第二話『入試』
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「西椋主将ッ!!!!おはようございますッ!!!!」
「お早う。鍛錬は怠ってないな?」
「はいッ!!!!」
季節は冬。早朝の凝山中学校。
その学校の道場で道着袴を着た男子生徒10数名が、一斉に頭を下げる。
その礼は青みがかった長い黒髪を高い位置で結んだ、銀色で切れ長の瞳を持つ少年に向かっている。
そう、その少年は今年で15歳になる西椋 大和だ。
数々の大会を総なめし、剣道部の主将兼部長になった大和。
自身に人一倍ストイックだが、仲間には優しさを見せる大和に、周りはカリスマ性を見出したのか部員達にとても好かれていた。
入試を控えた大和はもう夏の終わりに引退したのだが、今だに後輩達が教えを乞うのでこうして道場に顔を出す。
因みに大和は年下に甘い自覚がある。
何故なら大和が6歳の頃に新しく弟が出来たからだ。
安土と名付けられた弟は今9歳になるが、中々に博識であり数字に強い。
体がそこまで強くない代わりに、勉学に目覚め今ではクラスで秀才とまで言われている。
大和はそんな子供らしくない弟が、自身の幼少時代と重なって可愛くて仕方ないらしい。
弟が自分で出来るのは分かってはいるのだが、あれやこれやと世話を焼きたがった。
その影響か、世話焼きが悪化し年下相手にはついつい手を貸してしまうのである。
そんな大和に次期部長の後輩が一人近寄ってきた。
「西椋主将、そろそろ入試なのに本当にすみません。」
「いや、俺が好きでやってる。気にしなくていい。」
ペコペコと下げる坊主頭を見ながら大和は軽く笑う。
その笑顔に奥にいた部員の何名かが撃ち抜かれていた事を、大和は知らない。
「雄英の入試は…明日でしたか?」
「そうだな。」
ヒーローを目指すにあたり、最難関と言われる国立の雄英高校を受験する事にした大和。
年々上がる偏差値は今年、なんと79。
とんでもない数字だ。
何故この学校を選んだのかというと、父の武志が雄英の卒業生だったからだ。
どうやらヒーロー科だったらしいが、詳しい話は聞かせてもらえなかった。
しかし尊敬する父からのお勧めもあり、大和の進路は中一の時点で決めていた。
流石主将…更なる高みを目指しておられる…とざわつく道場に喝を入れて、後輩達にいくつか指南をし、その場を去る。
少し乾燥した空気の校舎を大和は歩く。
階段を上がり廊下を進むと、見えてきた教室。
扉は開いており教室はガランとしていたが、一人だけ席に着いていた。
「お早う焦凍。」
「大和。おはよう。」
あの小さかった幼馴染の焦凍だ。
昔はおにいちゃん!と慕っていた焦凍だが、今となっては成長期と共に逞しく育ち、大和の身長をも越していた。
大和も平均よりは高いはずだが、5cm以上の差は正直悔しく思う。
焦凍の成長に大和が少しだけ悲しくなったのは言うまでもない。
「…焦凍の試験はいつだったか。」
「明後日だな。結果は大和より早めに来るぞ。」
焦凍も憎しみからくる努力と、父の働きにより雄英から推薦が届いていた。
推薦入試は日付が違うので、会場で会うことはないが、人数が一般より少ないので合否は早めに決まるらしい。
そうか、と大和は頷いて焦凍の後ろの席に座る。
一年間、定位置となったこの席ももう少しでお別れだ。
此方に体を向けている幼馴染に、一つ笑いかけた。
「入試、お互い健闘しよう。雄英で会おうな、焦凍。」
「!…おう。」
初めて頭を撫でた時の様に、眩しそうに目を細める焦凍を見て、さて…と明日の入試に備える大和であった。
「お早う。鍛錬は怠ってないな?」
「はいッ!!!!」
季節は冬。早朝の凝山中学校。
その学校の道場で道着袴を着た男子生徒10数名が、一斉に頭を下げる。
その礼は青みがかった長い黒髪を高い位置で結んだ、銀色で切れ長の瞳を持つ少年に向かっている。
そう、その少年は今年で15歳になる西椋 大和だ。
数々の大会を総なめし、剣道部の主将兼部長になった大和。
自身に人一倍ストイックだが、仲間には優しさを見せる大和に、周りはカリスマ性を見出したのか部員達にとても好かれていた。
入試を控えた大和はもう夏の終わりに引退したのだが、今だに後輩達が教えを乞うのでこうして道場に顔を出す。
因みに大和は年下に甘い自覚がある。
何故なら大和が6歳の頃に新しく弟が出来たからだ。
安土と名付けられた弟は今9歳になるが、中々に博識であり数字に強い。
体がそこまで強くない代わりに、勉学に目覚め今ではクラスで秀才とまで言われている。
大和はそんな子供らしくない弟が、自身の幼少時代と重なって可愛くて仕方ないらしい。
弟が自分で出来るのは分かってはいるのだが、あれやこれやと世話を焼きたがった。
その影響か、世話焼きが悪化し年下相手にはついつい手を貸してしまうのである。
そんな大和に次期部長の後輩が一人近寄ってきた。
「西椋主将、そろそろ入試なのに本当にすみません。」
「いや、俺が好きでやってる。気にしなくていい。」
ペコペコと下げる坊主頭を見ながら大和は軽く笑う。
その笑顔に奥にいた部員の何名かが撃ち抜かれていた事を、大和は知らない。
「雄英の入試は…明日でしたか?」
「そうだな。」
ヒーローを目指すにあたり、最難関と言われる国立の雄英高校を受験する事にした大和。
年々上がる偏差値は今年、なんと79。
とんでもない数字だ。
何故この学校を選んだのかというと、父の武志が雄英の卒業生だったからだ。
どうやらヒーロー科だったらしいが、詳しい話は聞かせてもらえなかった。
しかし尊敬する父からのお勧めもあり、大和の進路は中一の時点で決めていた。
流石主将…更なる高みを目指しておられる…とざわつく道場に喝を入れて、後輩達にいくつか指南をし、その場を去る。
少し乾燥した空気の校舎を大和は歩く。
階段を上がり廊下を進むと、見えてきた教室。
扉は開いており教室はガランとしていたが、一人だけ席に着いていた。
「お早う焦凍。」
「大和。おはよう。」
あの小さかった幼馴染の焦凍だ。
昔はおにいちゃん!と慕っていた焦凍だが、今となっては成長期と共に逞しく育ち、大和の身長をも越していた。
大和も平均よりは高いはずだが、5cm以上の差は正直悔しく思う。
焦凍の成長に大和が少しだけ悲しくなったのは言うまでもない。
「…焦凍の試験はいつだったか。」
「明後日だな。結果は大和より早めに来るぞ。」
焦凍も憎しみからくる努力と、父の働きにより雄英から推薦が届いていた。
推薦入試は日付が違うので、会場で会うことはないが、人数が一般より少ないので合否は早めに決まるらしい。
そうか、と大和は頷いて焦凍の後ろの席に座る。
一年間、定位置となったこの席ももう少しでお別れだ。
此方に体を向けている幼馴染に、一つ笑いかけた。
「入試、お互い健闘しよう。雄英で会おうな、焦凍。」
「!…おう。」
初めて頭を撫でた時の様に、眩しそうに目を細める焦凍を見て、さて…と明日の入試に備える大和であった。