第三話『スタートライン』
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…あの雄英の入試から1週間。
そろそろ合否の結果が出る筈だ。
焦凍からはこの間、いつもの涼しい顔で「受かった。」という報告を受けた。
俺も早く結果が知りたい、と呟いたら焦凍は「大和を落とす程の愚策をするなら俺は雄英辞退する。」とまで言ってきた。
…流石に辞退だけはやめろと止めたが、焦凍の冗談は冗談に聞こえん。
「今日明日くらいで来る筈…なのだが。」
卒業式間近の午前授業だけとなった学校から帰って来て、焦凍と玄関先で別れて郵便受けを見る。
「む?」
そこには、一通の分厚い封筒が入っていた。
宛名を見てみると、国立雄英高等学校の文字。
思わず全身の毛が粟立つ。
「た、只今戻りました…!!」
玄関へ足早に向かい、靴を脱いで階段を駆け上がる。
この時ばかりは、日課の手洗いうがいを忘れて一目散に自室へ向かった。
ガタガタと勉強机に座り、一旦深呼吸をする。
震える手で封を開けると、何枚かの三つ折りされた書類と共に出てきたの、丸い機械。
これは…映像を映す機械、か?
そう思った時には目の前が人工的な光に照らされ、思わず目を細めた。
『んん”っ!!私が投映された!!!』
画面いっぱいに映し出されるオールマイトの顔。
俺の顔は今、鳩が豆鉄砲を食らっているような感じになっているだろう。
何故、NO.1ヒーローのオールマイトが?
『サムライBoyこと西椋少年!!いやぁーー!君は本当に素晴らしい成績を残してくれた!
文句無しの合格だ!!!』
HAHAHA!!という米国溢れる笑い声と共に出てきたの合格、という音。
一瞬言葉として飲み込むのが遅れた。
『多少科目によって差はあったが筆記も問題無い!
そして何と言っても実技試験!!実技試験の方は、事前に説明した
そこで君が叩き出したのが
まさか完膚無きまでに0ポイントを切っちゃうのは君が初めてだったよ!!』
入試一位合格だ、と再度合格と言われ俺はその単語に漸くハッとする。
此方へずいっと大きな手を差し出し、オールマイトは確かに俺に言った。
『私も雄英で勤める事になったから、君と同じ一年生さ!
西椋少年、君みたいなヒーローを雄英は待っていた!!』
詳細はプリントを確認してくれ!と続き、映像は終了した。
俺の様なヒーローを、か…。
何だかどっと疲れた気がする…。
資料を手に取り、俺は部屋から出た。
「うわっ」「きゃあっ」
扉を開けると同時に雪崩てくる二つの影。
姉上と安土が、折り重なって部屋の入口で蹲った。
二人して、少し気まずそうに笑っている。
「………、合格した…。」
そう気まずそうにしていた二人に漏らすと、待ってましたと言わんばかりに抱きしめられた。
俺とした事が動揺のし過ぎで二人の気配に気付かなかったとは…。不覚。
後に父上と母上、そして焦凍にも会いに行き直接報告をした。
父上からは「良くやった、これからも精進するんだぞ。」と言葉を貰う。
母上は「実はお赤飯の準備していたの。」と微笑みながら腕を捲り、今日の夕飯が豪華になる事が決定した。
そして焦凍は、やっぱりなという顔をしながら昔の時のように小さく笑ってくれた…様な気がした。
「同じクラスだといいな。」
「確か二組のみだと聞いてはいたが、どうだろうな?」
二人して首を傾げながらも、お互いが漸く一息付けて「明日の休みは二人で出かけよう。」という焦凍の言葉に「あぁ。」と安堵が混じった声で返事をした。