●プロローグ パン工場のみんなと。
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──チュンチュン。チチチチチ。
「…………ん〜」
小鳥のさえずりに誘われて、うっすらと瞼を開けました。
カーテン越しに差すのは、あたたかい光。
ぽかぽかの陽気に包まれて、あくびを一つこぼします。
(…………ねむい)
しばらくボーッと朝日を浴びながら、夢と現実の合間をふらふらとさまよい。
やがて、決めました。
(こんなあったかい日は……二度寝に限ります)
というわけで夢の世界に引き返そうと、再び瞼を下ろした、その時。
ガチャンッ‼︎
と、ドアが開かれたかと思うと、
「アンアーンッ‼︎」
元気な鳴き声を上げて部屋に転がり込んできたのは、一匹の犬。
「アンッ、アンッ!」
犬は勢いよくわたしに飛びつき、ゆさゆさと体を揺さぶります。
「ん〜、チーズ〜……まだ寝かせてよ〜……」
振り切るように寝返りを打ちますが、それでもチーズは引きません。
「アンアンッ、アーンッ‼︎」
「あ〜、なんて無慈悲な〜……」
布団を引き剥がされ、そのままベッドから引きずり出されるわたし。
「アンアーンッ!」
「チーズ〜、わかったから引っ張らないで〜……」
部屋を連れ出され、長い廊下を抜けて階段へ。
工房に降りると、おいしそうな匂いが漂ってきました。
そして、そこに待っていたのは──
「おはようナナシちゃん。朝ごはんができてるよ」
優しい笑顔で、ジャムおじさん。
「ナナシちゃんったら、まだ眠たそうな顔しちゃって」
爽やかな笑顔で、バタコさん。
「それでもちゃんと起きれて偉いね、ナナシちゃん」
明るい笑顔で、アンパンマン。
三つの笑顔が、わたしをあたたかく迎えてくれます。
はじめは見慣れなかったこの光景も、すっかり目に馴染んだものとなりました。
「おはよーございます、みなさ〜ん……」
こうして寝ぼけ眼で挨拶をするのも、今では日常の一つです。
チーズはパッとわたしの手を離し、四つ足でバタコさんに駆け寄りました。
「アン、アン!」
「起こしてくれてありがとう、チーズ」
「アンッ」
褒められて得意げに胸を張るチーズ。
みんなでテーブルに着き、朝食タイムに入ります。
「お〜、今日はハムエッグトーストですか。わたしこれ大好きなんです〜」
「それはよかった。ナナシちゃんが喜んでくれるなら、わたしも作った甲斐があるよ」
「さすがジャムおじさ〜ん。ではいただきま〜す」
さっそく一口齧ると、幸せな味が口の中に広がりました。
カリカリのハムに、とろけるような半熟のエッグが、こんがり焼けたパンと絶妙にマッチしています。
反対にこっちの野菜のスープは、ハーブの香るさっぱりとした風味。
どちらもおいしくて、交互に食べる手が止まりません。
「ふふ、ナナシちゃんってば。さっきまで眠たそうだったのに、もう夢中になって食べてるわ」
向かい側に座るバタコさんがくすくす笑います。
「いやぁ、ちゃんと起きれてよかったです。こんなに最高のご褒美が待ってるんですから〜」
「アーン」
隣に座るチーズから冷めた視線を感じました。
起こしてやったのは自分なのに、調子のいいヤツめ──そんな声が聞こえた気がしましたが、わたしは意に介さずトーストを味わい続けます。
「これからも頑張って早起きしようね、ナナシちゃん」
横からアンパンマンが言います。食事の必要がない彼は、いつもテーブルのサイドに立ってみんなの食事を見守っているのです。
「う〜ん……早起きはどうも苦手でして。毎日チーズが起こしてくれればいいんですけど〜」
「アンアーンッ‼︎」
