Song bird (長編連載)
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「あっ!嶺二くんだ!」
翔が学校から帰ってくると、すでに雛子はテレビに釘付けになっていた。
半年ほど前に雛子は“天使ことり”としてテレビ出演した。それが世間ではかなりの話題になっていて、雛子は小学校に行くたびに同級生や学年の違う子供達に囲まれているし、自分や弟の薫もその姉弟(従兄弟だ!といつも否定するはめになる)として雛子の事を聞かれることが多くなった。
そして、雛子のテレビ出演のおかげか、舞台の観客動員は増え続け、異例のロングランヒット公演をしている。
そのため雛子は公演がある時は学校を休み仕事をしている。ただ、休演中も学校に行ったり行かなかったりで、雛子の母親は仕事で海外にいる事が多く、そもそもが自由奔放な性格のため何も言わないが、一緒に住む祖母はなにかと心配しているようだった。
そして、当の雛子本人はというと、
「嶺二くん、かっこいいなぁ」
と、今日は休演日にも関わらず、学校にも行かずにテレビの中のとっくに旬を過ぎた子役アイドルに夢中である。
(まったく、どこがいいんだか…)
雛子が寿嶺二にお熱なのは、件の番組収録の後からだった。
どうも、ガチガチに緊張していた雛子に声を掛けて優しくしてくれたようで、それからは嶺二の唯一のレギュラー番組は毎週欠かさず見ているし、ついでに売れてなさそうなCDもなぜか3枚も家に転がっている。
その、甘ったるい顔に元気いっぱいというキャラクター。何となく翔は気に入らなかった。格好良いというなら、つい最近出てきたばかりの日向龍也というシャイニング事務所のアイドルのほうがよっぽど男気があって格好良いと思うのだが。
ただ、その事を言うと雛子がむくれて面倒臭いため、最近はなにも言わず静観するようにしている。
「つーか、お前、ちゃんと学校行けよ」
「えー、だって、学校たのしくないもん。お仕事のほうが好きだし……」
「なんで?こないだまで友達いっぱいできたって言ってたじゃん」
「お友達だって思ってたの、ひなだけだったみたい。」
そう言って、唇を尖らせてむくれる雛子に何となくそれ以上聞きづらかった。雛子とは誕生日は3月と6月であまり変わらないが学年が違うため、雛子のクラスの事はよく分からない。何かと色々あるのかもしれない。
翔はそっとその隣に座って、雛子の大好きな嶺二くんを一緒に眺めるしかなかった。
(やっぱ、なんか気に入らねー)
テレビの中で笑顔を見せるいけ好かない子役が、この10年後に翔と雛子の先輩になるとはこの時は想像すらしていなかった。