブル席には娼婦が男達に擦り寄っている。
男共も悪い気はしないのだろう。
気分良さそうにしている。
ララがカウンター席に座ったのはあの中に紛れるのは中々、ハードルが高いと思ったからだろう。
まあ、もし彼女がテーブル席に座ろうものならばマルコが許す筈もないが。
ララはテーブル席には目もくれず、三人で談笑しながら酒を嗜んだ。
日中も酒を呑んでいた彼女は酔いが思ったより回り、一杯呑み干す頃には睡魔に襲われていた。
『…ふぁぁ…』
「眠いかよぃ」
『…平気』
「そうは見えねェな。帰るかねぃ」
『…ん…』
すでにサッチは店を出ていた。
大人の夜はこれからだ。
娼館にでも行ったのだろう。
「オヤジ、金置いとくよぃ」
「まいど」
「ほら、出るよぃ」
『はーい』
マルコは札束数枚をカウンターに置いて店を出て行こうとする。
ララも眠たい目を擦りながらその後に続いた。
彼女は去り際、酒場のマスターに会釈をしてから店を出た。
—————
—————
外に出ると冷たい夜風が二人の頬を撫でる。
暖かい室内にいたララは寒暖差に少し身震いした。
「少し冷えるねぃ」
『ね。
おかげで目、覚めちゃった』
「そうかぃ。モビーに戻るか?」
『マルコは?』
「宿取ってるからな。戻るよぃ」
『わたしも…』
「………。
意味、わかってんのかぃ?」
『だってマルコと一緒がいい』
「無理するな」
『してないよ。マルコならいいもん』
「…後悔しても知らねェよぃ」
マルコはため息混じりそう言って、ララの手を引いた。
二人は宿までの帰路をゆっくりとした足取りで辿る。
その間、二人の間に会話はない。
不自然なくらい静かだった。
いくら抜けているといえど、昨夜マルコが言った言葉は覚えている筈だ。
それでもララは一緒がいい、と告げた。
仲良く一緒に寝るだけじゃ済まないことは理解しているだろう。
彼女は大人の階段を一つ登ろうとしていた。
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おじさん、ウイスキーロックで頂戴!』
「あいよ」
ララは二人の会話に首を傾げながらカウンターに座って、酒場のマスターに酒を注文した。
数秒で酒はすぐ彼女に差し出される。
渋い色のそれでララは喉を潤す。
『マルコは呑まないの?』
「…もらうよぃ」
マルコは彼女の隣に腰を下ろす。
サッチもそれに続いた。
酒場はカウンター席とテーブル席があり、テーブル席には娼婦が男達に擦り寄っている。
男共も悪い気はしないのだろう。
気分良さそうにしている。
ララがカウンター席に座ったのはあの中に紛れるのは中々、ハードルが高いと思ったからだろう。
まあ、もし彼女がテーブル席に座ろうものならばマルコが許す筈もないが。
ララはテーブル席には目もくれず、三人で談笑しながら酒を嗜んだ。
日中も酒を呑んでいた彼女は酔いが思ったより回り、一杯呑み干す頃には睡魔に襲われていた。
『…ふぁぁ…』
「眠いかよぃ」
『…平気』
「そうは見えねェな。帰るかねぃ」
『…ん…』
すでにサッチは店を出ていた。
大人の夜はこれからだ。
娼館にでも行ったのだろう。
「オヤジ、金置いとくよぃ」
「まいど」
「ほら、出るよぃ」
『はーい』
マルコは札束数枚をカウンターに置いて店を出て行こうとする。
ララも眠たい目を擦りながらその後に続いた。
彼女は去り際、酒場のマスターに会釈をしてから店を出た。
—————
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外に出ると冷たい夜風が二人の頬を撫でる。
暖かい室内にいたララは寒暖差に少し身震いした。
「少し冷えるねぃ」
『ね。
おかげで目、覚めちゃった』
「そうかぃ。モビーに戻るか?」
『マルコは?』
「宿取ってるからな。戻るよぃ」
『わたしも…』
「………。
意味、わかってんのかぃ?」
『だってマルコと一緒がいい』
「無理するな」
『してないよ。マルコならいいもん』
「…後悔しても知らねェよぃ」
マルコはため息混じりそう言って、ララの手を引いた。
二人は宿までの帰路をゆっくりとした足取りで辿る。
その間、二人の間に会話はない。
不自然なくらい静かだった。
いくら抜けているといえど、昨夜マルコが言った言葉は覚えている筈だ。
それでもララは一緒がいい、と告げた。
仲良く一緒に寝るだけじゃ済まないことは理解しているだろう。
彼女は大人の階段を一つ登ろうとしていた。
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