ふたつめ
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そのことに多少、自分の未熟さを感じているのだろう、
自分も堅物とよく言われるが、真面目なことだと思った。
「・・・朝陽!!」
「!は、はい!」
「俺の継子になるといい!!いや、なってくれ!!」
朝陽の少し切れ長な目が大きく見開かれ、
次第に眉間に皺が寄り、怪訝そうに俺の表情を伺っていた。
「継子?・・・炎柱様の、ですか?」
「煉獄でいい!!」
「煉獄様、・・・柱はお忙しい方々です。
お気持ちはうれしいですが、煩わせるわけには参りません」
継子になる者は少ない。
才能がある人材がそうそう見つからないのもあるが、
それだけではなく柱は忙しい。
人数は極めて少ないのに、作戦において鬼を最終的に斬首できるのは応援にかけつける柱の手によって、というのがほとんどだ。
そんな日々でゆっくりと弟子を育てる時間を設けるのは困難である。
「ならば、俺の任務に着いてこい!俺の手助けをしてくれ!!」
「私なんかの実力では、柱の方々の手助けは務まりませんよ」
「君の実力は知っている!
助けどころか、柱にも匹敵する実力だ、自信を持て!!」
「・・・お気持ちはとてもありがたいです。しかし私は」
「強くなりたいのだろう?妹を守るために・・・」
「!!!」
朝陽は言葉が出なかった。
どうして炎柱が妹のことを知っているのか。
考えるにすぐに思い当たる。
自分たちの恩人である先代の炎柱、槇寿郎さまから聞いたのだろう。
何も言わず、怪訝そうにこちらを見つめる朝陽すら、
可愛いなと感じている自分に少し呆れた。
「父上から、君を助けたことや妹がいることは聞いていた。
気を悪くしたなら申し訳ない。しかしそれだけだ!
昨日、君が妹と話しているのを見かけ、そうではないかと思ったのだ。」
煉獄は話しながら少しずつ朝陽の目の前に近づき、
今はすぐ目の前に立っていた。
座ったままの朝陽と目線を合わせるために膝を折り、
じっと目を覗き込んだ。
鬼になった妹を、片目を無くしたお前はずっと、守ってきたのだろう。
人間であるきみが。
恐ろしかっただろう。怖かっただろう。
どうしようもなく、叫びたいときもあっただろう。
しかしきみは逃げずに、ここまで上り詰めた。
「そんなきみに、俺はそばにいてほしい。
お前になら安心して背中を預ける。
そして俺に、命を懸けてお前を守らせてくれないか。一人の男として」
俺の言葉を聞いて君はさらに目を見開いたが、
やがて少しうつむき思案するように目を閉じ、再び顔を上げて俺を見た。
「・・・炎柱様、私たちは鬼を殲滅するための組織ですよ?
柱はその中でも限られた尊い存在です。
そんな方の命を、私などに掛けるなんて馬鹿なことをおっしゃらないでください」
確かに、
彼女の言うことは最もだった。
やはりどこまでもまっすぐで、聡明な人のようだ。
「俺は馬鹿なことを言っているつもりはない!
俺の正直な気持ちだ!君の気持ちを聞きたい!!」
「お気持ちはありがたいですが、私は闘うことを選んだ人間です!
炎柱様の気持ちに応える資格はありません」
「資格など必要ないだろう?君の気持ちを聞きたい!
俺が嫌なのなら仕方がない、そう言ってくれ!!」
「・・・私は炎柱様の言う通り、妹を守るために闘っています。
それ以外に意義は必要ありません」
朝陽の視線は鋭いままで、煉獄を受け入れる様子は微塵も感じられなかった。
しかし答えはどこか曖昧さがあって煮え切らない。
いや、欲しい答えはもらえなくて構わない。
決して自分は、疾しい自分の欲望だけで彼女を
求めているわけではないことを伝えなければ・・・
「・・・では、俺に意義をくれないか!初めて守りたいと思った女人を逃したくない!!」
「っ!!・・・・・・変な人ですね」
それがとてつもなく真面目で勤勉で、まっすぐ過ぎて何処か抜けている煉獄杏寿郎との出会いだった。
.2022.3.29