猫又は今日も廃墟を闊歩する。
神はいずこ
「姉御が、殺される……?」
南居住区で聞こえた声。誰かがそばで話しているわけではない。機械音に変換された声は生きた拡声装置から流れる。
「あれが関係するのかね……」
空を見上げると東都とは違う、しかしどこか似通った街の風景。初めて見たときはぞっとした。今までこんなことはなかったように思う。今まではなかったいろんなことが起きている。
これは何を意味するのか。ここは、東都は、本当に生きているのか?
微々たる変化、東都の住民は何を見逃しているのだろうか?
「南ってのは鍵なのかもしれないね?」
南の空に見える都市、南居住区で聞こえた謎の声。共通項ではあるかもしれないしないかもしれない。確信を持って言えることは……。
「姉御は何を隠してるんだろうね?案内人もそうだ。何をそこまで必死になるんだ?」
誰かの声が言っていた。東都は厄介だと。
東都は誰にも存在を知られない都市であるはず。それは転生した記憶持ちの白澤、ニーナがこちらに持ち帰った情報だから間違いはないだろう。そうすると矛盾が生まれる。
「ここのことを知る奴は一体どこにいることになるのさ」
外界と隔絶された世界。しかし誰かが東都を知り厄介だと言う。ここは何なのだ。謎が謎を呼ぶ。情報は限られ紐解くにはまだまだ確証を得られない。
これからどう動くべきか。残された時間は少ないようだ。またたびは一人、熟考する。
15/03/25
*Thanks*
ニーナさん(名前のみ)