いつつめ
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人々が寝静まった真夜中過ぎ、店の奥で小さな灯が動いて移動していた。
ろうそくの灯を片手にするのは、華奢な身体に白銀の髪の小柄な少女。
梓はいつも髪の毛の長さは肩の上で揃っており、長い前髪で左目を隠している。
時刻は丑三つ時を過ぎたくらい。
紺色の着物に白い前掛けをつけて、大きな籠を背負っている。
真夜中なので部屋に明かりを灯すのは周りに迷惑になるし怪しまれかねない。
いくらここが東京といえど、都心からほど遠い静かな町はずれの下町、夜中は真っ暗になる。
だからこの時間はこうして手元のろうそくの灯で動くことにしている。
店の裏には塀に囲まれた中庭があり、
そこには大きな畑と、錦鯉が泳ぐ池がある庭園がある。
中庭に出ると、ろうそくを灯篭の中に入れる。
あたりがほんのり照らされて
畑が見渡せるほどになる。
梓は何もない畑に近づき、
前掛けの袋に手を突っ込み、中に詰まっている大豆を思い切り畑に投げた。
ぱらっ ぱらっ
固いちいさい何かがぶつかり合うかすかな音がしばらくあたりに響く。
畑全体に向けてしばらく何かをばら撒き続けると、
梓は手を下ろしてすうっと深呼吸をして目を閉じた。
身体が光に包まれ、
風もないのに髪の毛がゆらゆらと動き、
徐々に長く伸び始め、
あっという間に足の付け根までの長さになった。
目を開くと眼球は黒から、
燃えるような赤に染まっている。
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