いつつめ
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蒸した大豆を石うすで細かく曳き、熱湯を加えて大鍋で煮る。
出来上がったものを清潔な絹や木綿の布で丁寧に濾すことで、豆乳とおからに分ける。
豆乳にはにがりを加えて型に移し、おからは調理に使うためにとっておく。
豆腐に関しても、梓の血鬼術によって形成を早めることができる。
よってあっという間に完成する。
売り物の準備が整ったのは大体いつも午前5時頃だ。
売り物は豆腐各種。
絹ごし豆腐、木綿豆腐、汲み上げ豆腐、
おぼろ豆腐、揚げ豆腐におから、
そして凝固させていない液体状の豆乳。
六時になると店の前に、『商い中』の看板を出す。
「やあ梓ちゃん、おはよう!」
「おはよう、おばさん」
近所の料亭の仲居さんが声をかけてくる。
続けて大きな屋敷のお手伝いの女の子に、定食屋さんの板前さん。
いつも開店と共に入店してくる常連さんだ。
年寄りは早起きが多く、その後もぞろぞろと人が入ってくる。
豆腐自体、そんなに高価なものではないが、
湯の葉の豆腐は通常の相場より明らかに安く、いつも作りたてで味も美味と評判だ。
いつも一晩で大豆から大豆を生産しているため、
単価なんてかかっていないので、特に値段を吊り上げる必要もないのだ。
それでも大分儲けさせてもらっている。
客が持ってきた商品を確認して、代金を受け取る。
「梓ちゃん、野菜買ってもらえるかい??」
「いいよ?」
手の中には少し干からびた大根、カブなどの根菜が見える。
「売れ残っちまってね。いつも梓ちゃんが買ってくれるから助かるよ」
そう言って、いつも多めにその女性は豆腐を買ってくれている。
「はい、お金」
手の中に、多めに銭を握って相手に握らせる。
「こんなにいいのかい?」
「うん。お野菜ありがとう」
「あの・・・姉ちゃん!!」
「ん?」
「あの・・・山で芋掘ってきたんだけど・・・」
近所に住んでいる男の子だ。
土で汚れた大きな長いものを持ってこちらを伺っている。
確か母親は、今身重で休んでいて、父親は足を怪我していて働けなくなっている、と梓は噂で聞いていたのを思い出した。
「山芋だね?珍しい野菜ありがとう。お豆腐持って帰って」
梓に風呂敷いっぱいの豆腐とお金をもらい、男の子は大喜びで帰っていった。
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