第五話『猛れクソナード』
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一方、核を守る飯田殿とそれを回収しようとする無重力の女子の攻防も白熱していた。
浮かす物が無い中で自身を浮かせ核兵器へ飛び込む女子、そしてそれを自慢の俊足で核兵器ごと回避する飯田殿。
核があるにも関わらず二人の動きは大胆だが、此方も一進一退の状況だった。
しかし、生徒の殆どは爆豪殿と緑谷殿に注目している。
あまりの気迫に赤髪の男子が先生に詰め寄った。
「先生、止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ、殺しちまうぜ!?」
「いや……。」
無線をしている先生は、爆豪殿と緑谷殿の会話が聞こえているのであろう。
躊躇するという事は、爆豪殿は私怨塗れてはいるがそれなりに理解をして行動をしている、という事だ。
しかし、流石に無視する訳にはいかないだろう。
『爆豪少年。次
屋内戦において、大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!
ヒーローとしてはもちろん、敵としても愚策だそれは!
大幅減点だからな!』
注意勧告をして、先生は難しそうに息を着いた。
先生に水を差された爆豪殿は、余計に苛立ってしまった様で、遂に真正面から緑谷殿に飛び込んで行った。
しかし、猪の突撃かと思われたそれは爆風の方向転換によって技巧あるものへと変わった。
隣にいる焦凍が、珍しく口を開く。
「目眩ましを兼ねた爆破で起動変更。
そして即座にもう一回…。
考えるタイプには見えねえが意外と繊細だな。」
「慣性を殺しつつ有効打を加えるには、左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね。」
焦凍の言葉に続く様に、八百万殿がその技術の難しさを語る。
それに対して金髪の男子が顔を顰める。
「才能マンだ才能マン。ヤダヤダ…。」
尚も続く嬲り様に、モニタールーム内はやり過ぎだと声が上がる。
ここ迄痛めつけて、後はテープを巻きつければ良いだけの筈だ。
しかし、爆豪殿はそれをしない。
その異常さに、生徒達の正義感が突き動かされる。
そう。確かに、戦闘能力は頭飛び出ている爆豪殿だが…この執着と力の誇示には俺も顔が険しくなる。
「オールマイト先生…、それでも止めないのは…考えがあるのですよね?」
「……。」
俺の問いに、先生は只々モニターを凝視する。
緑谷殿は余りの猛攻に一旦爆豪殿から距離を取る。
体勢を立て直すのだろうか。
しかし、爆豪殿との会話は止めることは無くお互いに吼えあっている。
「爆豪の方が余裕なくね?」
そんな言葉が零れる程に、前しか見えなくなっていた様に感じた。
激情した二人が大技を繰り出そうとする。
流石に、これは…他の生徒も先生に詰め寄る。
『双方…中止……』
言いかけた所で、思わぬ事態が起こった。
何と緑谷殿が天井に向かって拳を突き上げたのだ。
その凄まじい力によって、5階のビルを突き抜けてまたしても大穴が開く。
そして、その穴が開いてから無重力の女子が柱を振り回し瓦礫を流星の様に繰り出したのだ。
それを飯田殿が防ごうとしたその隙に、女子は大きく浮き上がり核に張り付いたのだった。
………、素晴らしい機転かもしれんが、本物の核兵器でなくて良かったな…。
『ヒーロー…。
ヒーローチーム…WIIIIIN!!』
勝利したヒーローチームが倒れ、第一試合が終了した。
さて、保健室へ連れていかれた緑谷殿を抜いた20名で講評の時間へと移る。
「まあ、つっても…今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」
「なな!!?」
飯田殿は驚いているが、一連の流れを見ていたら一番状況に順応していた、という点では飯田殿が一番だっただろう。
じぃーんと嬉しそうにしている飯田殿と、俯き顔が見えない爆豪殿がとても対照的に思えた。
そして、訓練中に思った事は粗々挙手した八百万殿に言われてしまった。
教師としての立場が危ぶまれたのか、何だかオールマイト先生が悔しそうにしている。
八百万殿は腰に手を当てながら、堂々と胸を張った。
「常に下学上達!一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんので!」
講評も終わり、第二試合へと移行する。
次は…とくじが引かれ、ヒーローチームがBチームで敵チームがIチームとなった。
隣の焦凍が動く。
「焦凍次なのか?」
「あぁ。すぐ終わらせて帰る。」
「…ちゃんと学んでこい。」
そう諌めるが焦凍は何処吹く風だ。
「…大和が相手じゃねえなら、ほぼ一瞬で終わる。」
「俺を買い被りすぎだ。」
聞こえているのか居ないのか、焦凍は訓練場へと向かってしまった。