言葉と涙は溢れるばかり。
雪やこんこ、風邪引きこんこん
しんしんと雪が降る。いつもなら山林で眺めているはずなのに、今回は東都駅前のベンチにもたれての風景。
「山籠りしたいな……」
「今の自分、の状況考え、よう?能力が使えない、のは痛いよ?」
ぼやくあわむぎをごまもちが諫め諭す。
冬季に入り、辺り一面が銀世界の東都。厄介な怪異も雪に紛れてやってきた。
それの影響なのか、あわむぎは唯一の能力である、多種多様な四字熟語を操る【
「またちゃんも結構心配してくれたよな」
「またたび自身、も大変なのに」
【
考えても始まらない。何かしら情報を掴んでおかないと不測の事態に対処出来なくなってしまう。
「そういや、怪異の成り損ないがどうとかってあったよな?」
「うん……どこだった、かな?掲示板にまだ書いて、あるかな?」
立ち上がり、駅へ向かうごまもちを追いかけようとあわむぎも足に力を入れる。しかし。
「……あれ?何、で?」
視界がぼやけ、頭を上げると急な目眩に苛まれ。どさっと雪に埋もれる音にごまもちは振り返る。
「あわむぎ!?」
駆け寄り支えたあわむぎの身体は冬季の空気にさらされていたにも関わらず火傷をしそうなほどに熱を持っていた。
「ははっ、何か調子狂うなって、気がしたのはこれ、か……」
「今まで、放っておいたの!?そんなことより、移動しなきゃ……!」
「ごほっ、ごほっ!ごまちゃ、ごめ……」
謝罪を伝えるはずが喉がかさつき、意識が遠退き、あわむぎはそのまま体重を預けてしまう。支えきれずに雪の上に膝をつくごまもちは呆然としていた。
「どう、しよう……」
働かない頭で一生懸命考えてもいい答えは浮かばない。むしろ悪いことばかりが浮かんでは消える。
相棒の異変に気づけず、この状況を引き起こしたことに負い目を感じ。ごまもちはぽろりぽろりと涙を流した。
「今は泣く、ときじゃ、ないの、に……。この涙、も【涙海一粒】が発動しなきゃ、何の役に、も立た、ないのに……ぼく、は何をやっても……」
熱く浅く息をして眠るあわむぎを抱きしめてやることしか出来ない自分を恥じた。またたびなら、と思うも、彼女も大変だと話していたところ。
どうしようの堂々巡り。誰か、と助けも呼べず。
ごまもちとあわむぎに雪が降り積もる。
15/12/13
