●鉄火のマキちゃんとコマキちゃんと。
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「ごちそうさま〜」
あれから何度かおかわりをして。
ようやく満足したわたしは、積み上がった空の桶をマキちゃんに返しました。
「はいよ、本当によく食べたね」
「いやはや、自分でも不思議です〜」
返した桶を見ると、その数5人前分。いつもはそれほど大食いじゃないのに、我ながら信じられない量を食べたものだと感心します。
「そりゃあたくさん運動したおかげで、おいしさも倍になったからだよ。たまにはしっかり働いて食べるメシもいいもんだろう? アンタ普段は怠けてばかりなんだからさ」
「そんなことないですよ〜。今朝だってジャムおじさんのパンをこねるのを手伝いましたし、あとバタコさんと一緒に花壇のお世話もしましたから〜」
「へえ、アンタにしてはよく働いたじゃないか。感心感心!」
「でも今回みたいにヘトヘトな思いをするのはごめんです〜」
「なら二度とつまみ食いを企まないことだね」
軽くデコピンをされ、わたしはてへへと笑いました。
「……でも、そうですね。たまには一生懸命になるのも悪くないかな〜って気持ちも、本当はちょっとだけあったり〜」
「お、ナナシちゃんもとうとう苦労のありがたみがわかってきたかい?」
「はい〜。だって──」
わたしはマキちゃんに思いっきり抱き着きました。
「その分、こうしてマキちゃんに甘やかしてもらえるんですから〜」
「おわっ、とと……まったく、ちょっとは成長できたと思ったらこれだから」
「ふふふ、マキちゃん愛してます〜」
「はいはい、本当に甘えん坊な子だねぇ」
仕方なさげに言いつつ、マキちゃんの華奢な腕はしっかりとわたしを抱き留めていました。
かわいくて美人で、スタイルもいいし。
いつも明るく元気で、おいしい鉄火巻きでみんなを笑顔にしてくれるし。
たまに厳しいけど、それ以上に優しくて面倒見がよくて。
おまけに、いざという時はとっても強くて頼もしく、悪党が襲い掛かれば自慢のまきす捌きで果敢に追い払ってくれる。
そんな鉄火の姉御肌であるマキちゃんは、まさにみんなの憧れの的。
わたしも例に漏れず彼女を慕う者であり、今ではこの通り。妹気分でべったりと懐いているのでした。
「……だけど、不思議だね」
マキちゃんはふと呟きました。いつもの彼女とは打って変わった、しんみりとした声で。
「ナナシちゃんといるとさ、たまにはこうしてのんびり肩の力を抜いて、忙しない日常から離れてみるってのも、いいもんだって思えてくるよ」
「ふふ〜、きっとマキちゃんもまた、わたしに魅了されちゃってるんですよ。わたし達、相思相愛ですね〜」
「あははは、本当にそうかもしれないね!」
二人で顔を合わせて笑いました。
いつもせかせかと働いているマキちゃんに安らぎを与える存在になれているなら、それはとっても嬉しいことです。
わたしは目を閉じて穏やかな温もりに浸りました。
そうしてしばらくマキちゃんを独り占めしていた時。
「おーーい、マキおねえちゃーーん!」
静寂の向こうから、元気な呼び声。
振り返った先にいたのは、わたしよりも年下っぽい小さな女の子。
女の子はブンブンと棒状の物を振りながら、こっちへ駆け寄ってきます。
「お、コマキちゃんじゃないか」
「こまきちゃん〜?」
初めて耳にする名前でした。
ただ、なんとなく想像はつきます。
なぜなら──
「マキおねえちゃんマキおねえちゃん、こんなところで何してるんだい?」
シャリのように真っ白な肌。
のりのように真っ黒な鉄火巻きヘア。
そして手にした棒状の物の正体は、鉄火巻き作りに欠かせない、まきす。
目の前に来た女の子は、頭からつま先までマキちゃんにそっくりな、鉄火巻きガールだったのです。
──頭の鉄火巻きは、マキちゃんと違って一本ですが。
「ちょいと一休みしてたんだよ。この子とね」
マキちゃんは腕の中を示しました。
女の子はわたしに気づき、不思議そうに瞬きをします。
「あれれ、見かけない顔だ。あんた誰だい?」
「ナナシちゃんです〜。わけあって最近パン工場に住み着いた者でして〜」
「へえ、そうかい。どーりで初めて見る顔だと思ったよ!」
「それであなたは〜?」
