Episode1. はじまりの朝
Episode1.はじまりの朝
朝。いつものようにあいつはそこにいた。そして、昨日と同じように2人並んで駅まで行き、昨日と同じ時間の電車に乗った。
「いよいよ今日から授業始まるね」
「1限は数学だな」
「げ!嘘!そうだっけ?!憂鬱だな…」
陽向の成績はというと、別にいいわけでも悪いわけでもない普通だった。
「瞬は頭いいからいいよね…」
「座って授業聞いてりゃ大体分かんだろ」
「テスト前はほぼ俺に付き合わせて、瞬はほとんど勉強しないもんね」
「ま、俺は帰宅部でやることないしな。お前はバスケに打ち込んでんのに成績落ないんだから、すごいんじゃねぇの?」
俺はバスケという単語を発してすぐ、しまったと思った。別に昨日の栗林の言った言葉がどうこうではないが、何となく今はバスケの話をする気分ではなかった。当の本人はというとさして気にしている様子もなく、
「あはは、そうかな。まあでも、成績悪くて停部になっちゃどうしようもないし、頑張らないとなあ」
いつものようにニコニコして言った。ほら、やっぱり。栗林の気にしすぎなだけだ。陽向はいつものように笑っている。
「そういえば、昨日はすぐ帰れたの?」
「まあ、割とすぐ」
「栗林さんとは仲良くなれた?」
「…あいつ、意外にお喋りなんだよな」
俺がそういうと、陽向は笑った。
「…何笑ってんだよ」
「ううん。瞬とこれからまた一緒にいられるんだなあって、嬉しくなってただけ」
俺はその言葉にはあえて返事はせずに、目線を逸らした。天然のくせに、というか天然だから、というか…。陽向は俺をにこにこしながら何か言いたげに見つめていたが、気付かない振りをしつつ、電車から降りた。
「そういえば、昨日係り決めの後に話してたオリエンテーション合宿の荷造り、面倒くさいね。俺の部活ない日に一緒に買い出しでも行く?」
「…………は?」
「…………え?」
オリエンテーション…合宿…?
「…もしかして、瞬、クラス委員になったショックで覚えてない…?」
「………」
そういえば、昨日の係り決めのあと、何か戸塚が話していたような気もするが、全く覚えてない。
「戸塚先生がね、今月の下旬に2泊3日でオリエンテーション合宿をするって言ってたんだよ。新しいクラスに早く馴染めるようにって、片桐の毎年恒例行事なんだって」
「なんだよそれ…面倒くさい…」
「ほーら、そんなこと言わないで下さーい。クラス委員として、クラスの顔と名前を一致させるチャンスだよー?」
すると後ろから急に聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、おはよう栗林さん」
「おはよう、鈴井くん。…成瀬くんは、げって顔しないのー」
「…別に、してねぇよ…」
「本当かなー?…まあ、いいけど。さてと、私はこれから班決め用のくじを作らなくちゃ行けないから先に行くね」
「…それって、クラス委員の仕事か?」
「まあ、そんなところかな。でも、くじ作るだけだし私一人で大丈夫だよ。成瀬くんには班決めの時に働いてもらうからっ」
それじゃ先に行くね、と言って栗林は足早に1人学校へ向かった。
「瞬、ちゃんとクラス委員として頑張ってるね。俺は今日入部届け出したら、その後、少しだけ練習に混ざっていいみたいだから、今日も一緒に帰るのは難しそうだね…」
残念そうな顔をしながらそう言った。
「……待ってるよ」
「え、ほ、本当…?!」
