Song bird (長編連載)
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※時間系列は前話の後です。
(そういうことかぁ)
雛子との打ち合わせが終わり、足早に車に戻ってきた嶺二は、ハンドルに突っ伏して深く大きな溜め息をついた
天使ことりだった。あれは確かに。
あの頃の幼い歌声とは違うが、歌い方や声質は変わっていない。あの曲の雛子の仮歌を聞いた時に、脳裏にもう忘れかけていた光景が鮮やかに広がった。
舞台の上で楽しそうに伸びやかにピアノを弾き語りする少女の姿。
(ことりちゃん)
雛子と初めて会った時の、あの零れそうなくらい大きく見開かれた瞳。自分にだけどこか余所余所しい態度。少し困ったような表情。その全てに合点がいった。
「うわぁ、本っ当に気付かなかったな……」
車内でボソリと独り言が漏れる。
嶺二の知ることりは天真爛漫そのもので、明るく快活で表情がくるくる変わる可愛らしい女の子だった。
雛子も可愛らしさは変わらないが、どちらかというと、おとなしげで儚そうなイメージだ。
雰囲気がまるで違っていたので気付かなかったが、確かにそう思って雛子を見ると、眼鏡の奥の大きな瞳や、恥ずかしげにする表情、笑った顔の幼さ、そのどれもにことりの面影があった。
「愛音、ことりちゃんが戻って来たよ」
空を仰いで目を瞑る。
一番伝えたい相手は今はもうそこには居なかった。