第二十七話『THE 試験』
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ボォンッ!!!
スタート位置の方から大きな爆発音が聞こえる。
朦々と黒煙が上がる様子に、新たな問題がやってくる気配を感じ取る。
ひぃ!と傷病者や子供達から悲鳴が上がり、俺は近くにいた父役に声を掛けた。
「俺は彼処へ向かいます。
真美ちゃんの一番のヒーローとして、
傍に居てあげてください。」
「は、はい!!」
手伝ってくれた方々にも一言だけ「行って参ります!」とだけ伝え、俺は縮地でスタート地点へ戻った。
現場へ辿り着くと、鯱の姿をした敵役(恐らくプロヒーロー…なのだと思う)と武装をした構成員役達が救助所を襲おうとしていた。
『敵が姿を現し追撃を開始!
現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、
救助を続行して下さい。』
並行して任務を遂行しなければならない、という高度な要求に現場の難易度が何れ程の物なのか痛感させられる。
救助所の近くには出久がおり、敵を見据えていた。
一気に縮地でその近くに飛び込み、構成員達が突撃して来るのを個性を宿した刀で迎え打った。
「覇導一神昇華流 山斬花!」
敵の一部が大きく右の方へ薙ぎ倒され、吹き飛んで行く。
そんな構成員を出久が、普段から大きな目を丸くして驚いた顔で見ていた。
「大和君!!?!?えっ、強!!!!?」
「疾く救助所の者達を避難させてくれ!」
「う、うん!」
出久の近くにいた真堂殿も個性で対抗しようとしたが、其方には鯱の敵役が立ち塞がる。
一瞬で間合いを詰められ、何やら衝撃波の様なものを受けて真堂殿が怯んでいた。
「この実力差で殿二人…?なめられたものだ…!」
膝を着いた真堂殿の方を見て咄嗟に其方へ向かおうとするが、冷気を感じてそのまま構成員の無力化に注力した。
ガガガッ!!
地面を隆起させ、俺の視界の先を大きな氷壁が通り過ぎていく。
出久の元へ尾白殿や芦戸殿、常闇殿が合流した。
焦凍と目が合い、頷く。
其方は任せた。と、言葉を掛けずとも通じた。
しかし、上空から何やら声が聞こえる。
「ふぅきィイイイイ飛べえええっっ!!!」
旋回しながら突撃してきたのは、イナサ殿だった。
外套を風に遊ばせながら、やる気満々な彼はその闘気を上げ続けている。
「敵乱入とか!!!
なかなか熱い展開にしてくれるじゃないっスか!!」
イナサ殿の派手な登場により注目が集まり、その間に他の人達が傷病者の避難を進めている。
戦闘力が強い者が早々に到着し、俺的には有難い気持ちもあったが、焦凍とイナサ殿はまたお互いの顔を見て眉間の皺を深くしていた。
その表情を見て嫌な予感が過ぎ去ったが、今はそれ所では無い。
「あんたと同着とは…!!」
「お前は、救助所の避難を手伝ったらどうだ。
”個性”的にも適任だろ。
こっちは俺と大和がやる。」
おい、俺を巻き込むな焦凍。
と言いたい所だが、俺は構成員達を薙ぎ倒しているので忙しくそれの返事はしなかった。
だが、少し目を離したのが良くなかったらしい。
イナサ殿の風が焦凍の出す炎の熱で浮き上がり、てんでバラバラな方向へ飛んでいく。
そして何やら言い合いが始まる。
これには思わず鯱の敵役も、査定する審査員も呆れ顔だ。
「あんたが手柄を渡さないよう合わせたんだ!」
「は?誰がそんな事するかよ。」
「するね!」
そして、見かねた俺が一喝入れる前に、イナサ殿が勢い良く焦凍の地雷を踏み抜いた。
「だってあんたは、あのーー
エンデヴァーの息子だ!」
「さっき…から、何なんだよ。お前。
親父は関係ね、えっ」
べち!と焦凍の体に何かが当たる。
構成員が放ったセメントガンという特殊な武器は動きを阻害する役目があるみたいだが、それに焦凍は当たったらしい。