寂しそうだった子犬は、俺のその一言で一瞬にしていつもの笑顔になったが、またすぐに戻った。もし、こいつに耳や尻尾が生えていたら、きっと下がったり上がったりで大忙しだ。
「…で、でもかなり待たせちゃうよね?」
「なんで今更んなこと気にしてんだよ。いつものことだろ」
いつものことだろ、と自分で言っておきながら、この3年間俺のそばにはいつも陽向がいたんだという実感が急に湧いてきた。あと何年こうして陽向のそばにいられるだろうか。
「そ、そうだね…!それじゃ、待っててもらってもいいかな?部活終わったら教室行けばいい?」
「いちいち上がってきてもらうのも悪いし、門とこいるわ」
「わかった。じゃあ、部活終わったら門のところ行くね!」
尻尾をブンブン振って喜んでいるようにも見える陽向の顔は喜びに満ちていた。俺はそういう陽向の顔が好きだった。
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「それでは今日のHRでは、オリエンテーション合宿の班決めを行おうと思う。クラス委員の2人、あとはよろしくね」
後日、HRでは班決めが行われた。栗林が作ったくじをクラスのみんなが1つずつ引き、同じ番号の人と4人1班になる。俺の仕事は、1人1人の番号を聞き、黒板に書き記すことだった。
「黒板に、何班がどこに座るか書いてあるから、くじを引いた奴から確認して座っていってくれ。班員が揃い次第、自由行動のプラン立てを行ってくれ」
慣れない仕切りをしつつ、黒板に名前を書いていく。オリエンテーション合宿の2泊3日のうちの1日は、班での自由行動が許されている。朝は9時スタートで、16時頃の集合を目安に、班員と話し合い好きな場所を回ることができる。
「はい、次…って陽向か」
「ふふ、やっぱり瞬がクラス委員ってなんだか不思議だな」
「…いいから引け」
にやにやしている陽向に、くじの入った箱を押し付ける。
「……っこれ!」
「えーと…お前、1班な」
「え!瞬たちと一緒だ!!」
予め俺と栗林の2人はくじを引いていた。そして何故か、2人とも1班だった。
「すごいよ、瞬!知り合いばかりだ!!わ〜!俺、合宿楽しみだよ!」
「…おい、栗林。くじに細工なんかしてないよな」
「ちょっと〜、人聞き悪いよ成瀬くん」
とか言いつつ、栗林の顔がにやけているのは気の所為だろうか。
「とりあえず、俺と栗林はまだ席付けないから、先お前一人で座ってて」
「了解〜。俺なりに行きたい所の候補、いくつか挙げておくね」
「おう、助かる」
正直、行きたい所を決めるなんて面倒くさいとしか思っていなかったから、誰かに決めてもらえるならそれでよかった。
「なー、俺引いてええの?」
「あ、悪い」
陽向との会話で、くじをそっちのけにしてしまっていた。俺はくじの箱を相手に渡した。
「…んじゃ、これな」
「えーっと……、お、1班だ」
「私たちの班、全員揃ったね」
「栗林、お前女1人だけどな」
「あー…、まあ仕方ないよね…」
栗林は、さして自分が女1人だということに関しては気にしていないようで、すぐ自分の仕事に戻った。さすがクラス委員、というべきか…?
「えっと、俺と栗林は全員引くまでまだ席に付けないんで、先に鈴井って奴と行きたい所の候補挙げてもらっててもいいですか」
「ほー、陽向も一緒なんか」
…ん?こいつ、陽向を知ってるのか?
「…あ!葵くんも一緒なんだね。みんな知り合いでよかった」
陽向も名前で呼んでいるということは、やっぱり2人は知り合いなのか…?