「あたいかい?」
女の子は勝ち気な笑みを浮かべ、手にしたまきすをビシッと突きつけました。
あれから何度かおかわりをして。
ようやく満足したわたしは、積み上がった空の桶をマキちゃんに返しました。
「はいよ、本当によく食べたね」
「いやはや、自分でも不思議です〜」
返した桶を見ると、その数5人前分。いつもはそれほど大食いじゃないのに、我ながら信じられない量を食べたものだと感心します。
「そりゃあたくさん運動したおかげで、おいしさも倍になったからだよ。たまにはしっかり働いて食べるメシもいいもんだろう? アンタ普段は怠けてばかりなんだからさ」
「そんなことないですよ〜。今朝だってジャムおじさんのパンをこねるのを手伝いましたし、あとバタコさんと一緒に花壇のお世話もしましたから〜」
「へえ、アンタにしてはよく働いたじゃないか。感心感心!」
「でも今回みたいにヘトヘトな思いをするのはごめんです〜」
「なら二度とつまみ食いを企まないことだね」
軽くデコピンをされ、わたしはてへへと笑いました。
「……でも、そうですね。たまには一生懸命になるのも悪くないかな〜って気持ちも、本当はちょっとだけあったり〜」
「お、ナナシちゃんもとうとう苦労のありがたみがわかってきたかい?」
「はい〜。だって──」
わたしはマキちゃんに思いっきり抱き着きました。
「その分、こうしてマキちゃんに甘やかしてもらえるんですから〜」
「おわっ、とと……まったく、ちょっとは成長できたと思ったらこれだから」
「ふふふ、マキちゃん愛してます〜」
「はいはい、本当に甘えん坊な子だねぇ」
仕方なさげに言いつつ、マキちゃんの華奢な腕はしっかりとわたしを抱き留めていました。
かわいくて美人で、スタイルもいいし。
いつも明るく元気で、おいしい鉄火巻きでみんなを笑顔にしてくれるし。
たまに厳しいけど、それ以上に優しくて面倒見がよくて。
おまけに、いざという時はとっても強くて頼もしく、悪党が襲い掛かれば自慢のまきす捌きで果敢に追い払ってくれる。
そんな鉄火の姉御肌であるマキちゃんは、まさにみんなの憧れの的。
わたしも例に漏れず彼女を慕う者であり、今ではこの通り。妹気分でべったりと懐いているのでした。
「……だけど、不思議だね」
マキちゃんはふと呟きました。いつもの彼女とは打って変わった、しんみりとした声で。
「ナナシちゃんといるとさ、たまにはこうしてのんびり肩の力を抜いて、忙しない日常から離れてみるってのも、いいもんだって思えてくるよ」
「ふふ〜、きっとマキちゃんもまた、わたしに魅了されちゃってるんですよ。わたし達、相思相愛ですね〜」
「あははは、本当にそうかもしれないね!」
二人で顔を合わせて笑いました。
いつもせかせかと働いているマキちゃんに安らぎを与える存在になれているなら、それはとっても嬉しいことです。
わたしは目を閉じて穏やかな温もりに浸りました。
そうしてしばらくマキちゃんを独り占めしていた時。
「おーーい、マキおねえちゃーーん!」
静寂の向こうから、元気な呼び声。
振り返った先にいたのは、わたしよりも年下っぽい小さな女の子。
女の子はブンブンと棒状の物を振りながら、こっちへ駆け寄ってきます。
「お、コマキちゃんじゃないか」
「こまきちゃん〜?」
初めて耳にする名前でした。
ただ、なんとなく想像はつきます。
なぜなら──
「マキおねえちゃんマキおねえちゃん、こんなところで何してるんだい?」
シャリのように真っ白な肌。
のりのように真っ黒な鉄火巻きヘア。
そして手にした棒状の物の正体は、鉄火巻き作りに欠かせない、まきす。
目の前に来た女の子は、頭からつま先までマキちゃんにそっくりな、鉄火巻きガールだったのです。
──頭の鉄火巻きは、マキちゃんと違って一本ですが。
「ちょいと一休みしてたんだよ。この子とね」
マキちゃんは腕の中を示しました。
女の子はわたしに気づき、不思議そうに瞬きをします。
「あれれ、見かけない顔だ。あんた誰だい?」
「ナナシちゃんです〜。わけあって最近パン工場に住み着いた者でして〜」
「へえ、そうかい。どーりで初めて見る顔だと思ったよ!」
「それであなたは〜?」
「あたいかい?」
女の子は勝ち気な笑みを浮かべ、手にしたまきすをビシッと突きつけました。