第十七話『備えろ期末テスト』
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「成程…こういう覚え方があるのか。」
「自分で文法が組上がるレベルになるまでは、基本暗記だな。」
勝己に英語を教えて貰いつつ、俺はノートを書き連ねていく。
そんな様子の俺に勝己は「他にはあんのか?」と聞いてきた。
「後は……リスニングが苦手だ…。」
「まぁ、そうだろうな。」
それを聞いた勝己は、暫し考え俺の方を見る。
「It is not allowed for you to be defeated by a person except me.」
(てめェが俺以外に負ける事は許さねェ。)
「な、うん?勝己、いきなり言われても分からん…!」
その紡がれた言葉の意味は、勝己が教える事無く只意地悪く笑われただけであった。
「あ゛ーー!!無理!!もう今日は頭入んねぇ!!!」
「勝己の教え方は分かりやすいな。」
「そーかよ。」
それから暫く経ち、三者三様の状態で教科書を片付ける。
夕方までに及んだ勉強会はこれにてお開きとなった。
俺は難解だった点を勝己に教わり、切島殿は基礎からの復習といった具合だった。
途中古文に関しては、俺が教えたりしたが殆どは勝己に任せてしまっていた為、有難いという気持ち半分申し訳無いという気持ちもある。
今回の会計を俺と切島殿が払う、という事でこの借りはチャラだと勝己に言われていた為、俺と切島殿は伝票を持って会計へ向かった。
帰りは何故か2人共俺を送ると言い出し、暫し問答を続けたが俺が折れる結果となった。
「西椋ん家ってでっけぇーなー!」
「隣は半分野郎の家か。」
「二人共、今日は何から何まですまぬな。」
「いいって事よー!」とグッと親指を立てる切島殿と、相変わらずな態度の勝己。
そんな2人に別れを告げ、俺は玄関の戸を開け家の中へと入って行った。
「……デート楽しかったな?バクゴー。」
「うるせェ死ねカス誰がデートだ!!」
玄関先で軽い爆発音がした事は、この時の俺は知らなかった。
そして、残りの数日間教わったやり方で問題を解いたり、分からない所はラインや電話で勝己に聞いたりしながらも順調に勉強を進めて行った。
明くる日の登校日、遂に期末テストが始まる。
まずは皆が恐れる筆記を、黙々とこなしていく。
勉強の成果が出ているのか、得意科目も苦手科目もすらすらと解けた様な気がした。
思った程の難問は出てこなかったと感じたが、勉強が幸をそうしたのだろう。
また、筆記試験終わった後の上鳴殿と芦戸殿はとても明るい表情をしていた。
此方も、問題無いのかもしれんな。
そうして、日を跨ぎ演習試験当日となる。
大勢の先生と、戦闘服を着た1Aの皆が揃い踏みである。
「それじゃあ演習試験を始めていく。
この試験でももちろん赤点はある。
林間合宿行きたけりゃ、みっともねえヘマはするなよ。」
相澤先生がいつもの雰囲気で忠告をする。
それにしても、先生の人数多いな…。
絡繰との戦闘であれば、先生は此処まで必要無いのでは?
「諸君なら事前に情報仕入れて、何をするか薄々わかっているとは思うが…。」
相澤先生の襟巻が、何やらもぞもぞと動いている。
「入試みてぇなロボ無双だろ!!」
「花火!カレー!肝試ーー!!」
楽勝、という雰囲気の上鳴殿と芦戸殿がはしゃいでいる。
「残念!!
諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
相澤先生の襟巻から現れた鼠の様な服を着た動物が、あっさりとその空気を壊した。
この人物(?)は、我らの校長先生である。
教員会議で決定されたものは、ある意味では合理的で…そして俺たちにとっては中々厳しい試験内容であった。
「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!
というわけで…諸君らにはこれから、二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」
「先…生方と…!?」
生徒内に衝撃が走る。
組み合わせに関しては、既に決められているそうだ。
動きの傾向や成績、親密度………諸々を判断基準にこれから演習試験が始まる。
まず発表されたのは、焦凍と八百万殿の組でその御相手は相澤先生だった。
次の組は、出久と勝己が組み相手方はオールマイト先生という、実に難易度の高い組み合わせだった。
2人の間に嫌な空気が流れる。
その合間にも他の組み合わせが発表されていった。
「それぞれステージを用意してある。
10組一斉スタートだ。
試験の概要については、各々の対戦相手から説明される。
移動は学内バスだ。時間がもったいない。
速やかに乗れ。」
相澤先生の号令と共に、俺達はバスへ乗り込んだ。
組み合わせはこのようになった。
校長と芦戸殿、上鳴殿。13号先生と青山殿、麗日殿。
マイク先生と口田殿、耳郎殿。ミッドナイト先生と瀬呂殿、峰田殿。
スナイプ先生と葉隠殿、障子殿。セメントス先生と砂藤殿、切島殿。パワーローダー先生と天哉、尾白殿。
そして俺は、エクトプラズム先生と蛙吹殿、常闇殿と3人1組になった。
「戦闘訓練以来だな、この組み合わせは。」
バス内では思わずそう呟くと、蛙吹殿もこくこくと頷いた。
常闇殿は試験前だがいつもより自然体の様な雰囲気であり、この組み合わせに安心したのかもしれない。
「この3人なら大丈夫よ。絶対合格しましょうね。」
「然り。この饗宴に誰もが慄くだろう。」
ただ、懸念材料があるとすれば先生の『個性』が分からないと言う事だ。
授業は受けているが、実際に戦っている所を見るのは今回が初となる。
先生方で組み合わせを決めたということは、弱点を突いていく為の組み合わせにしているという事で…エクトプラズム先生の個性によっては、苦戦を強いられるかもしれない。
油断は出来ない。
俺達よりも前線に立ち、救って来たプロヒーローなのだから。
着いた場所は筒状の講堂みたいな場所で、広々としていた。
柱がいくつかあり、物陰も多い場所だがそれよりもまず演習試験の説明を受ける。
制限時間は30分。
俺達の目的は『手枷を先生に掛ける』か『誰か一人がこの場から脱出』する事。
逃げる事も条件に含まれている訳は、相手が”格上”であるからだ。
成程、実戦に近いとは正にその通りだ。
実力差がありすぎたり”個性”の相性が悪い場合は、逃げて応援を呼ぶのも延命救援である。
ステインと相対した時を思い出した。
これは、各々の判断力が試される。
しかし、先生方は体重の約半分の重りを付けるというハンデを背負った。
戦闘も視野に入れられる為、だろうか。
俺達はエクトプラズム先生の案内により、建物の中央に立っていた。
『皆位置についたね。
それじゃあ、今から雄英高1年。
期末テストを始めるよ!
レディイイーー…ゴォ!!!』
リカバリーガール殿の放送と共に、幾重ものエクトプラズム先生が現れた。
「言イ忘レタガ…我々教師陣モ諸君ラヲ……本気デ、叩キ潰ス所存。」
……やはり、一筋縄ではいかないか。
俺は愛刀を構え、2人も戦闘態勢に入った。