たまには自分で起きろっ、とチーズが吠え、テーブルにどっと笑いが広がります。
平和で穏やかな、パン工場の朝でした。
「…………ん〜」
小鳥のさえずりに誘われて、うっすらと瞼を開けました。
カーテン越しに差すのは、あたたかい光。
ぽかぽかの陽気に包まれて、あくびを一つこぼします。
(…………ねむい)
しばらくボーッと朝日を浴びながら、夢と現実の合間をふらふらとさまよい。
やがて、決めました。
(こんなあったかい日は……二度寝に限ります)
というわけで夢の世界に引き返そうと、再び瞼を下ろした、その時。
ガチャンッ‼︎
と、ドアが開かれたかと思うと、
「アンアーンッ‼︎」
元気な鳴き声を上げて部屋に転がり込んできたのは、一匹の犬。
「アンッ、アンッ!」
犬は勢いよくわたしに飛びつき、ゆさゆさと体を揺さぶります。
「ん〜、チーズ〜……まだ寝かせてよ〜……」
振り切るように寝返りを打ちますが、それでもチーズは引きません。
「アンアンッ、アーンッ‼︎」
「あ〜、なんて無慈悲な〜……」
布団を引き剥がされ、そのままベッドから引きずり出されるわたし。
「アンアーンッ!」
「チーズ〜、わかったから引っ張らないで〜……」
部屋を連れ出され、長い廊下を抜けて階段へ。
工房に降りると、おいしそうな匂いが漂ってきました。
そして、そこに待っていたのは──
「おはようナナシちゃん。朝ごはんができてるよ」
優しい笑顔で、ジャムおじさん。
「ナナシちゃんったら、まだ眠たそうな顔しちゃって」
爽やかな笑顔で、バタコさん。
「それでもちゃんと起きれて偉いね、ナナシちゃん」
明るい笑顔で、アンパンマン。
三つの笑顔が、わたしをあたたかく迎えてくれます。
はじめは見慣れなかったこの光景も、すっかり目に馴染んだものとなりました。
「おはよーございます、みなさ〜ん……」
こうして寝ぼけ眼で挨拶をするのも、今では日常の一つです。
チーズはパッとわたしの手を離し、四つ足でバタコさんに駆け寄りました。
「アン、アン!」
「起こしてくれてありがとう、チーズ」
「アンッ」
褒められて得意げに胸を張るチーズ。
みんなでテーブルに着き、朝食タイムに入ります。
「お〜、今日はハムエッグトーストですか。わたしこれ大好きなんです〜」
「それはよかった。ナナシちゃんが喜んでくれるなら、わたしも作った甲斐があるよ」
「さすがジャムおじさ〜ん。ではいただきま〜す」
さっそく一口齧ると、幸せな味が口の中に広がりました。
カリカリのハムに、とろけるような半熟のエッグが、こんがり焼けたパンと絶妙にマッチしています。
反対にこっちの野菜のスープは、ハーブの香るさっぱりとした風味。
どちらもおいしくて、交互に食べる手が止まりません。
「ふふ、ナナシちゃんってば。さっきまで眠たそうだったのに、もう夢中になって食べてるわ」
向かい側に座るバタコさんがくすくす笑います。
「いやぁ、ちゃんと起きれてよかったです。こんなに最高のご褒美が待ってるんですから〜」
「アーン」
隣に座るチーズから冷めた視線を感じました。
起こしてやったのは自分なのに、調子のいいヤツめ──そんな声が聞こえた気がしましたが、わたしは意に介さずトーストを味わい続けます。
「これからも頑張って早起きしようね、ナナシちゃん」
横からアンパンマンが言います。食事の必要がない彼は、いつもテーブルのサイドに立ってみんなの食事を見守っているのです。
「う〜ん……早起きはどうも苦手でして。毎日チーズが起こしてくれればいいんですけど〜」
「アンアーンッ‼︎」
たまには自分で起きろっ、とチーズが吠え、テーブルにどっと笑いが広がります。
平和で穏やかな、パン工場の朝でした。