「…るせくん…!成瀬くん!次の人来てるよ!」
「あ、…あぁ、悪い」
中学時代の知り合いでないとすると、それ以前か高校の知り合いだろう。高校だとするとバスケ部繋がりなのだろうか。
「…はい!全員引き終わり!成瀬くんお疲れ様。成瀬くん先に席ついてていいよ」
「おう、栗林もお疲れ」
栗林は、黒板に書かれた生徒の名前を用紙に書き写し、先生に渡してから席についた。
「瞬、栗林さん、お疲れ様。いろいろ候補出しておいたから、2人の意見も聞かせて欲しいな」
「ふぅん、どれどれ…」
2人が候補として選んだ場所は、ありきたりなプランではあったが、どこも行く価値があるところばかりでよかった。
「提出する際に一度担任が見るからな。これなら、まずダメ出しは喰らわないだろう。俺も気になっていたところ入ってるし、いいと思う」
「うん、そうだね。これなら提出しても大丈夫そうだね。…あとね、もし時間あったらここにも寄りたいな」
栗林は、おずおずと指を指したのは所謂縁結びの神様が祀られているという神社だった。
「うん、俺はいいと思うよ。それにこれはあくまで俺と葵くんの候補だから。2人も遠慮しないで候補を出してよ」
「ありがとう、鈴井くん」
「あ、…そうだ」
「?」
俺は葵と呼ばれる方へ目を向けた。
「えと、一度自己紹介してるしクラス委員だから知ってると思うけど、成瀬瞬です」
「あ、ああ!せやな、俺ら話すの初めてやんな。俺は瀬戸葵。よろしゅうな」
「葵くんとはね、同じバスケ部なんだよ」
そういって、横から陽向が付け加えた。やっぱり。だから、2人は知り合いだったのだ。
「私は栗林千尋。成瀬くんと鈴井くんとは、同じ中学校出身なの。今後ともよろしくね」
「よろしゅうな、いいんちょちゃん。瞬は、クラス委員やから知ってるゆうのもあるけど、ちょいちょい陽向から話は聞いてたんやで」
「…陽向から、俺の話…?」
俺の話をしていたというのも気になるが、瀬戸の話し方が関西弁なのと、いきなり呼び捨てだということの方が気になってしまった。
「おう。せやから俺、瞬のことは一方的に知ってたちゅーわけ。この前なんてな、陽向が瞬の…」
「わーー!葵くん!!もういいじゃん、それは!!ね!!早くプラン立てちゃおう!」
「何慌てとるん、陽向。別にええやんか」
「べ、別に慌ててなんか…!」
例えそれがどんな内容だったとしても、2人が仲良くしていることのが腹立たしかった。…俺の知らない陽向がそこにはいた。
朝。いつものようにあいつはそこにいた。そして、昨日と同じように2人並んで駅まで行き、昨日と同じ時間の電車に乗った。
「いよいよ今日から授業始まるね」
「1限は数学だな」
「げ!嘘!そうだっけ?!憂鬱だな…」
陽向の成績はというと、別にいいわけでも悪いわけでもない普通だった。
「瞬は頭いいからいいよね…」
「座って授業聞いてりゃ大体分かんだろ」
「テスト前はほぼ俺に付き合わせて、瞬はほとんど勉強しないもんね」
「ま、俺は帰宅部でやることないしな。お前はバスケに打ち込んでんのに成績落ないんだから、すごいんじゃねぇの?」
俺はバスケという単語を発してすぐ、しまったと思った。別に昨日の栗林の言った言葉がどうこうではないが、何となく今はバスケの話をする気分ではなかった。当の本人はというとさして気にしている様子もなく、
「あはは、そうかな。まあでも、成績悪くて停部になっちゃどうしようもないし、頑張らないとなあ」
いつものようにニコニコして言った。ほら、やっぱり。栗林の気にしすぎなだけだ。陽向はいつものように笑っている。
「そういえば、昨日はすぐ帰れたの?」
「まあ、割とすぐ」
「栗林さんとは仲良くなれた?」
「…あいつ、意外にお喋りなんだよな」
俺がそういうと、陽向は笑った。
「…何笑ってんだよ」
「ううん。瞬とこれからまた一緒にいられるんだなあって、嬉しくなってただけ」
俺はその言葉にはあえて返事はせずに、目線を逸らした。天然のくせに、というか天然だから、というか…。陽向は俺をにこにこしながら何か言いたげに見つめていたが、気付かない振りをしつつ、電車から降りた。
「そういえば、昨日係り決めの後に話してたオリエンテーション合宿の荷造り、面倒くさいね。俺の部活ない日に一緒に買い出しでも行く?」
「…………は?」
「…………え?」
オリエンテーション…合宿…?
