一章
貴女のなまえは?
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しかしそれからというもの、なぜかシオンの日向ぼっこに、時たま来訪者が訪れるようになっていた。
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「・・・またいるのか?」
「・・・あなたこそまた来たの?フクロウなら来てないわよ?」
「フクロウは逃げてない。・・・邪魔したな!」
「・・・なんだったの?」
~~~~~~~~~
「・・・・・・」
「この子があなたのふくろう?」
「・・・ああ」
ドラコはその日、またふくろうが見つからなくて探していた。
何となく足を向けてみたら、シオンの肩で寛いでいる見知ったふくろうが目に入る。
「私のペットは鴉なんだけど、ふくろうもふわふわしてて可愛いのね!日本にもいるけど、あまり人前には来てくれないから」
「そうなのか?」
話をしながら近づいて、何となく話題が尽きなくて、気づいたらドラコはその場に座り込んでいた。
シオンはふくろうから始まり、イギリスの文化に興味があるらしく、日本との違いを色々聞かれた。
「魔法って魔法使いの家系に生まれたら、小さい頃から使えるの?」
「いいや、そうとも限らない。純血に生まれながらも魔法が使えない出来損ないだって居る。そいつらは(スクイブ)と呼ぶんだ。」
「スクイブ?いかにもイギリスらしいのね。お母さんがイギリス人は身分にうるさい〜気をつけなさいって言っていたわ」
「当然だ!社会を成り立たせるためには序列が必要だ。父上はいつもそう仰っている!」
いつもの調子でドラコは主張した。
「魔法使いは衰退する一方なんだ!なぜかって?力を持たないマグルなんかと付き合い、血を汚すやつらが大勢いるからさ。残された純血である僕たちが、どんなに貴重な存在か、貴様には想像もつかないだろうね!!」
「・・・・そうね」
予想外の言葉にドラコは言葉を切った。
相手はグリフィンドールだ。これ以上話していてはまずいと感じ、ポッター達ならすぐ頭に血が登って怒り出すような物言いをしたつもりだった。
しかし帰ってきたのは『理解』だった?
「貴重なのは確かかもしれない。でも、血に縛られたら、生き物は必ず滅びるわ。この国のマグルの歴史を知らない?多くの貴族や王族が血を守ろうとして近親婚を繰り返し、やがて劣化して絶えていったわ」
冷静な眼差しで、じっと見つめてくる大きな瞳に見惚れてしまい、ドラコは見つめ返すしかできないでいた。
「マグルにだって優れた文化や血統がきっとあるのよ。ハーマイオニーは誰よりも努力家だし、魔法もセンスがあるわ!沢山お話すれば、私達みたいに分かり合えると思わない?」
「私たち??」
分かり合える?何の話をしているんだこの女は。
「だって私達、もう友達でしょ?」
「友達だって?!何でそうなるんだ!第一僕等はスリザリンとグリフィンドールだぞ…」
「何回も私が居るのを知っててここに来てるじゃない。グリフィンドールなのに。私はここで、あなた以外と話をしたことはないの。誰も来ないもの。
それでもこうしてドラコは来て、私の顔を見て沢山お話してくれる。それって友達だからじゃないの?」
そうなのだろうか。ドラコはわからなくなっていた。確かにグリフィンドールの彼女がいるかもしれないと、いつも思いつつここに来ていた。別に会いたいんじゃなくて、他に理由があってだ。
そう思い込むようにしていた。しかし‥
本当にそれだけだろうか。
「僕は‥‥よくわからない?ただ用事があってたまたま来ていただけだ」
小さくなってしまった語尾に、まったく説得力はないだろう。
本当にそれだけだったのか。
「私は、ドラコの青い瞳、綺麗で好きよ。」
「っっ」
「こうして言葉にしたら、伝わるでしょ??」
完敗だった。きっとこの時、僕は完全に彼女に堕ちてしまった。
ドラコは敗北感に頭に血が上るのを感じつつも、今までにない感覚に戸惑った。
心の底から腹が立つ相手はとの会話とは違う。
心地よい温かい何かが、確かに自分の中に生まれつつある。
「‥‥‥僕も・・・お前の、目を見てるのが、好き、だ」
二人の距離は、急速に縮まっていった?