空中でそれ何発も放たれ、避けながらエンデヴァー殿と焦凍への拒絶心を吐露するイナサ殿。
嗚呼もう、とことん嫌な予感が的中する。
同じと言われたって、今はどうでもいいじゃないか。
救けなくてはいけない命を放って、何をだらだらとしているのか。
どうしても気に入らないと突っかかるにしても、時と場合を考えてくれ。
「俺はあんたら親子のヒーローだけは、
どーにも認められないんスよォーー!!以上!!」
最悪な事にイナサ殿が放った突風が、焦凍の炎と反発し合いそれが真堂殿へ当たりそうになる。
出久が慌てて真堂殿を掴んで回避しようとしているのを認識出来ていたが、この際炎自体鎮火させてしまおう。
俺は炎の前に飛び、回転斬りの要領で刀で炎を掬い上げて舞う。
「何をしてんだよ!」
そう一喝した出久と、炎を火の粉へ霧散させた俺が回転を終わらせダン!と足を踏みしめるのはほぼ同時だった。
「……此処は、ヒーローの居る場だ。
仕事の出来ない子供であるなら、早々に撤退してくれ。」
余程俺も表情に出ていたのだろう。
焦凍やイナサ殿、そして一喝した筈の出久すらもびしりと固まっていた。
その隙を突かれて、鯱の敵は構成員と協力してセメントガンを当ててイナサ殿を地上へ落とす。
その後直ぐに焦凍も鯱の衝撃波を喰らい、膝を着いた。
脅威が無くなったと構成員は避難民達の方へ向かって行った。
俺は少し迷ったが、出久達が構成員を足止めするだろうと想定して一番の驚異である敵の首領へ目標を変えた。
鯱がイナサ殿へ仕留めに向かおうとした所を、すかさず割って入る。
「御相手願おう、鯱殿。」
「ギャングオルカだ。」
鋭い手が俺の刀を防ぎ、鍔迫り合いになる。
構成員の方は、出久と共に居た真堂殿が地面を割ったお陰で大分足止めになっていた。
俺もこんな至近距離にいれば、お得意の音波攻撃が来るだろう。
そう予測して技を備える。
パァン!!
と乾いた音が響きギャングオルカ殿が動きを止めた。
「ー!? 何、を…?!」
「覇導一神昇華流覇牡丹 」
息を吐き、無事に返せた事を安堵する。
覇牡丹という技は少し特殊で、己が出した覇気や衝撃を相手の攻撃の最高到達点に合わせて当てる事で、その威力をそのまま相手に返すカウンター技だ。
超音波という目に見えないものだが、その威力が最大で発揮されるその瞬間俺も覇気と剣戟を持って跳ね返した。
今ギャングオルカ殿は自身の技を喰らい体が麻痺しているだろうに、それでも尚立っていられるという事は元々音波に関しては耐性があるのだろう。
「な、る程、…小賢しい…!」
「!」
ギャングオルカ殿が仕掛ける前に、俺は唯ならぬ熱気を感じて飛び引いた。
瞬間、ギャングオルカ殿は炎の渦に閉じ込められる。
「…出来るではないか、ヒーロー。」
焦凍とイナサ殿の方を見て、少しは反省したのだろうと息を吐いた。
彼等の目は体が地に伏せて居ても、全く死んでいなかった。
動けなくとも虎視眈々とギャングオルカ殿を見据えて、どうにか自分達の出来る一手を投じたのだ。
ギャングオルカ殿のあの状況は、俺が先程した炎を霧散させた回転斬りからも着想を得ているのだろうか。
トップヒーローであろう彼がこれで終わる筈が無いとは思っている為、まだまだ油断は許されない状況ではあったが、漸く彼等は過ちに気付けた様で何よりだった。
スタート位置の方から大きな爆発音が聞こえる。
朦々と黒煙が上がる様子に、新たな問題がやってくる気配を感じ取る。
ひぃ!と傷病者や子供達から悲鳴が上がり、俺は近くにいた父役に声を掛けた。
「俺は彼処へ向かいます。
真美ちゃんの一番のヒーローとして、
傍に居てあげてください。」
「は、はい!!」
手伝ってくれた方々にも一言だけ「行って参ります!」とだけ伝え、俺は縮地でスタート地点へ戻った。
現場へ辿り着くと、鯱の姿をした敵役(恐らくプロヒーロー…なのだと思う)と武装をした構成員役達が救助所を襲おうとしていた。
『敵が姿を現し追撃を開始!
