四章
貴女のなまえは?
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その日の夜、マルフォイ邸で、ドラコは父の書斎を訪れた。
「失礼します。父上、少しよろしいですか?」
「ドラコか。入りなさい」
穏やかに迎えてくれた父に安心して、ドラコは室内に入った。
難しそうな分厚い本が並んだ本に埋め尽くされた書斎。
(ここの本を見たら、あいつは喜ぶのかな。・・・待て!何を考えれいるんだ僕はっ)
カチャッ
音に後ろを振り返ると、父のルシウスが書斎のドアに鍵をかけた音だった。
「・・・・・・」
「なにか話したいことがあるのだろう?ドラコ」
視線を合わせることなく、ルシウスは息子に問いかけ、室内をゆっくり歩きだした。
「はい。今日、ノクターン横丁で出会った娘にはその後、新しいマントを買い与えました」
「よろしい。英国紳士としての相応しい姿だな、ドラコよ。
・・・しかしあの娘は、スリザリンではあるまい?」
聞いてほしくなかった質問に、ドラコの心臓と同調するかのように肩が大きく跳ねてしまった。
「・・・はい。グリフィンドールです」
「そうか・・・」
少しの間沈黙が続いた。
「ちなみに聞くが、どのようにしてグリフィンドールの女子と親しくなることがあるのだ?」
「・・・父上、親しくなどしていません。一年生の時にたまたま城の裏庭で出会って、あいつは日本から来ていて、英国にはまだ慣れれておらず、そこで一人で過ごすのが好きだと言っていました。
学校内の人前で、話しかけたことも話したこともありません」
「ふむ、それはまるで“秘密の関係”とでも言えそうではないか?」
「っっその様なことは。けどあいつは、日本でも由緒ある魔法使いの家系だと言っていました。確か陰陽師とかいう」
「ほう。占いや星読みをする東洋魔術を扱う家系だと・・・?」
「はいっ。スリザリンではありませんが、血統は確かです!」
「しかし純血ではあるまい??」
「それはっ・・・そうですが」
言葉に詰まる息子に、ルシウスはニヤリと微笑んだ。
しかしどこかそれは、いつもの意地の悪いものではないように見えた。
「フッ、ドラコよ。マルフォイ家の跡取りとして、常に恥じない行いを心掛けなさい」
「はいっ、父上」
「それから、今度あの娘、気になるのならうちへ招いて構わぬぞ?」
「よろしいのですかっ??!あ・・・」
諦めていた質問だっただけに、ドラコはつい自分の失言に顔を赤くした。
「あの娘も、きっと本が好きなのではないか?我が家の自慢の書庫へ案内して差し上げなさい」
「・・・その通りです。いつも本ばかり読んでいて、魔法薬が得意で、スネイプ先生も一目置くほどです!」
「ほう・・・そうなのか・・・。
そろそろナルシッサが姿が見えないと心配するだろう。行ってあげなさい。もうすぐまた、しばらく会えなくなるのだからな」
「あ、はい。父上・・・その、ありがとうございました」
「ただし、“今だけ”ということを忘れてはならぬぞ?」
「っ・・・彼女はそんなのではありませんよ。ただの友人です」
そう言って、ドラコは書斎を後にした。
ドアが完全に締まり切るのを確認し、息子の足音が遠ざかるのをしっかり確認したあと、ルシウスはそっとつぶやいた
「彩夏・・・君をまた思い出すことになるとはな。」
END
2026.5.21
