言葉と涙は溢れるばかり。


いざ、西都へ



「怪異は退治されたようだね?」
「今回は出遅れたからな、新天地には一番乗りってとこだろ?」
「そんなつもりじゃないよ」
「またまたぁ……西都さいとか、どんなんだろうな」
「それを見に行くんだろ?」
「まさか、またちゃんから誘われるなんて」
「勘違いするんじゃないよ、あんたは自分で動けるから選んだんだ」

またたびの住み処で交わされる会話。あわむぎはポケットに紙とペンを詰め込み、思わずにたり。
そんな彼を見るまたたびの目は鋭く。簡単に受け流してごまもちが持ってきたゴーグルをはめる。

「気をつけて、行ってきてね?」

心配そうなごまもちの頭を撫でて、あわむぎはまたたびの隣に立つ。

「じゃあ行ってくるからな!」
「あたしらの留守中、外には出るんじゃないよ」
「分かった、だから……」

早く帰ってきてね。
それぞれが手を振り、獣人二人は歩き出す。

「さて、行くとするかね」
「だね、またちゃんがいるなら百人力だし……よーし!いざ、西都へ!」


15/11/07
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