今ひとたびの、狩りのみちに。
【カノトへの書き出し&文末一文お題】
〔書き出し〕
あまりに自然に、幸福を祈っていた。
〔文末〕
と、まあ、これが事の始まりだそうな。
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目を閉じれば
あまりに自然に、幸福を祈っていた。
どうか、お父さんとお母さんがいつまでも元気でいられますように。
どうか、ユクモ村のみんながいつまでも笑っていられますように。
どうか、カムラの里のみんながいつまでも楽しく暮らせますように。
ただ、穏やかな川に。
ただ、猛々しい炎に。
ただ、無常の大自然に。
幼いながらに、お願いをしていた記憶がある。
聞き入れてもらったことは、多分ない。
皆が一様に、自分で道を切り拓いてきたから。
自分の理想を叶えてきたから。
願うばかりでは何も変わらない、変えていけない。
では、どうする。
成長に伴い、自問自答の数が増す。
強くなれば、何か変わるのか。
強くなれば、誰かを守れるのか。
強くなれば、笑顔を守れるのか。
答えは未だに見つからず。
しかしハンターという天職に巡り会い。
数多のモンスターと命を賭け、いくつもの拠点を移り歩いて。
一度は途絶えた道であろうと、気持ち一つでまた同じ軌跡を辿れる。
カノトは今日もまた、片手剣を取る。
此度の百竜夜行を討つために。
と、まあ、これが事の始まりだそうだ。
21/07/26
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