●鉄火のマキちゃんとコマキちゃんと。
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「──あたいはイキでいなせな、鉄火のコマキという者さ!」
威勢のいい感じに、そう名乗るけれど。
「……イキでいなせ〜?」
わたしはコマキちゃんをまじまじと見つめ、うーんと首を捻ります。
「キュートでチャーミングの間違いでは〜?」
「なっ、なんだってー⁉︎」
そう。コマキちゃんはマキちゃんにそっくりだけど、受ける印象は正反対でした。
ちっちゃな背丈に、くりくりとした丸い目。マグロを思わせるつぶらな赤い瞳は、ビー玉のように無垢に輝いていて。
マキちゃんが「かわいくてかっこいい」だとしたら、こっちはひたすら「かわいい!」って感じ。
思わずぎゅーっと抱きしめたくなるぐらいに、愛らしい女の子なのです。
……しかし当の本人は、わたしの感想がお気に召さないみたいでして。
「てやんでいっ、あたいのどこかキュートでチャーミングってんだい! どう見てもイキでいなせでかっこいい鉄火の女だろう!」
身を乗り出して異を唱える彼女に、わたしは誤魔化し笑いをしました。
「これは失礼、つい本音が漏れちゃいました〜。てへ」
「あはは、確かにコマキちゃんは小さくてかわいいからねぇ!」
「もーっ、マキおねえちゃんまでー!」
ブンブンと腕を振ってムキになる仕草は、やっぱりどう見てもかわいい女の子そのもので。
「さてはこの子、マキちゃんの妹さんですね〜?」
「そうだね。血の繋がりはないから、正しくは妹分だけど」
そう言ってコマキちゃんの頭に手を置くマキちゃん。
「な、なんと……」
ここまでそっくりなのに、血の繋がりがないとは。
予想外の答えに絶句していると、コマキちゃんは「へへーん」と胸を張ります。
「あたいはマキおねえちゃんに憧れて修行中の身なのさ。今朝もずっと素振りをしてたからね!」
「ほうほう、それは素晴らしい心掛けですね。よしよし〜」
頭をなでなですると、コマキちゃんは「このくらい当然さ!」と済ましたように顎を上げました。
その割に口元は緩み、頬もほんのり赤く、隠しきれない愉悦が顔に滲んでいます。
褒められて照れるところも、かわいいですね〜。
「なに偉そうにしてんだい。ナナシちゃんも少しは見習いなよ。コマキちゃんはまだ小さいけど、アンタよりはずっと働き者で向上心があるからね」
「見習うと言われましても。お箸より重い物を持ったことのないわたしには、修行なんてとても〜」
「さっきまですし桶を運んでたヤツがそれを言うかい」
腕を組んで呆れるマキちゃんの横で、コマキちゃんは優越感を露わにまきすを担ぎます。
「なんだい、ナナシちゃんはイキなあたいと違って情けないんだなあ。修行をする気もないようじゃ、一生あたいみたいにはなれっこないね!」
「なるほど、キュートでチャーミングになれないのは困りますね〜」
「ちーがーうーっ、イキでいなせだってばぁっ!」
「おっと失礼〜」
てへへと誤魔化し、わたしは開き直ります。
「でもわたしはいなせじゃなくていいんです。コマキちゃんがいなせな妹なら、わたしは癒しの妹としてマキちゃんの憩いの場になりますから〜」
「なに言ってやがんだいっ。あんたみたいに何も考えてなさそうなぽやや〜んってしたヤツが、マキおねえちゃんの妹だなんて認めるもんか!」
そう息巻いてマキちゃんの腕にしがみつくコマキちゃん。
「む〜、妹だからって姉と同じように振る舞わないといけないルールはありませんよ〜?」
わたしも張り合うようにマキちゃんの反対側の腕にしがみつき。
「ちょっ、二人とも」
両腕を拘束されて戸惑うマキちゃんだけど、今のわたし達の目には入っていません。
「姉の背中を見つめてこそ一人前の妹ってもんさ! マキおねえちゃんを目指して毎日欠かさず修行してるあたいのような女こそが、妹に相応しいんだい!」
「もっともらしいことを言われようと、わたしは妹の座を降りる気はないですよ〜? マキちゃんの包容力は、この世の何にも代えがたい至高の財産ですから〜」
「なにをー!」
「むむむ〜」
姉を挟んでバチバチと睨み合う、二人の妹。
「こらこら、喧嘩はやめないかい」
マキちゃんが止めようとした時、コマキちゃんはピョンと腕から飛び退き、わたしにまきすを突きつけました。
「こうなったらナナシちゃん、あたいと勝負だい!」
「…………え〜?」
