第一話『侍少年:オリジン』
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それから一年が過ぎ、個性を理解した武志の指導の下、大和は着実に力をつけていった。
時には打ち込み、時には瞑想をし、身体的にも精神的にも鍛えられた大和は、同世代の子より大分子供らしくない子供に育った。
ジュースより渋めの緑茶を好み、ブランコで遊ぶより町内の走り込みの方が好きであり、そんな大和を周りは変わった子と思っていたが、その親を見て一同納得するのだった。
時代錯誤な剣道の道場主をする父親と、その三歩後ろを静々と歩く母親。
二人共着物を着込み、父母参加の運動会ですらも袴で参加する程。
因みに父の武志は『覇気』という個性で母の巴は『作成』という個性がある。
武志は自身の覇気を操る事が出来、人を吹き飛ばしたり人の能力を活性化させる事が出来る。
巴は簡単な造形のものを空間から生み出す事が出来る。
何方も中々の個性であり、それの複合型が大和の個性であった。
そんな強烈な環境で育った大和は、寧ろ普通の家族というものが余り良く分からなかった。
しかし、それに対して悲壮感等はなく、仲睦まじくしている両親を見て育った大和は母や姉を守る為に、今日も竹刀を握るのだ。
ある日いつも通り走り込みをする大和。
公園を曲がろうとした時に小さな声が聞こえた。
「……っ、ひっく、…っ…」
悲しそうな声。
誰かが泣いている声に、大和は足を止める。
「誰か…いるのか…?」
草むらを覗くと、そこには蹲る小さな人影。
近付くと同じ歳くらいの男の子だと分かった。
何よりも目がいくのは白と赤で綺麗に分かれている髪の毛。
大粒の涙を零しながら、声を殺す様に泣いていた。
「…何故泣いている?何処か怪我をしたのか?」
「ひっ!……だ、だれ…?」
話しかけると飛び跳ねる小さな肩。
こちらへ目を向けた男の子は、戸惑いと怯えた目で大和を見ている。
それを安心させるように、父にやってもらった事を思い出しながら膝をついて、肩の力を抜き笑いかける。
「俺は、西椋 大和。誰かの泣く声が聞こえて、此処に辿り着いた。もう大丈夫だ。…名前は?」
「……とどろき、しょうと。」
男の子は涙を止めて、大和を見る。
大和は手ぬぐいを出して、まだ濡れている焦凍の頬をぽんぽんと拭いてあげた。
その手付きに少し安心したのか、焦凍は大和にされるがままである。
「しょうと、どうして泣いていたんだ?」
「……。あのね、ぼくがよわいから、…おかあさんが…おとうさんに、なぐられて……それが、くやしくて…にげてきたの…。」
大和は驚愕した。
今まで生きていて父が母を殴る等という場面を見た事がなかったからだ。
それをもし見てしまったり、自分のせいでそうなってしまったりしたら、とても胸が苦しくなるだろう。
大和は物心付いた頃、父の真似をする様に鍛える事を始めた。
強くて優しい父を尊敬していて、少しでも近付きたかったからだ。
でも、周りの子供はボールで遊んだり画用紙に絵を描いたり、思い思いに過ごしている。
それを眺めながらも自分の好きな事…鍛える事を続けていた。
しかし、焦凍はどうだろう。
きっと『強くなる事を強制されている』のだとしたら、そこに自由はないだろうし本人がそれを望まない場合は只々辛いのだと、大和は幼いながらに解った。
「……そうか。頑張ったな、しょうと。」
自分に出来ることを探すが、思い浮かばず只小さな頭を撫でることしか出来ない大和。
そんな大和の掌を焦凍は不思議そうに見た。
「…おにいちゃんのて、かたいね。」
「…あぁ、鍛えているからな。」
「……どうして?」
自分の様に幼くして鍛えている者を見つけた焦凍は、大和に疑問を投げかける。
何と言おうか一瞬迷って、そしてすとんと降りてきた答えを口に出す。
「大切な者を護る為に。」
「ー!!」
焦凍は目を見開き、眩しそうに目を細めた。
「……ぼくも、なりたいな。」
「なれるさ。…しょうとは、母の為に泣ける優しい子だからな。」
そう言って大和は焦凍の小さな頭を撫でた。
暫くそうして一言二言話していると、公園に女性の声が聞こえてきた。
「おかあさんだ…!!」
ぱっと顔を輝かせる焦凍を見て、大和はもう大丈夫そうだなと立ち上がった。
「じゃあ、またな。しょうと。」
「またね、おにいちゃん!」
公園の出入口に駆けて行った焦凍を見届けて、走り込みに戻った。
その後、走り込みから大和が戻ると隣の日本屋敷の前で、買い物袋を持つ白い髪の女性と手を繋ぐ焦凍がいた。
