●プロローグ パン工場のみんなと。
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わたしはナナシ。みんなからはナナシちゃんと呼ばれています。
だけどそれが本当の名前なのかはわかりません。
今から一週間ほど前、わたしは山奥に倒れていたところをアンパンマンに拾われたらしいのです。
らしい、なんて曖昧なのは──それ以前の記憶を失っているから。
パン工場で目覚めた時には、わたしの中身はほとんど空っぽ。
生まれた場所も、家族も、自分の名前さえも……真っ白な霧の中をさまようように、何も思い出せなくて。
確かなのは、まだ幼い女の子であること。たったのこれだけ。
つまりは──記憶喪失なのです。
なんて絶望的な状況。これにはわたしも、どうしたものでしょう……と嘆くことしかできなくて。
そんな時、アンパンマンが言ったのです。
「それなら、記憶が戻るまでうちに住むのはどう?」
彼が自然な調子で提案すると、
「確かにそれがいいね。部屋ならちょうどここを使えるわけだし」
「わたしも賛成よ。年端もいかない女の子を一人にしておくわけにはいかないもの」
「アンアン!」
他の三人も自然に頷いたものですから。
「では、ぜひそうさせてもらいます〜」
わたしも自然にお言葉に甘えて、提案に乗っかることにしたのでした。
「あ、そうそう。これから一緒に暮らすなら、名前を考えないとだね」
「そうよねぇ、名前がないと不便だし……ねえあなた、これからなんて呼べばいいかしら?」
ジャムおじさんとバタコさんに言われて、
「う〜ん……とりあえず、ナナシと呼んでください〜」
そんな調子で名前も決まり。
「うん、きみにぴったりの名前だと思うよ。それじゃあこれからよろしくね、ナナシちゃん」
アンパンマンが両腕を広げて笑うと、ジャムおじさん、バタコさん、チーズの三人も、ニコニコとわたしを歓迎してくれて。
わたしはすっかり、このパン工場を好きになっていました。
「ではでは、今日からはここがナナシちゃんのお家ということで、朝から晩まで毎日お世話になりま〜す」
「あらあら。調子のいい子ね、もう」
ちなみにナナシという名前に深い意味はありません。なんとなく頭に浮かんだ文字を、そのまま口にしただけ。
ただ、わたしはこの名前をとても気に入っています。
みんなからナナシちゃんと呼ばれるたびに、自分がこの世界に受け入れられている気がして、心がほっとあたたかくなるから。
だけどそれが本当の名前なのかはわかりません。
今から一週間ほど前、わたしは山奥に倒れていたところをアンパンマンに拾われたらしいのです。
らしい、なんて曖昧なのは──それ以前の記憶を失っているから。
パン工場で目覚めた時には、わたしの中身はほとんど空っぽ。
生まれた場所も、家族も、自分の名前さえも……真っ白な霧の中をさまようように、何も思い出せなくて。
確かなのは、まだ幼い女の子であること。たったのこれだけ。
つまりは──記憶喪失なのです。
なんて絶望的な状況。これにはわたしも、どうしたものでしょう……と嘆くことしかできなくて。
そんな時、アンパンマンが言ったのです。
「それなら、記憶が戻るまでうちに住むのはどう?」
彼が自然な調子で提案すると、
「確かにそれがいいね。部屋ならちょうどここを使えるわけだし」
「わたしも賛成よ。年端もいかない女の子を一人にしておくわけにはいかないもの」
「アンアン!」
他の三人も自然に頷いたものですから。
「では、ぜひそうさせてもらいます〜」
わたしも自然にお言葉に甘えて、提案に乗っかることにしたのでした。
「あ、そうそう。これから一緒に暮らすなら、名前を考えないとだね」
「そうよねぇ、名前がないと不便だし……ねえあなた、これからなんて呼べばいいかしら?」
ジャムおじさんとバタコさんに言われて、
「う〜ん……とりあえず、ナナシと呼んでください〜」
そんな調子で名前も決まり。
「うん、きみにぴったりの名前だと思うよ。それじゃあこれからよろしくね、ナナシちゃん」
アンパンマンが両腕を広げて笑うと、ジャムおじさん、バタコさん、チーズの三人も、ニコニコとわたしを歓迎してくれて。
わたしはすっかり、このパン工場を好きになっていました。
「ではでは、今日からはここがナナシちゃんのお家ということで、朝から晩まで毎日お世話になりま〜す」
「あらあら。調子のいい子ね、もう」
ちなみにナナシという名前に深い意味はありません。なんとなく頭に浮かんだ文字を、そのまま口にしただけ。
ただ、わたしはこの名前をとても気に入っています。
みんなからナナシちゃんと呼ばれるたびに、自分がこの世界に受け入れられている気がして、心がほっとあたたかくなるから。