第五話『猛れクソナード』
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先生が二つの箱に手を突っ込み、くじを引く。
第一試合はAコンビがヒーロー、Dコンビが
緑谷殿と爆豪殿の間に衝撃が走っている。
個性把握テストの頃から爆豪殿は緑谷殿に喧嘩腰であったが、二人はどういう関係なのだろうか。
今回の訓練も一筋縄では行かなさそうだな……。
モニタールームへと移動した他生徒達。
数々のモニターを見てみるが、暗い所で目が悪くなりそうだ。
「さぁ君たちも考えて見るんだぞ!」
板と筆記用具を持ったオールマイト先生が、訓練開始の合図を出す。
さて、ヒーロー側の二人は暫くビル内を探索している。
何処に隠されたか分からない核兵器を、索敵能力もなしに探すのはそれこそ時間が掛かる。
しかし、二人は虱潰しで探していくしかないだろう。
只そう簡単に探させて貰える訳でもなく、頭上の死角から現れ奇襲を仕掛ける爆豪殿がモニターに映された。
突撃された壁が爆破で崩壊する。
緑谷殿は少し掠ったようで、マスクの一部が焼けていた。
しかし、あの状況から良く避けたものだ。
「爆豪ズッケぇ!!
奇襲なんて男らしくねえ!!」
「奇襲も戦略!彼らは今、実践の最中なんだぜ!」
…奇襲で間違いないだろう。
しかし、映し出されている慌てる飯田殿を見る限りは、爆豪殿の私怨による独断の単独暴走と感じた。
そう思案していると、緑谷殿が反撃に出る。
動きを読み、爆豪殿を見事背負い投げしたのだ。
「ほぉ、中々綺麗に決まったな。」
意外な行動に生徒達の目は釘付けだ。
……俺は緑谷殿から目を離し皆が見ている画面とは別の画面、飯田殿を見ている。
部屋の物を片付けをしている様だが、無重力の個性を持った女子の対策だろうか。
テキパキと片付けていく飯田殿を見て、成程なと感心した。
色々と話している様だが、音声がない為身振り手振りや表情でしか判断つかない。
それは他の生徒も思った様で、爆豪殿や緑谷殿が話している度に首を傾げていた。
「アイツ何話してんだ?
定点カメラで音声がないとわかんねえな。」
「小型無線でコンビと話してるのさ!
持ち物は
そしてこの確保テープ!
コレを相手に巻き付けた時点で「捕えた」証明となる!!」
掲げられた白いテープを見て、桃色髪の女子が先生に訪ねた。
「制限時間は15分間で「核」の場所は「ヒーロー」に知らされてないんですよね?」
「Yes!」
その答えに女子は顔を曇らせた。
「ヒーロー側が圧倒的に不利ですね。コレ。」
「相澤くんにも言われたろ?アレだよ。
せーの!Plus ultra!」
「あ、ムッシュ 爆豪が!」
特にその掛け声に乗る事をせず、自由気ままに画面を見ていたマントの男子がその格言を遮る。
少し恨めしそうに見ていた先生だが、直ぐに持ち直した。
爆発の浮力を利用して起き上がり、また緑谷殿に向かっていく爆豪殿。
それを予想していたのか緑谷殿は無重力の女子を先に行かせ、爆豪殿と一対一の勝負に出る。
爆豪殿の鋭い蹴りが炸裂するが、そこに巻かれている白い物は確保用テープ。
それに焦った爆豪殿は、緑谷殿に大きく振りかぶった右腕を食らわそうとするが、それを緑谷殿は避ける。
「すげえなあいつ!!"個性"使わずに渡り合ってるぞ!」
思わず熱くなるモニタールームの生徒達を尻目に、俺も二人の力量を測っていた。
緑谷殿は爆豪殿から一旦離れ、戦線を離脱する。
その間探し回る爆豪殿は、掌を爆発させ威嚇しながら音声がなくとも分かるくらいに苛ついていた。
「何をそんなにムキになるのか…。」
思い通りにいかぬからぐずってしまう子供のようにも、見えなくはない。
しかし、もしかしなくとも爆豪殿は本当に緑谷殿を無個性だと思っていて、あの大人しい緑谷殿が反撃してきて焦っているのかもしれない。
「難儀な奴よな……。」
独り言ちながら、飯田殿の方を見ると無重力の女子が丁度核の前に辿り着いていた。
最初は柱の影に隠れ様子を伺っていた女子だったが、飯田殿の見事な小芝居(此方は音声なしなので動作のみ)に釣られて気を緩めてしまった。
緑谷殿と飯田殿と、あの女子は仲が良かったはず。
仲の良さが緊張感を悪い意味で解してしまった。
そして、女子に気付いた飯田殿は両手を広げ綺麗に片付いた部屋を見せてくる。
飯田殿、中々に敵役をこなしているな。
あの真面目な飯田殿がやっている動きだと思うと、確かに気を緩ませてしまうかもしれん。
そうこうしていると、遂に緑谷殿は爆豪殿に見つかってしまった。
何やら大きな篭手を緑谷殿に向けている…手榴弾の様になっているそれは、もしかしたら…。
思わず先生がマイクを使い止めに入るが、それも虚しく爆豪殿は篭手に付いている引き金を、引いた。
あまりの爆発の威力に、ビルに巨大な風穴が開く。
緑谷殿は間一髪で避けたようだが、モニタールームの生徒皆が命の危険を感じた程だった。