「あれ?おにいちゃん!」
「……」
思わずその場で固まり、二度見した大和であった。
時には打ち込み、時には瞑想をし、身体的にも精神的にも鍛えられた大和は、同世代の子より大分子供らしくない子供に育った。
ジュースより渋めの緑茶を好み、ブランコで遊ぶより町内の走り込みの方が好きであり、そんな大和を周りは変わった子と思っていたが、その親を見て一同納得するのだった。
時代錯誤な剣道の道場主をする父親と、その三歩後ろを静々と歩く母親。
二人共着物を着込み、父母参加の運動会ですらも袴で参加する程。
因みに父の武志は『覇気』という個性で母の巴は『作成』という個性がある。
武志は自身の覇気を操る事が出来、人を吹き飛ばしたり人の能力を活性化させる事が出来る。
巴は簡単な造形のものを空間から生み出す事が出来る。
何方も中々の個性であり、それの複合型が大和の個性であった。
そんな強烈な環境で育った大和は、寧ろ普通の家族というものが余り良く分からなかった。
しかし、それに対して悲壮感等はなく、仲睦まじくしている両親を見て育った大和は母や姉を守る為に、今日も竹刀を握るのだ。
ある日いつも通り走り込みをする大和。
公園を曲がろうとした時に小さな声が聞こえた。
「……っ、ひっく、…っ…」
悲しそうな声。
誰かが泣いている声に、大和は足を止める。
「誰か…いるのか…?」
草むらを覗くと、そこには蹲る小さな人影。
近付くと同じ歳くらいの男の子だと分かった。
何よりも目がいくのは白と赤で綺麗に分かれている髪の毛。
大粒の涙を零しながら、声を殺す様に泣いていた。
「…何故泣いている?何処か怪我をしたのか?」
「ひっ!……だ、だれ…?」
話しかけると飛び跳ねる小さな肩。
こちらへ目を向けた男の子は、戸惑いと怯えた目で大和を見ている。
それを安心させるように、父にやってもらった事を思い出しながら膝をついて、肩の力を抜き笑いかける。
「俺は、西椋 大和。誰かの泣く声が聞こえて、此処に辿り着いた。もう大丈夫だ。…名前は?」
「……とどろき、しょうと。」
男の子は涙を止めて、大和を見る。
大和は手ぬぐいを出して、まだ濡れている焦凍の頬をぽんぽんと拭いてあげた。
その手付きに少し安心したのか、焦凍は大和にされるがままである。
「しょうと、どうして泣いていたんだ?」
「……。あのね、ぼくがよわいから、…おかあさんが…おとうさんに、なぐられて……それが、くやしくて…にげてきたの…。」
大和は驚愕した。
今まで生きていて父が母を殴る等という場面を見た事がなかったからだ。
それをもし見てしまったり、自分のせいでそうなってしまったりしたら、とても胸が苦しくなるだろう。
大和は物心付いた頃、父の真似をする様に鍛える事を始めた。
強くて優しい父を尊敬していて、少しでも近付きたかったからだ。
でも、周りの子供はボールで遊んだり画用紙に絵を描いたり、思い思いに過ごしている。
それを眺めながらも自分の好きな事…鍛える事を続けていた。
しかし、焦凍はどうだろう。
きっと『強くなる事を強制されている』のだとしたら、そこに自由はないだろうし本人がそれを望まない場合は只々辛いのだと、大和は幼いながらに解った。
「……そうか。頑張ったな、しょうと。」
自分に出来ることを探すが、思い浮かばず只小さな頭を撫でることしか出来ない大和。
そんな大和の掌を焦凍は不思議そうに見た。
「…おにいちゃんのて、かたいね。」
「…あぁ、鍛えているからな。」
「……どうして?」
自分の様に幼くして鍛えている者を見つけた焦凍は、大和に疑問を投げかける。
何と言おうか一瞬迷って、そしてすとんと降りてきた答えを口に出す。
「大切な者を護る為に。」
「ー!!」
焦凍は目を見開き、眩しそうに目を細めた。
「……ぼくも、なりたいな。」
「なれるさ。…しょうとは、母の為に泣ける優しい子だからな。」
そう言って大和は焦凍の小さな頭を撫でた。
暫くそうして一言二言話していると、公園に女性の声が聞こえてきた。
「おかあさんだ…!!」
ぱっと顔を輝かせる焦凍を見て、大和はもう大丈夫そうだなと立ち上がった。
「じゃあ、またな。しょうと。」
「またね、おにいちゃん!」
公園の出入口に駆けて行った焦凍を見届けて、走り込みに戻った。
その後、走り込みから大和が戻ると隣の日本屋敷の前で、買い物袋を持つ白い髪の女性と手を繋ぐ焦凍がいた。
「あれ?おにいちゃん!」
「……」
思わずその場で固まり、二度見した大和であった。