唐突な宣戦布告に、わたしは首を90度傾げるのでした。
威勢のいい感じに、そう名乗るけれど。
「……イキでいなせ〜?」
わたしはコマキちゃんをまじまじと見つめ、うーんと首を捻ります。
「キュートでチャーミングの間違いでは〜?」
「なっ、なんだってー⁉︎」
そう。コマキちゃんはマキちゃんにそっくりだけど、受ける印象は正反対でした。
ちっちゃな背丈に、くりくりとした丸い目。マグロを思わせるつぶらな赤い瞳は、ビー玉のように無垢に輝いていて。
マキちゃんが「かわいくてかっこいい」だとしたら、こっちはひたすら「かわいい!」って感じ。
思わずぎゅーっと抱きしめたくなるぐらいに、愛らしい女の子なのです。
……しかし当の本人は、わたしの感想がお気に召さないみたいでして。
「てやんでいっ、あたいのどこかキュートでチャーミングってんだい! どう見てもイキでいなせでかっこいい鉄火の女だろう!」
身を乗り出して異を唱える彼女に、わたしは誤魔化し笑いをしました。
「これは失礼、つい本音が漏れちゃいました〜。てへ」
「あはは、確かにコマキちゃんは小さくてかわいいからねぇ!」
「もーっ、マキおねえちゃんまでー!」
ブンブンと腕を振ってムキになる仕草は、やっぱりどう見てもかわいい女の子そのもので。
「さてはこの子、マキちゃんの妹さんですね〜?」
「そうだね。血の繋がりはないから、正しくは妹分だけど」
そう言ってコマキちゃんの頭に手を置くマキちゃん。
「な、なんと……」
ここまでそっくりなのに、血の繋がりがないとは。
予想外の答えに絶句していると、コマキちゃんは「へへーん」と胸を張ります。
「あたいはマキおねえちゃんに憧れて修行中の身なのさ。今朝もずっと素振りをしてたからね!」
「ほうほう、それは素晴らしい心掛けですね。よしよし〜」
頭をなでなですると、コマキちゃんは「このくらい当然さ!」と済ましたように顎を上げました。
その割に口元は緩み、頬もほんのり赤く、隠しきれない愉悦が顔に滲んでいます。
褒められて照れるところも、かわいいですね〜。
「なに偉そうにしてんだい。ナナシちゃんも少しは見習いなよ。コマキちゃんはまだ小さいけど、アンタよりはずっと働き者で向上心があるからね」
「見習うと言われましても。お箸より重い物を持ったことのないわたしには、修行なんてとても〜」
「さっきまですし桶を運んでたヤツがそれを言うかい」
腕を組んで呆れるマキちゃんの横で、コマキちゃんは優越感を露わにまきすを担ぎます。
「なんだい、ナナシちゃんはイキなあたいと違って情けないんだなあ。修行をする気もないようじゃ、一生あたいみたいにはなれっこないね!」
「なるほど、キュートでチャーミングになれないのは困りますね〜」
「ちーがーうーっ、イキでいなせだってばぁっ!」
「おっと失礼〜」
てへへと誤魔化し、わたしは開き直ります。
「でもわたしはいなせじゃなくていいんです。コマキちゃんがいなせな妹なら、わたしは癒しの妹としてマキちゃんの憩いの場になりますから〜」
「なに言ってやがんだいっ。あんたみたいに何も考えてなさそうなぽやや〜んってしたヤツが、マキおねえちゃんの妹だなんて認めるもんか!」
そう息巻いてマキちゃんの腕にしがみつくコマキちゃん。
「む〜、妹だからって姉と同じように振る舞わないといけないルールはありませんよ〜?」
わたしも張り合うようにマキちゃんの反対側の腕にしがみつき。
「ちょっ、二人とも」
両腕を拘束されて戸惑うマキちゃんだけど、今のわたし達の目には入っていません。
「姉の背中を見つめてこそ一人前の妹ってもんさ! マキおねえちゃんを目指して毎日欠かさず修行してるあたいのような女こそが、妹に相応しいんだい!」
「もっともらしいことを言われようと、わたしは妹の座を降りる気はないですよ〜? マキちゃんの包容力は、この世の何にも代えがたい至高の財産ですから〜」
「なにをー!」
「むむむ〜」
姉を挟んでバチバチと睨み合う、二人の妹。
「こらこら、喧嘩はやめないかい」
マキちゃんが止めようとした時、コマキちゃんはピョンと腕から飛び退き、わたしにまきすを突きつけました。
「こうなったらナナシちゃん、あたいと勝負だい!」
「…………え〜?」
唐突な宣戦布告に、わたしは首を90度傾げるのでした。
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