よっつめ ~妹のおもい~
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「お館様、私、食堂を開きたい」
怪我をした隊士の人から話を聞いていると、隊士の人たちはろくに休みがない。
負傷が人手不足を招き、怪我が治りきらないまま実力のある人は任務に駆り出されている。
それこそ、ゆっくりと腰を落ち着けて食事をするのは、怪我をして療養しているときくらいだという。
療養できるのも「重症」と判断されるほどの怪我にならないと、だ。
もちろんお館様がそうさせているわけじゃない。
人手不足で仕方なくだ。
外で食事をすれば、いつ鬼が襲ってくるかわからないから、気も休まらないらしい。
「だから、鬼殺隊専用の食堂を作りたい」
言葉は少ないが、梓の言葉と瞳には強い光があった。
お館様は静かに梓の話を聞く。
そののち、しばし目を閉じ沈黙した。
やがで、目が開いた。
表情は柔らかく微笑んでいる。
「・・もちろんいいよ。鬼殺隊のために、できることを考えてくれたんだね、ありがとう梓。必要なものは何でも言ってごらん。力になるよ」
「ありがとうございます。今お世話になっている藤の家の隣に、大きな空き家があって、そこを自由に使っていいって。あと材料については~~~・・・」
てきぱきと自分の考えをお館様に伝えていく梓に、朝陽は唖然とした。
本当に自分の妹なのか・・・鬼になって、一段と見た目も中身も大人びたように思えた。
確かに梓は昔から料理を作るのが好きだ。
将来は甘味処を開きたいと言っていたくらいだ。
自分の長所を生かし、かつ今の鬼殺隊に必要であるものを見つけ出すなんて・・・
(梓・・・)
朝陽は自分で歩みだそうとする妹の姿に、誇らしさとうれしさと、ほんの少しの寂しさを感じた。
しかしその思いは間違っていると、自分の中ですぐに結論を出した。
いつまでも一緒にはいられない、それを梓はわかっていて、自分で歩んでいく道を見つけようとしているのだ。
応援せずにどうする。
自分はこの子の姉であって、唯一の「家族」なのだから・・・
2022.4.14