現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、
救助を続行して下さい。』
並行して任務を遂行しなければならない、という高度な要求に現場の難易度が何れ程の物なのか痛感させられる。
救助所の近くには出久がおり、敵を見据えていた。
一気に縮地でその近くに飛び込み、構成員達が突撃して来るのを個性を宿した刀で迎え打った。
「覇導一神昇華流 山斬花!」
敵の一部が大きく右の方へ薙ぎ倒され、吹き飛んで行く。
そんな構成員を出久が、普段から大きな目を丸くして驚いた顔で見ていた。
「大和君!!?!?えっ、強!!!!?」
「疾く救助所の者達を避難させてくれ!」
「う、うん!」
出久の近くにいた真堂殿も個性で対抗しようとしたが、其方には鯱の敵役が立ち塞がる。
一瞬で間合いを詰められ、何やら衝撃波の様なものを受けて真堂殿が怯んでいた。
「この実力差で殿二人…?なめられたものだ…!」
膝を着いた真堂殿の方を見て咄嗟に其方へ向かおうとするが、冷気を感じてそのまま構成員の無力化に注力した。
ガガガッ!!
地面を隆起させ、俺の視界の先を大きな氷壁が通り過ぎていく。
出久の元へ尾白殿や芦戸殿、常闇殿が合流した。
焦凍と目が合い、頷く。
其方は任せた。と、言葉を掛けずとも通じた。
しかし、上空から何やら声が聞こえる。
「ふぅきィイイイイ飛べえええっっ!!!」
旋回しながら突撃してきたのは、イナサ殿だった。
外套を風に遊ばせながら、やる気満々な彼はその闘気を上げ続けている。
「敵乱入とか!!!
なかなか熱い展開にしてくれるじゃないっスか!!」
イナサ殿の派手な登場により注目が集まり、その間に他の人達が傷病者の避難を進めている。
戦闘力が強い者が早々に到着し、俺的には有難い気持ちもあったが、焦凍とイナサ殿はまたお互いの顔を見て眉間の皺を深くしていた。
その表情を見て嫌な予感が過ぎ去ったが、今はそれ所では無い。
「あんたと同着とは…!!」
「お前は、救助所の避難を手伝ったらどうだ。
”個性”的にも適任だろ。
こっちは俺と大和がやる。」
おい、俺を巻き込むな焦凍。
と言いたい所だが、俺は構成員達を薙ぎ倒しているので忙しくそれの返事はしなかった。
だが、少し目を離したのが良くなかったらしい。
イナサ殿の風が焦凍の出す炎の熱で浮き上がり、てんでバラバラな方向へ飛んでいく。
そして何やら言い合いが始まる。
これには思わず鯱の敵役も、査定する審査員も呆れ顔だ。
「あんたが手柄を渡さないよう合わせたんだ!」
「は?誰がそんな事するかよ。」
「するね!」
そして、見かねた俺が一喝入れる前に、イナサ殿が勢い良く焦凍の地雷を踏み抜いた。
「だってあんたは、あのーー
エンデヴァーの息子だ!」
「さっき…から、何なんだよ。お前。
親父は関係ね、えっ」
べち!と焦凍の体に何かが当たる。
構成員が放ったセメントガンという特殊な武器は動きを阻害する役目があるみたいだが、それに焦凍は当たったらしい。
空中でそれ何発も放たれ、避けながらエンデヴァー殿と焦凍への拒絶心を吐露するイナサ殿。
嗚呼もう、とことん嫌な予感が的中する。
同じと言われたって、今はどうでもいいじゃないか。