「…もしかして、瞬、クラス委員になったショックで覚えてない…?」
「………」
そういえば、昨日の係り決めのあと、何か戸塚が話していたような気もするが、全く覚えてない。
「戸塚先生がね、今月の下旬に2泊3日でオリエンテーション合宿をするって言ってたんだよ。新しいクラスに早く馴染めるようにって、片桐の毎年恒例行事なんだって」
「なんだよそれ…面倒くさい…」
「ほーら、そんなこと言わないで下さーい。クラス委員として、クラスの顔と名前を一致させるチャンスだよー?」
すると後ろから急に聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、おはよう栗林さん」
「おはよう、鈴井くん。…成瀬くんは、げって顔しないのー」
「…別に、してねぇよ…」
「本当かなー?…まあ、いいけど。さてと、私はこれから班決め用のくじを作らなくちゃ行けないから先に行くね」
「…それって、クラス委員の仕事か?」
「まあ、そんなところかな。でも、くじ作るだけだし私一人で大丈夫だよ。成瀬くんには班決めの時に働いてもらうからっ」
それじゃ先に行くね、と言って栗林は足早に1人学校へ向かった。
「瞬、ちゃんとクラス委員として頑張ってるね。俺は今日入部届け出したら、その後、少しだけ練習に混ざっていいみたいだから、今日も一緒に帰るのは難しそうだね…」
残念そうな顔をしながらそう言った。
「……待ってるよ」
「え、ほ、本当…?!」
寂しそうだった子犬は、俺のその一言で一瞬にしていつもの笑顔になったが、またすぐに戻った。もし、こいつに耳や尻尾が生えていたら、きっと下がったり上がったりで大忙しだ。
「…で、でもかなり待たせちゃうよね?」
「なんで今更んなこと気にしてんだよ。いつものことだろ」
いつものことだろ、と自分で言っておきながら、この3年間俺のそばにはいつも陽向がいたんだという実感が急に湧いてきた。あと何年こうして陽向のそばにいられるだろうか。
「そ、そうだね…!それじゃ、待っててもらってもいいかな?部活終わったら教室行けばいい?」
「いちいち上がってきてもらうのも悪いし、門とこいるわ」
「わかった。じゃあ、部活終わったら門のところ行くね!」
尻尾をブンブン振って喜んでいるようにも見える陽向の顔は喜びに満ちていた。俺はそういう陽向の顔が好きだった。
---
「それでは今日のHRでは、オリエンテーション合宿の班決めを行おうと思う。クラス委員の2人、あとはよろしくね」
後日、HRでは班決めが行われた。栗林が作ったくじをクラスのみんなが1つずつ引き、同じ番号の人と4人1班になる。俺の仕事は、1人1人の番号を聞き、黒板に書き記すことだった。
「黒板に、何班がどこに座るか書いてあるから、くじを引いた奴から確認して座っていってくれ。班員が揃い次第、自由行動のプラン立てを行ってくれ」
慣れない仕切りをしつつ、黒板に名前を書いていく。オリエンテーション合宿の2泊3日のうちの1日は、班での自由行動が許されている。朝は9時スタートで、16時頃の集合を目安に、班員と話し合い好きな場所を回ることができる。
「はい、次…って陽向か」
「ふふ、やっぱり瞬がクラス委員ってなんだか不思議だな」
「…いいから引け」
にやにやしている陽向に、くじの入った箱を押し付ける。
「……っこれ!」
「えーと…お前、1班な」
「え!瞬たちと一緒だ!!」
予め俺と栗林の2人はくじを引いていた。そして何故か、2人とも1班だった。
「すごいよ、瞬!知り合いばかりだ!!わ〜!俺、合宿楽しみだよ!」
「…おい、栗林。くじに細工なんかしてないよな」
「ちょっと〜、人聞き悪いよ成瀬くん」
とか言いつつ、栗林の顔がにやけているのは気の所為だろうか。
「とりあえず、俺と栗林はまだ席付けないから、先お前一人で座ってて」
「了解〜。俺なりに行きたい所の候補、いくつか挙げておくね」
「おう、助かる」
正直、行きたい所を決めるなんて面倒くさいとしか思っていなかったから、誰かに決めてもらえるならそれでよかった。
「なー、俺引いてええの?」
「あ、悪い」
陽向との会話で、くじをそっちのけにしてしまっていた。俺はくじの箱を相手に渡した。
「…んじゃ、これな」
「えーっと……、お、1班だ」
「私たちの班、全員揃ったね」
「栗林、お前女1人だけどな」
「あー…、まあ仕方ないよね…」
栗林は、さして自分が女1人だということに関しては気にしていないようで、すぐ自分の仕事に戻った。さすがクラス委員、というべきか…?
