第八話『逆襲のヒーローズ』
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「3対6だ。」
「モヤの弱点はかっちゃんが暴いた…!!」
「とんでもねえ奴らだが、俺らでオールマイトのサポートすりゃ…撃退出来る!!」
「ダメだ!!!逃げなさい。」
意気込む四人の生徒を、オールマイト先生は諌める。
俺は、矢張りな…と愛刀に宿った個性を解いた。
「………、さっきのは俺らがサポート入らなけりゃやばかったでしょう。」
「オールマイト、血……それに時間だってないはずじゃ…。」
「それはそれだ轟少年!!ありがとな!!
しかし大丈夫!!プロの本気を見ていなさい!!」
心配し尚も助太刀を申し出る焦凍と緑谷殿を、先生は固辞した。
…緑谷殿は、オールマイト先生の『何かしら』事情を知っているのだろう。
只、今はそれを追求する時では無い。
死柄木は脳無と黒霧に命令し、俺達に向かって突撃して来た。
切島殿が硬化して立ち向かおうとした、その時。
オールマイト先生から『闘志』『覇気』『決意』、それらを相交ぜた熱意の塊がぶつけられる。
その強い思いと共に脳無と拳を交える先生。
余りの迫力に死柄木も引き下がり、様子を伺う。
自身の自慢である脳無が負ける筈ない、そういう矜持が揺らいでいるのだ。
真正面から脳無と何十発、何百発も殴り合いをするオールマイト先生。
風圧と気迫に、俺達は近付く事すら出来ない。
"無効"ではなく"吸収"と死柄木が語った個性。
裏返せば限度がある、と予想した先生は止まらない。
一発一発が百%を超える全力の打撃を撃ち込み、血を吐きながら脳無に損傷を与えていく。
「ヒーローとは、常にピンチをぶち壊していくもの!
敵よ、こんな言葉を知ってるか!!?
その言葉と共に最後の一撃を脳無に決め、余りの衝撃に脳無の巨体は吹き飛び、演習場の天井に大穴を空け場外へ飛び立って行った。
呆然とその光景を眺める俺達。
改めて、プロの世界を目の当たりにした瞬間であった。
「やはり衰えた。
全盛期なら5発も撃てば充分だったろうに。
300発以上も撃ってしまった。」
煙を出しながらいつもの笑顔で言うオールマイト先生に、俺達は安堵を、敵には畏怖を植え付けた。
「さてと
「チートが…!」
初めて悔しそうに感情を露呈させる死柄木を、オールマイト先生が牽制した。
駄々を捏ねる幼児の様に、顔を掻き歯を食いしばり情緒不安定になっていく死柄木。
その圧倒的状況を、俺達は見守っていた。
「どうした?来ないのかな!?
クリアとかなんとか言っていたが…出来るものならしてみろよ!!」
死柄木は先生の迫力に圧され、身動きが取れないでいた。
しかし、表情は読み取れないが隣で靄を広げる黒霧は冷静そうだ。
「さすがだ…。
俺たちの出る幕じゃねぇみたいだな。
大和、一旦引くぞ。」
「緑谷!西椋!
ここは退いたほうがいいぜもう。
却って人質とかにされたらやべェし…。」
焦凍と切島殿の呼び掛けに、俺は応と返事するも、隣でオールマイト先生を見つめる緑谷殿は動かない。
俺自身も先生の違和感がどうしても気になっていた。
煙が多くなる程、先生の気配が薄くなっていく様な…萎んでいく様な感じがするのだ。
尚も先生と敵は動かず、しかし冷静であった黒霧は死柄木に何やら話し込んでいる。
その言葉に、死柄木も落ち着いたのか…引っ掻く手が止まった。
「主犯格はオールマイトが何とかしてくれる!
俺たちは他の連中を助けに…。」
「緑谷、大和。」
俺は、その声掛けを聞いて一瞬判断が遅れた。
その一瞬で、緑谷殿は飛び出してしまった。
見ると黒霧が広がり、死柄木が突撃している。
オールマイト先生は…動かないでいた。
「な…緑谷!!?」
急いで個性を発現し、縮地で緑谷殿の元へ飛ぶ。
言わんこっちゃない、緑谷殿の足は折れたのかぐしゃぐしゃに宙に揺蕩っている。
「オールマイトから、離れろ!」
「二度目はありませんよ!!」
「…それは、此方の台詞だ。」
ワープで出てきた死柄木の、手。
触ると崩れる個性を持つ彼の、本体の方まで飛ぶ。
引き刃にした愛刀を、靄に突っ込んでいる肘辺りに思いっ切り叩き付け、鳩尾に渾身の蹴りを入れる。
と、同時に何処かで銃声が鳴り響いた。
「…ッガ!?」
瞬く間で手に銃撃を喰らい、俺によって腕の骨を折られ鳩尾を蹴られた事で、死柄木は此方を睨む。
「ごめんよ皆。遅くなったね。
動ける者をかき集めて来た。」
「1-Aクラス委員長、飯田天哉!!
ただいま戻りました!!!」
出入口の方では、飯田殿の懸命な働きによって先生方が揃い踏みしていた。
銃撃は先生の一人が放った物のよう。
俺は気を緩めず、地面と接触しそうになっている緑谷殿を縮地で確保する。
休む事無く、俺は死柄木に向かおうとしたが元々増援前に片付ける算段だったのか、逃走の準備をしていた。
「待て死柄木…!」
俺を見て、奴はにたりと嗤う。
「今度はちゃんと
言葉の意味が分からず止まってしまうが、また死柄木は何発も銃弾を受け、今度こそ逃走を図った。
13号先生が個性で吸い上げようとするも、それも虚しく死柄木はオールマイト先生を睨みながらこの場から消えた。
「次は殺すぞ、平和の象徴オールマイト。」
その呪詛の様な言葉を残して。