ひとつめ
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「・・・・・・」
私の血が、鬼にとってご馳走の稀血だということを、
嗅覚のいい鬼が嗅ぎつけてやってきてしまったんだろう。
お館様はそう考察されていた。
「おそらく、鬼は君たちを殺すつもりは無かったんだろうね。
君たちを残して立ち去った。鬼の血の匂いは残っていないと隊士から聞いているからね、間違いないだろう。
・・・しかし、鬼殺隊が到着するより前に、誰かが来たようだね」
「誰か?」
あの後私だけ、産屋敷輝哉様と面会した。
面会といっても、痛みで動くことが出来ない私を寝たまま
屋敷の座敷へ運んでもらい、そこにお館様が来てくださった。
片目に包帯を巻いているので、
慣れない狭い視界でなんとかお館様を見上げた。
とても優しい声に、眼差しが自分を見下ろして微笑んでいて、
何となく悪い気がして無理やり起き上がり、寝台の上で頭を下げた。
動いちゃだめだと隠の人が慌てていたが、
どうしても寝たままではいられないものを感じた。
目覚めない妹の分まで、自分が恩人に礼儀を尽くさなければいけない。
そう思ったから。
今となってはなんて恐れ多いことだったんだろうと
思い出すと肝が冷えるので、普段は思い出さないようにしている。
「・・・君は、妹の変化に気づいているね?」
「!・・・はい。
梓、髪の色が違いますし、なんだか・・・以前と周りの空気が違うような気がします」
2歳離れて生まれた梓はいつも元気で破天荒で、
家族を明るくしてくれる太陽みたいな子だった。
でも、眠っている梓は、髪の色が変わって、
そのせいで肌の色も一層青白く見えて、
目を覚ました時に、今までみたいに笑ってくれるのか・・・
想像ができなかった。
「隠しても仕方がないことだから、正直に伝えよう。
しかし、このことは君と私たちだけの秘密にしなければならないかもしれない」
「え?」
「君の妹はね、
おそらく・・・“鬼”になっている。ほら、左目が治っている」
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