「えっと、俺と栗林は全員引くまでまだ席に付けないんで、先に鈴井って奴と行きたい所の候補挙げてもらっててもいいですか」
「ほー、陽向も一緒なんか」
…ん?こいつ、陽向を知ってるのか?
「…あ!葵くんも一緒なんだね。みんな知り合いでよかった」
陽向も名前で呼んでいるということは、やっぱり2人は知り合いなのか…?
「…るせくん…!成瀬くん!次の人来てるよ!」
「あ、…あぁ、悪い」
中学時代の知り合いでないとすると、それ以前か高校の知り合いだろう。高校だとするとバスケ部繋がりなのだろうか。
「…はい!全員引き終わり!成瀬くんお疲れ様。成瀬くん先に席ついてていいよ」
「おう、栗林もお疲れ」
栗林は、黒板に書かれた生徒の名前を用紙に書き写し、先生に渡してから席についた。
「瞬、栗林さん、お疲れ様。いろいろ候補出しておいたから、2人の意見も聞かせて欲しいな」
「ふぅん、どれどれ…」
2人が候補として選んだ場所は、ありきたりなプランではあったが、どこも行く価値があるところばかりでよかった。
「提出する際に一度担任が見るからな。これなら、まずダメ出しは喰らわないだろう。俺も気になっていたところ入ってるし、いいと思う」
「うん、そうだね。これなら提出しても大丈夫そうだね。…あとね、もし時間あったらここにも寄りたいな」
栗林は、おずおずと指を指したのは所謂縁結びの神様が祀られているという神社だった。
「うん、俺はいいと思うよ。それにこれはあくまで俺と葵くんの候補だから。2人も遠慮しないで候補を出してよ」
「ありがとう、鈴井くん」
「あ、…そうだ」
「?」
俺は葵と呼ばれる方へ目を向けた。
「えと、一度自己紹介してるしクラス委員だから知ってると思うけど、成瀬瞬です」
「あ、ああ!せやな、俺ら話すの初めてやんな。俺は瀬戸葵。よろしゅうな」
「葵くんとはね、同じバスケ部なんだよ」
そういって、横から陽向が付け加えた。やっぱり。だから、2人は知り合いだったのだ。
「私は栗林千尋。成瀬くんと鈴井くんとは、同じ中学校出身なの。今後ともよろしくね」
「よろしゅうな、いいんちょちゃん。瞬は、クラス委員やから知ってるゆうのもあるけど、ちょいちょい陽向から話は聞いてたんやで」
「…陽向から、俺の話…?」
俺の話をしていたというのも気になるが、瀬戸の話し方が関西弁なのと、いきなり呼び捨てだということの方が気になってしまった。
「おう。せやから俺、瞬のことは一方的に知ってたちゅーわけ。この前なんてな、陽向が瞬の…」
「わーー!葵くん!!もういいじゃん、それは!!ね!!早くプラン立てちゃおう!」
「何慌てとるん、陽向。別にええやんか」
「べ、別に慌ててなんか…!」
例えそれがどんな内容だったとしても、2人が仲良くしていることのが腹立たしかった。…俺の知らない陽向がそこにはいた。
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