第六話『いいぞガンバレ飯田くん!』
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通勤ラッシュの電車から解放され、焦凍と共に雄英へと向かう最中門の前に蔓延る多くの人。
一体何の騒ぎかと思えば、男性に担がれている機械と何名かが持つマイクに合点がいった。
「……報道陣か?」
「大和、少し回り道してくか。」
そう言いながら脇道に逸れて行った焦凍に続き、俺達は別の入口から登校する事になった。
朝から御苦労な事だ…。
「所で焦凍はよくこの様な入口を知っていたな。」
「まぁな。」
涼しい顔で靴を履き替える焦凍に、俺は相変わらず自由奔放だなと思った。
「…ネクタイ、結べる様になったんだな。」
「あぁ。父上から教わった。」
少し胸を張りながら伝えると、何故か焦凍は残念そうにしていた。
溜め息までついている。
…何だその顔は。俺だって成長するのだぞ。
教室に着いてから、生徒達に挨拶をしていると矢張り話は校門に張り付く報道陣の話になっていた。
俺の席の周りでも、葉隠殿や障子殿が毎朝これが続くのかと辟易していた。
そんな中、朝のHRの時間となり相澤先生が相変わらずの格好でやってくる。
「昨日の戦闘訓練お疲れ。
Vと成績見させてもらった。」
書類を置きながら言う相澤先生に、皆が一瞬驚く。
当たり前かもしれんが、担任である相澤先生にも見られていたのだな…。
相澤先生は昨日の戦闘訓練で、特に問題児となっていた爆豪殿と緑谷殿それぞれを叱咤し、本題へと移った。
その独特な言い回しに、生徒達がまた臨時のテストか何かかと緊張する。
「学級委員長を決めてもらう。」
「学校っぽいの来たーーー!!!」
相澤先生が放った本題に、ホッと一息つくのが聞こえる。
と同時に、皆が手を挙げ主張しだした。
そうか、ヒーロー科ともなると集団を導くトップヒーローの素地を鍛えるものとして捉えるのだな。
俺は正直言って余り興味は無いが…。
煩くなる教室に、そろそろ一声言うべきかと思った時飯田殿が声を張った。
「静粛にしたまえ!!
"多"をけん引する責任重大な仕事だぞ…!
「やりたい者」がやれるモノではないだろう!!」
生徒達が飯田殿の言葉に耳を傾け、其方を見遣る。
「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!
民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…。
これは投票で決めるべき議案!!!」
「そびえ立ってんじゃねーか!!何故発案した!!!」
堂々と投票を提案した飯田殿だったが、ぴしりと綺麗に挙手をする右手に突っ込まれていた。
飯田殿の提案に一度難色を示した生徒達だが、確かにこの日の浅い中で複数票獲った者は信頼されているという証である。
……相澤先生は興味がないのか、寝袋に包まれて寝入ってしまったが早速投票が開始された。
それぞれが裏紙やメモ用紙を用意し、名前を書き飯田殿に渡し集まった所で開票され黒板にまとめた。
「僕三票ーーー!!!?」
結論から言うと、緑谷殿が三票で八百万殿が二票、他が一票ないしは零票だった。
俺は矢張りというか飯田殿に入れたが、飯田殿は誰かに入れたようで一票だった。
大方緑谷殿に入れたのだろう。
そして、俺にも何故か一票入っている。
零票である麗日殿は緑谷殿に入れたとして、焦凍は俺がそういうものに興味を示さない事を知っている。
きっと二票になっている八百万殿に入れたのだろう。
……と、すると…む?常闇殿が零票?
ちら、と常闇殿の方を向けば、何故かばちりと目が合い、そして逸らされてしまった。
その奥の席にいる焦凍が『分かってるぞ』と言う様な顔をしているので、取り敢えずそんな二人にまとめて『すまんな』と口だけを動かし微笑んだ。
さて、指名された緑谷殿と八百万殿が前に出て、八百万殿は悔しそうにしているが皆が拍手をして迎える事でまとまった。