4月
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「じゃあ、それぞれのコートに分かれてね。ペアを組んで、ボレーとストロークの練習。15球交代。そのあとサーブ練ね。ケガしないように。」
真田先輩とはまた違うけど、よくとおる声で一人一人と目を合わせるように幸村先輩が言うと、怒号にも聞こえるくらいの大きい返事が部員の群れから返った。
『すごい…』
なんていうか、気迫?オーラ?まだプレイを見てないけど、きっと実力がきちんとあって、皆に尊敬されてる人なんだろうな、ゆいちゃんの推し。
何人かが、私たちの目の前のコートに出てきた。幸村先輩に、切原くんもいる。この人達がレギュラーらしい。女の子たちが口々に名前を叫ぶ。ほんとにアイドルのコンサートみたいだ。
いい。楽しそう。
『切原くーん‼』
私も唯一見知った人の名前を叫ぶ。切原君がこっちを向いてくれた。ピースして、笑ってくれてる。
「こっち向いてくれたね~‼ファンサだね!」
隣でゆいちゃんが私の方をぼんぼん叩く。
『これがファンサかぁ‼いいですねえ‼』
「いいでしょう‼」
カシャ、とフェンスの揺れる音がした。
緑の線の向こうに、きれいな顔があった。フェンスの網に手をかけている。
うわあ、きれいだ
「ねえ、」
話しかけてる?この辺に彼女でも立ってたかな?
左右をちらちら見てると声が降ってくる。
「君だよ、ごめんねいきなり。名前きいてもいい?」
ふふっと幸村先輩が微笑んでフェンスの間から私を指さす。
『自分、でしょうか』
「うん」
『柊、冬夜と申します…』
「俺は幸村精市っていいます。この間、君にガットを張り替えてもらったと思うんだよね。」
幸村先輩の右手に握られたラケットに目をやる。
水色の、ウィングハート。すごく見覚えがある。
ウィングハートはもう、売ってなくて、張り替えすごく緊張した。しかも、35ポンド。華奢な人に見えたから、こんなに硬く張っていいの?ほんとに?って何度も注文用紙を確認した。
『覚えてます…思い出しました‼あっ、あのときはどうもありがとうございます、あの、大丈夫ですか、硬くないですか』
「こちらこそありがとう。ばっちりだよ。いままで結構、勝手に緩く張られることが多かったけど、君は注文通りに張ってくれた。」
『そりゃあ、皆、そんなに硬かったら、きちんと飛ぶか不安になるかと…、』
「ふふ、そうなのかもね、でも、きちんと飛ぶよ。ゲーム、見てて。」
そういうと肩にかけたジャージをふわっと浮かせて、
幸村先輩はコートに戻った。
「えっ…、冬夜、幸村先輩と知り合い?」
『知り合いっていうか、お客様だったみたい。』
「すごい…、ね、いい匂いしたね」
『うん、いい匂いしたね』
自分が張ったラケットで、実際に人がプレイするところを見るのは初めて。なんだか、すごくうれしくて、わくわくした。
真田先輩とはまた違うけど、よくとおる声で一人一人と目を合わせるように幸村先輩が言うと、怒号にも聞こえるくらいの大きい返事が部員の群れから返った。
『すごい…』
なんていうか、気迫?オーラ?まだプレイを見てないけど、きっと実力がきちんとあって、皆に尊敬されてる人なんだろうな、ゆいちゃんの推し。
何人かが、私たちの目の前のコートに出てきた。幸村先輩に、切原くんもいる。この人達がレギュラーらしい。女の子たちが口々に名前を叫ぶ。ほんとにアイドルのコンサートみたいだ。
いい。楽しそう。
『切原くーん‼』
私も唯一見知った人の名前を叫ぶ。切原君がこっちを向いてくれた。ピースして、笑ってくれてる。
「こっち向いてくれたね~‼ファンサだね!」
隣でゆいちゃんが私の方をぼんぼん叩く。
『これがファンサかぁ‼いいですねえ‼』
「いいでしょう‼」
カシャ、とフェンスの揺れる音がした。
緑の線の向こうに、きれいな顔があった。フェンスの網に手をかけている。
うわあ、きれいだ
「ねえ、」
話しかけてる?この辺に彼女でも立ってたかな?
左右をちらちら見てると声が降ってくる。
「君だよ、ごめんねいきなり。名前きいてもいい?」
ふふっと幸村先輩が微笑んでフェンスの間から私を指さす。
『自分、でしょうか』
「うん」
『柊、冬夜と申します…』
「俺は幸村精市っていいます。この間、君にガットを張り替えてもらったと思うんだよね。」
幸村先輩の右手に握られたラケットに目をやる。
水色の、ウィングハート。すごく見覚えがある。
ウィングハートはもう、売ってなくて、張り替えすごく緊張した。しかも、35ポンド。華奢な人に見えたから、こんなに硬く張っていいの?ほんとに?って何度も注文用紙を確認した。
『覚えてます…思い出しました‼あっ、あのときはどうもありがとうございます、あの、大丈夫ですか、硬くないですか』
「こちらこそありがとう。ばっちりだよ。いままで結構、勝手に緩く張られることが多かったけど、君は注文通りに張ってくれた。」
『そりゃあ、皆、そんなに硬かったら、きちんと飛ぶか不安になるかと…、』
「ふふ、そうなのかもね、でも、きちんと飛ぶよ。ゲーム、見てて。」
そういうと肩にかけたジャージをふわっと浮かせて、
幸村先輩はコートに戻った。
「えっ…、冬夜、幸村先輩と知り合い?」
『知り合いっていうか、お客様だったみたい。』
「すごい…、ね、いい匂いしたね」
『うん、いい匂いしたね』
自分が張ったラケットで、実際に人がプレイするところを見るのは初めて。なんだか、すごくうれしくて、わくわくした。