第五話『猛れクソナード』
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「わーたーしーがー!!」
オールマイト先生の声が聞こえる。
扉の方を見つめると、衣装を着た先生が勢い良く飛び出して来た。
「普通にドアから来た!!!」
機嫌良さそうに教卓へ向かうオールマイト先生は、合格通知の映像以来だ。
本当に教師になったのだな…。
ファンが多い教室内から控えめな歓声が聞こえてくる。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ!!
単位数も最も多いぞ。」
ぐぐぐっと屈みつつ此方へ勢い良く出てきた札には、ばとると書いてあった。
「早速だが今日はコレ!!
戦闘訓練!!!」
「戦闘……」「訓練…!」
物騒な単語にざわつく教室。
しかし、戦闘は敵を取り押さえるヒーローには付き物。
矢張り予想はしていたが必要になってくるな。
「そしてそいつに伴って…こちら!!!」
先生は壁を指さす。
「!?」
ピッと電子音が鳴り、俺の左前の方にある大きな壁がゆっくりと横に出てくる。
中には…鞄だろうか?
番号が書かれた鞄が人数分入っていた。
「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた…
「おおお!!!!」
その言葉に生徒達は更に盛り上がった。
成程…彼処には戦闘服が入っていたのか。
自分の前に飛び出して来た壁を見つめる。
「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!!」
「はーい!!!」
元気良く返事した生徒達がそれぞれ鞄を受け取り、更衣室へ向かう。
俺も自身の鞄と竹刀袋を持ち、後を追った。
更衣室に着いてから鞄を開ける。
そこに入っているのは俺が予め送った要望通りの着物。
しかし、広げてみると幾つか違う部分が。
首を傾げた所でヒラリと何やらメモが落ちてきた。
『普通の着物より軽量で丈夫な素材で作りました!
動く事を想定して、勝手ではありますが袖は短めにしました。
鉢巻は相手側からは目元が見えませんが、特殊な加工によって装着者には周りが見えるようになっています。
それと!全体的に色が地味だったので裾の方に掛けてグラデーションにしたり、模様入れたりして明るめにしました!
こっちの方がヒーローらしくてカッコイイので!!』
……成程、便利な世の中になったものだ。
というか、中々に駄目出しと改良をするもんだな。
襦袢の代わりに入っていた吸水速乾が売りの、上下黒インナーを着る。
そして、水浅葱色の着物を羽織り慣れた手つきで着付ける。
やはりYシャツ等の洋服より、和服の方が落ち着いた。
紺鼠色の袴を履き黒の羽織を着て、鉢巻を目元が隠れるように巻くと完成だ。
………少し派手じゃないか?
いや、今まで無地の着物しか着なかったからそう思うのだろうか…。
最後の仕上げに愛刀を腰のホルダーに付けると、何だか視線を感じる。
「マジで…マジで侍が居る…!!」
「制服より体操服より、戦闘服のマッチ具合がヤベェ!!!」
「闇に紛れる隠密の様な雰囲気もあるが…あの出で立ちは非の打ち所のない侍だな…。」
振り向きつつ、裾や背中の解れや寄れが無いか確認した後、未だ賑やかな生徒達に、思わず声を掛ける。
「………、変だろうか?」
「全然!!!!」
「馬子にも衣装って奴だな。」
最後舌打ちしながら言ったのは爆豪殿だ。
しかし他の者は首を振ったり、親指を立ててサインをしていたりと比較的好印象の様だった。
ほっと一息つく。
何というか、雄英に来てから一段と視線を浴びる事が多く何だか照れくさくて仕方ない。
「大和、そろそろグラウンド行くぞ。」
「あ、あぁ。」
焦凍に引っ張られ更衣室を後にする。
焦凍の戦闘服は半分が凍ってるかの様な特殊な布で覆われた姿で、本当に炎を封印するんだなと思わせる形だった。
それに少し胸を痛めながらも、触れる事はせずに俺は、只歩む事に専念した…。
グラウンド・βに仁王立ちするオールマイト先生、そしてそれを前にした戦闘服を着た1-Aの未熟なヒーロー達。
「さぁ!!始めようか、有精卵共!!!
戦闘訓練のお時間だ!!!」
今まさに、俺達は卵の中の己を大きくしようと鼓舞した。