第九話『うなれ体育祭』
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『さぁいきなり障害物だ!!
まずは手始め…第一関門、ロボ・インフェルノ!!』
入試の時に対面した0ポイント
俺は刀を構え、入試の時の様に跳躍した。
しかし、あの時と一緒では少し
何より、眼下に人が多過ぎる。
「バラバラにすると、他の者に被害が出るのでな。…一気に行かせてもらう…!!」
ロボットの中心あたり、そこを狙って個性と力を愛刀に宿す。
思いっ切り腕を引き、大気に大きな風穴を開けるが如く、ロボットの中心を勢いよく穿った。
ーズガァンッ!!!
轟音と共に、ロボットの中心には大きな大きな風穴が開く。
後ろに控えていた何体かが巻き込まれており、俺はその空いた穴を突き進んだ。
『マッジかよオイ!!?1-A 西椋!!
ロボ3体にド派手な技でガッポリ穴開けやがった!!
何だよホント!お前英語以外チートか!!』
「先生それは言わないでくだされ…!!!」
マイク先生の野次に俺は少し恥ずかしくなりながらも、ロボットのトンネルを抜け地面に着地する。
この時焦凍はロボットを盛大に凍らせ、不安定な体勢で崩れたロボットを利用して妨害もしていた。
…意外と破天荒だな、焦凍。
『1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!
こいつぁシヴィー!!!
すげえな!!ワンツーが抜きん出てて…アレだな、もうなんか…ズリィな!!』
余りの出来事にマイク先生の語彙力が削られてしまっている…。
気配を読み取る限り、1-Aの生徒が矢張り一足先へ進んで来る。
他の科やB組も悪くは無いが、1-Aは何よりも立ち止まる時間が短かった。
それはそうだろう。
あの襲撃事件で、各々が様々な窮地に立たされたのだ。
その経験した事を糧にし、迷いを打ち消している。
さて、暫く思案しながら走っていると現れたのは巨大な綱渡り会場。
『第一関門チョロイってよ!!
んじゃ第二はどうさ!?
落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!
ザ・フォーーール!!!』
その猛々しい叫びを聞きながら、俺は前へ強く踏み込み跳んで行く。
綱の中心に着地しても構わない。
日頃から体幹を鍛え、どんな体制でも刀が振るえる様にしているのだからな。
只、俺が着地した後の綱は大きく揺れる為、他の者が渡るのは困難だろう。
意外な所で妨害する事になってしまった。
御免!と心の中で謝り、俺は岸へ辿り着く。
焦凍が俺との差を詰めて来ており、ほぼ同着となった。
そのすぐ後ろを、爆豪殿が爆発しながら飛んでくる。
…どんどん爆発の威力が増しているな。
俺達が競技をしている一方で、観客席も大いに盛り上がっていた。
特に焦凍はトップ2のエンデヴァーの息子、という事で注目を浴びていた。
「所であの侍みたいな生徒は誰だ!?」
「1-Aの西椋…って言ってたか?あの純粋な戦闘力と身体能力、いやぁ…凄いとしか言い様がない。」
「彼は是非ウチで活躍してもらいたいな!!」
「西椋…、西椋ってどっかで聞いた事あるんだけどなぁ…。」
プロヒーロー達が俺にも注目していた事に、俺は気付く事は無かった。
『そして早くも最終関門!!
かくしてその実態はー…一面地雷原!!!
怒りのアフガンだ!!
地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!
目と脚酷使しろ!!』
成程、荒野かと思ったが中々の罠だな。
威力は大した事無いが、音と見た目は派手だそう。
俺は神経を研ぎ澄まし、気配を探る。
地中の地雷が固まっている所は避け、慎重に進んで行った。
だが、その横を爆風が通り過ぎる。
「はっはぁ俺はーー関係ねーーー!!」
「!! 爆豪殿…!!」
俺を通り過ぎ、焦凍を抜かした爆豪殿。
二人は、お互いを牽制と妨害をしながら走って行く。
俺もそれに負けじと走った。
後ろも本気を出し始めており、気を抜く事は出来ない。
しかし、誰が之を予想出来たか。
突如臓腑で感じ取る程の揺れと、耳鳴り。
今まで以上の大爆発に、思わず後ろを見てしまう。
そこには鉄の板に乗り、此方へすっ飛んでくる緑谷殿の姿があった。
「み、緑谷殿…!!?」
『A組緑谷、爆発で猛追ーー…っつーか!!!
抜いたあああああー!!!』
まさかの追い上げに、慌てて走る速度を速める。
爆豪殿も焦凍も、足の引っ張り合いを止め緑谷殿を追う。
俺も、その三人の僅か拳二つ分まで距離を縮められた。
だが、突如墜落中の緑谷殿が、持参してきた鉄の板を大きく振り下ろす。
ー…ボオオオンッ!!!
「!なっ、…っく…!」
俺の目の前で大きな爆発が起き、それに巻き込まれ少し派手に転倒する。
遅れを取ってしまった…!!
こうなっては余り気にしていられず、俺は残りの最終関門を縮地で駆け抜ける。
何とか四位まで浮上出来たが、この最後の追い上げで、ー…右足首に激痛が走る。
「…っ!!」
転倒した際に地雷を気にして、無理な姿勢で受身を取ったからか、足首を捻ってしまった様だ…。
じくりじくりと痛む足首に、俺の遣る瀬無い悔しさは募っていく。
…後、もう少しだったのだが!
結果、一位になったのは緑谷殿。
個性を使わず、機転を利かせた彼の勝利だった。
二位は焦凍、三位に爆豪殿。
俺は四位に収まった。
「大和、さっき爆発巻き込まれてたろ。…平気か?」
焦凍が此方へ声を掛けてくる。
それに俺は「あぁ。」とだけ返し足首を確認した。
……、少し腫れ始めたか。
焦凍を見ると、俺から視線を外し観客席の方を鋭く睨んでいる。
もしかして、エンデヴァー殿が来ているのだろうか。
焦凍が思いの外張り詰めた空気になっており、俺は少し心配してしまう。
爆豪殿も、緑谷殿に負けたショックで酷く悔しそうにしていた。
「予選通過は上位42名!!!
残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!
まだ見せ場は用意されてるわ!!」
42名が会場の中央に集まり、また画面を見つめる。
「そして次からいよいよ本戦よ!!
ここからは取材陣も白熱してくるよ!
キバリなさい!!!」
何と…このまま間髪入れず第二種目か…!!
この足で何処まで行けるか…。
「さーて、第二種目よ!!
私はもう知ってるけど〜〜…何かしら!!?
言ってるそばから、コレよ!!!!」
出された文字には『騎馬戦』と書いてあった。
先程まで個人戦だった中、この者達で騎馬を組み争うのか。
皆に衝撃が走る。
二人から四人の組を作り、騎馬を組む。
基本は想像通りの騎馬戦なのだが、一つ違う所は障害物競走の結果に従い各位に割り振られたポイントがある、という事。
鉢巻の捕った数では無く、その鉢巻のポイントが重要になってくる。
そして、一位の緑谷殿に割り振られたポイントは一千万。
大逆転出来るポイントを、上位の者は常に死守しなくてはならない。
皆の視線が集まる中、そんな立場に立たされた緑谷殿は、酷く動揺する。
そして、この下克上サバイバル…騎馬戦の火蓋が切って落とされたのだった。