賢者の石

「いい加減起きろよサクヤ」

「んん.........眠い」

布団の中でモゾモゾと動く私の上から呆れたような声が響く

「あーもー起きないと.........」

ドンッ

「重い重い!やめてよシュウヤ~」

あろう事か思いっきり人の上に乗ってきやがった。

「布団あったけー、どうしよ俺また眠くなってきた」

「寝るな!起きるからどーいーてー!こちょこちょ」

「ふわっ...おい!ひゃはは...」

シュウの脇腹をくすぐるとシュウはベッドから転がり落ちた。
「いってぇ…」

背中を打ったのか擦りながらシュウは不機嫌そうにこちらを見つめる

「ごめんて、今日はダイアゴン横丁に行く日だったね、起こしてくれて兄様に感謝感謝、」

「はー...昨日あんなに張り切ってた癖に...ジイジがご飯できてるから早く着替えて下降りて来いって」

「了解」

私サクヤ・シェヘラザードと双子の兄シュウヤ・シェヘラザードは今年からあのホグワーツ魔法魔術学校1年生として入学することが決まった。
今日は教科書やら制服など学用品を買いに行く、とシュウヤと約束していた。

着替え終わり階段を降りるとジイジことロビン・シニーと目が合った

「おはよう朔夜、早く座ってお食べ。ハグリッドと約束しているのだろう?」

穏やかに微笑むジイジは朝食を調理場から運んでいた

「おはようジイジ、うんそうなの。なんか私たちと同い年の子の付き添いで買い物するから一緒にどうだーって、」

テーブルに着くとサラダにスクランブルエッグ、美味しそうに焼きあがったクロワッサン。わあ涎が止まらない。

「俺は1人でサクヤの面倒みなくて済むと思ったら楽だけどな」

シュウヤは暖かい飲み物を手に猫舌らしくフーフーと冷ましながら目もやらずに口を挟む

「それどーいう意味だ」

「すぐどっか行くお前と買い物なんて買い物終わる前に日が暮れるに決まってる」

「むっきー!!」

すました顔に腹が立ち腹パンしようとするが手で制される

「あっぶな、ったく火傷したら笑えないんだからやめろよな」

「ふーんだ」

腹立つ奴はほっといて目の前の美味しい朝ごはんにありつく。
いつもの朝だ。
.
.

「ふーお腹いっぱい」

朝食を食べ終わりふと古いゼンマイ仕掛けの壁掛け時計を見上げると9時半。10時に漏れ鍋に集合だっけな、そろそろ出かける準備をしなくちゃな。

「シュウおまたせ」

私より先に食べ終わり、リビングで"魔法生物大百科"と書かれた本を読む兄に声をかける。

「時間か、そろそろ出掛けるか。」

読んでた本をそっとテーブルに置き斜めがけののバッグを肩にかけて立ち上がる。

「一緒に行けなくてすまないな」

暖炉に向かう私たちの背にジイジが申し訳なさそうに眉を下げて謝る

「仕方ないよ、ジイジはこれからお客さんが来るんでしょ?サクヤのことは俺に任せてよ。それにハグリッドもいるんだから大丈夫だよ。」

シュウが微笑みながら私の手首をつかんで煙突飛行ネットワークの準備をする

「じゃあシュウの事は私にま...「俺、お前に面倒かけたことないからな。」うっさい!ジイジ、それじゃ行ってくるから!」

「シュウヤ、サクヤ気をつけていってらっしゃい」

「「ダイアゴン横丁」」


ある晴れた7月31日 始まりの朝アルハレタ7ガツ31日 ハジマリノアサ
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