若燕焦がれる彼の大空。


お題「灯」
縛り「最後の一文を体言止めで終わらせる」





きらりきらきら、星が瞬く。
傍らの少女が寝息を立て始めたのはいつだったろう。

父は、母は、と聞かれたある日。どうしようもなく素直になれず、星になったのだ、と答えてしまった。

兄の心中なぞ知らず悟らず、屈託のない笑顔が輝いて。探しに行こう、と言葉にした妹はそれはそれは眩しかった。

夜空に溶けない白銀はさながら天の川のようで。
瞼の奥に仕舞われた黒曜はさながら宇宙のよう。

真心まこと

名前を呼んだ。起きる気配はない。

「まこと」

また呼んだ。今度は聞こえたのか、ふにゃりと笑ってみせた。

「だいすきだよ」

紡いだ愛は彼を、飛燕を兄にしてくれる。

人も鬼をも狩る異質な鬼、一度外に出向けば修羅の道。
それでも道を違わず、己を違わず。あるべき場所に帰ってこられるのは自分を待つ真心という妹の存在があるから。

「僕、頑張るからね」

あの日あの時、恩師と交わした約束は今もまだ生きている。

この世に二人、血を分けた兄妹。
これまでも、これからも。一緒ならば越えていける、一緒だから進んでいける。

愛しい妹と眠る、蒸し暑い宵の刻。
二人の命、それは地上に灯った一等星。


18/06/09
*Thanks*
真心さん
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