第三話『スタートライン』
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さて、色々と波乱はあったもののあれ以降は何事も無く、無事に雄英まで着いた。
1-A……何と焦凍とも同じクラスであった。
今年は1-Aに関して定員より一人多い21人のクラスだそうだ。
思わぬ僥倖に頬が緩む。
心做しか焦凍も嬉しそうにしていた。
教室の前に来るとあらゆる体型に合わせたのか、とても巨大な扉を見上げる。
やはり雄英は規模が違うなと関心しながら扉を開けて中へ進む。
「おはよう!…って、君は!!西椋君!!」
「飯田殿!」
扉の先には机を整理整頓させている飯田殿がいた。
入試以来だ。無事に合格出来たのを知り、気分が高揚する。
「飯田殿、此方に居るのは俺の幼馴染で凝山中学校出身の、轟焦凍だ。…あ、焦凍!」
飯田殿に焦凍の紹介をしていたら、その間をするりと抜けて電子黒板の前に行ってしまった焦凍に軽く頭を抱える。
全く、猫みたいな奴だ…。
飯田殿は気にしていないようで、それよりも俺との再会に喜んでいる様だった。
「西椋君は入試の構造に気付いていたかい?
僕は気付かなかった…よく出来た試験だったよ。」
「俺も気付いていなかった。
まぁ過ぎたものは仕方ないし、それよりこうしてまた会えたのは素直に嬉しく思う。」
何やら悔しがっている飯田殿にそう言うとじぃんと浸っている。
「ぼ、俺もだ西椋君!これからも宜しく!」
そう言ってお互い握手をしてから、俺は焦凍と合流した。
先程から焦凍は何を見ているんだ?
「さっきの、誰だ?」
「飯田 天哉殿だ。彼は入試ガイダンスの際に隣の席だった。」
簡潔に話すと、焦凍は余り興味無さそうにまた目線を戻す。
それに合わせて俺も電子黒板を見てみた。
どうやら席順が表示されているらしい。
「焦凍は……、一番後ろなのか。」
「大和は…隣の列の一番前か。今までは普通に前と後ろだったから、珍しいな。」
そう、五十音順になると殆どの確率で焦凍と俺は前と後ろになったが、今回は違うらしい。
焦凍と少し離れ、指定の一番前の席に腰掛ける。
……ふむ、焦凍と遠くはなったが先生に質問しやすい良い席だ。
分からない事があれば授業後即座に聞きに行ける…。
今は仕舞われているが、机にはモニターが付いている。
後ろの席でもしっかりと黒板の内容が確認出来るようだ。
端の列という利点を活かし、竹刀袋を机と壁の隙間に立て掛ける。
そう言えば、この愛刀についてだが父上とも相談し、個性の関係上その場で調達するよりも事前に持っていた方が何かと便利な為、学校側に持ち物の申請をする事にした。
案の定申請はすぐ通された為、俺は実技では常に愛刀を所持する事になる。
まぁ、座学の時はこうやって邪魔にならん様に立て掛けるといった形だ。
「ねぇねぇ!!それ、何が入ってるの??」
「!」
物思いに耽っていた間に、いつの間にか後ろに生徒が来ていたらしい。
振り返ると、そこには制服が浮いていた。
……いや、気配はある。
幻術の類ではない。つまりは…。
「透明化の個性、か?」
「そうだよー!私、葉隠 透!!宜しくね!」
「あ、あぁ。西椋 大和だ。…これには、個性に必要な物が入っている。」
腕の部分がぶんぶんと忙しなく動いており、爛漫な声は更に声色を明るくさせていた。
普段目を見て話す事を躾られていた為、どの辺を見ればいいのか少し迷う。
雄英には、色々な生徒がいるな。
ぬう、と巨大な気配を隣から感じ葉隠殿と共に自身の右隣を見ると、とても屈強な体をした生徒がいた。
口元を布で隠して、逞しい腕が複数ある彼の存在感に少し圧倒される。
「初めまして!私は葉隠 透!」
流石葉隠殿…。肝が据わっている。
姿が見えぬ葉隠殿の挨拶に隣人は、少し驚いた様であぁと声を漏らした。
「俺は西椋 大和だ。隣の席故、宜しく頼む。」
葉隠殿に便乗して大きな隣人に声を掛ければ、その者は静かに此方を見て挨拶を介してくれた。
「障子 目蔵だ。宜しく。黒板が見えなかったらすまん。」
腕の先端から口が現れ、言葉を発する。
何とも不思議な個性だ…。
そして、成程と合点がいく。
先程から居心地悪そうにしていたのは、自身の大きさに見合わない席順に戸惑っていたのだろう。
その言葉に葉隠殿は大丈夫だよー!モニターもあるしー!と、明るく声をかけており俺自身も軽く笑いながら気にしてない事を伝えた。
少しの間、葉隠殿と障子殿とで和やかに会話をしていると、俺の前で小さな爆発が起きる。
……何やら既視感を感じる個性だな。
視線を向けると矢張りというか、入試の際に吠えてきた爆発少年がいた。