救けなくてはいけない命を放って、何をだらだらとしているのか。
どうしても気に入らないと突っかかるにしても、時と場合を考えてくれ。
「俺はあんたら親子のヒーローだけは、
どーにも認められないんスよォーー!!以上!!」
最悪な事にイナサ殿が放った突風が、焦凍の炎と反発し合いそれが真堂殿へ当たりそうになる。
出久が慌てて真堂殿を掴んで回避しようとしているのを認識出来ていたが、この際炎自体鎮火させてしまおう。
俺は炎の前に飛び、回転斬りの要領で刀で炎を掬い上げて舞う。
「何をしてんだよ!」
そう一喝した出久と、炎を火の粉へ霧散させた俺が回転を終わらせダン!と足を踏みしめるのはほぼ同時だった。
「……此処は、ヒーローの居る場だ。
仕事の出来ない子供であるなら、早々に撤退してくれ。」
余程俺も表情に出ていたのだろう。
焦凍やイナサ殿、そして一喝した筈の出久すらもびしりと固まっていた。
その隙を突かれて、鯱の敵は構成員と協力してセメントガンを当ててイナサ殿を地上へ落とす。
その後直ぐに焦凍も鯱の衝撃波を喰らい、膝を着いた。
脅威が無くなったと構成員は避難民達の方へ向かって行った。
俺は少し迷ったが、出久達が構成員を足止めするだろうと想定して一番の驚異である敵の首領へ目標を変えた。
鯱がイナサ殿へ仕留めに向かおうとした所を、すかさず割って入る。
「御相手願おう、鯱殿。」
「ギャングオルカだ。」
鋭い手が俺の刀を防ぎ、鍔迫り合いになる。
構成員の方は、出久と共に居た真堂殿が地面を割ったお陰で大分足止めになっていた。
俺もこんな至近距離にいれば、お得意の音波攻撃が来るだろう。
そう予測して技を備える。
パァン!!
と乾いた音が響きギャングオルカ殿が動きを止めた。
「ー!? 何、を…?!」
「覇導一神昇華流
息を吐き、無事に返せた事を安堵する。
覇牡丹という技は少し特殊で、己が出した覇気や衝撃を相手の攻撃の最高到達点に合わせて当てる事で、その威力をそのまま相手に返すカウンター技だ。
超音波という目に見えないものだが、その威力が最大で発揮されるその瞬間俺も覇気と剣戟を持って跳ね返した。
今ギャングオルカ殿は自身の技を喰らい体が麻痺しているだろうに、それでも尚立っていられるという事は元々音波に関しては耐性があるのだろう。
「な、る程、…小賢しい…!」
「!」
ギャングオルカ殿が仕掛ける前に、俺は唯ならぬ熱気を感じて飛び引いた。
瞬間、ギャングオルカ殿は炎の渦に閉じ込められる。
「…出来るではないか、ヒーロー。」
焦凍とイナサ殿の方を見て、少しは反省したのだろうと息を吐いた。
彼等の目は体が地に伏せて居ても、全く死んでいなかった。
動けなくとも虎視眈々とギャングオルカ殿を見据えて、どうにか自分達の出来る一手を投じたのだ。
ギャングオルカ殿のあの状況は、俺が先程した炎を霧散させた回転斬りからも着想を得ているのだろうか。
トップヒーローであろう彼がこれで終わる筈が無いとは思っている為、まだまだ油断は許されない状況ではあったが、漸く彼等は過ちに気付けた様で何よりだった。
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