Song bird (長編連載)
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インターホンが鳴って、渋々ドアを開けるとそこには翔が立っていた。
「雛子!チャーハン作るぞ!」
そう言って、雛子のなんの了承も得ずにズカズカと部屋に入って来る。ドサリとダイニングテーブルに置かれたスーパーの袋の中を見ると、チャーハンの材料と何やら美味しそうなスイーツまで入っていた。
「翔ちゃん……わたし、お腹減ってないよ」
「そんなロクに食ってない顔してない言ってんだ。お前」
ロクに食べてない顔ってどんな顔だと、雛子は自分の頬を触る。何だかいつもよりシュッとしてるような気もする。
とりあえず座っとけ。そう言われて素直に椅子に座って翔が料理をする後ろ姿をボーっと眺める。
そういえば、前に、翔、那月、藍、嶺二の5人で餃子を作ったことを思い出す。どうしてあのメンバーになったのか経緯は覚えていないが、楽しかったことは確かだ。
餃子を包む嶺二の器用な指先を思い出して、じわりと涙が込み上げそうになるのをグッと我慢した。最近の自分は情緒がとてもおかしい。
「ほれ、完成〜!」
そんな事を考えていたら、いつの間にか料理が出来上がったようで、目の前にチャーハンと、ついでに卵のスープが添えられていた。
「「いただきます」」
2人一緒になって手を合わせる。
一口食べるといつもの味にホッとする。小さい頃からもう何十回と作ってくれた味だ。
「………おいしい」
「だろっ?!」
ニカッと笑う翔を見て、どうしてだか、ぽろりと涙が一粒こぼれた。
「お前、昔の泣き虫に戻ったな」
「……そんなことないし」
拗ねたように唇を尖らせる雛子の頭を、翔はガシガシと力強く撫でる。嶺二と違って、全然優しくない力加減だ。
「もうっ!痛いよ、翔ちゃん」
「それ食ったら雛子の好きなシュークリームもあるぞ」
「えっ、本当?」
「ちゃんと全部食ってからな」
「分かってるよ……もう、子供じゃないんだから……」
「お前はいつだって俺の妹だろ!」
「生まれたのはひなが先だよ……」
昔から何度このやり取りをすれば気が済むのだろう。
でも、何度やっても嫌いじゃないのだ。二人とも。
「翔ちゃん、ありがと」
今日の夜はいつもよりも眠れそうな気がした。