五章
貴女のなまえは?
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材料を全て混ぜ終え、後は煮込み時間が満たされれば出来上がる。
順調に混ざり合った薬は鍋の中でぐつぐつと出来上がりを待っている。
シオンは簡単な薬なので特に心配もせず、ネビルも安心したように時折鍋の中をのぞき込んでいた。
「いい感じだね。シオン、次のホグズミート行くの?」
「うん、行くつもり。魔法使いの村なんて、ダイアゴン横丁しか知らないから楽しみ!」
「そうだよね!僕もハニーデュークスのお菓子屋さん行くのがすっごく楽しみなんだ!!」
ドンッ ぽちゃん・・・
「あっ」
「え??・・・いけないっっ」
興奮したネビルが腕を少し動かして、傍にあった材料が一つ飛んでしまい、鍋の中に綺麗にダイブした。
子気味いい音がした鍋は瞬時に色を変えてぶくぶく泡立ち始めた。
その変化を見たシオンは慌てて別の薬品を手に取るが・・・
ボンッ!!
時すでに遅し。
鍋は思いきり爆発して割れてしまった。
「何事だっ!!」
音に気づいて真っ先にスネイプが黒いマントを翻して飛ぶように駆けつけた。
周囲の生徒たちも何事だと一気に視線が集まる。
「あ・・・あっシオンっ!どうしよっ・・・けがっ」
「大丈夫だから、ネビルは無事?」
「う、うん。ごめんっ僕のせいで!!」
その場には割れた鍋、布を持って慌てる無傷のネビル、左頬から目元を押さえているシオンがいる。
爆発することを悟ったシオンはとっさにネビルにそこにあった実験器具用の布をネビルに掛けたのだった。
そのおかげでネビルは無事だったが・・・
シオンは未完成の魔法薬を被り、服も破れ顔が半分近く腫れてしまっていた。
女子たちはわが身に掛かったらと思うと恐ろしいと、口元を覆って悲鳴を上げていた。
「シオンッ!直ぐに医務室に行かないと!!」
ハーマイオニーが直ぐに駆け寄った。
「下がりたまえ、ミス・グレンジャー」
それに待ったをかけたのはスネイプだった。
「薬品を作るのにはまだ時間がかかる。吾輩が医務室に連れて行こう」
まさかのスネイプ本人が、シオンを医務室に連れていくという・・・スリザリンの寮監がグリフィンドールの生徒をだ。
恐ろしいモノでも見たように生徒たちは言葉を失った。
「あと一歩のところで調合が台無しになった。それだけでなく生徒に大けがを負わせるとは。グリフィンドール50点減点!」
「そんなっ」
ネビルは絶望を浮かべた。
しかしそれだけのことをしてしまった自覚も、ネビルにはあった。
周囲も、これについては仕方がない・・・と感じてしまう者もいた。
グリフィンドールの生徒の中で、ハーマイオニー以上に魔法薬が得意なシオンの実力は、同じ寮の生徒なら誰もが知っているほどだった。
そのシオンがついていてくれてこれでは・・・失敗は誰でもすることだが、それでシオンがこんな大けがを負う必要性は全くなかったわけであって。
いつもなら意義ありな視線をスネイプに向けるグリフィンドール生たちも、こればかりは目を伏せて納得せざるを得なかった。
「・・・しかしミス・イズミの対応は見事だった。とっさの判断でロングボトムを遠ざけ布を被せて守ったことで被害が最小限だった。本来なら二人とも大けがだった。よって、グリフィンドールに50点与える」
「え??」
つまり、プラスマイナスゼロ。
まさかの加点にもう一度、今度は部屋全体に沈黙が走った。
入学して三年目になる彼らだが、スネイプがこんなに過大な加点をするのを見るのは初めてだったのだ。
恐ろしいものを見た、と表現した方が正しいかもしれない表情の者すらいる。
「以上。吾輩が戻るまでに、各自魔法薬を完成させておくように。また爆発が起きた際は覚悟するのだな・・・?」
ぎろりっと鋭い視線を送ってけん制すると、スネイプはシオンを支えながら教室を出ていった。
