三章
貴女のなまえは?
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(何を話したらいいかわからないけど、もっと話したいような)
「あ・・・も、漏れ鍋に行きたくて、実家から煙突飛行してきたんだけど、失敗しちゃってここにいて。ここはノクターン横丁なの?」
「ああそうだ。よく知らない子どもが彷徨いていたら、攫われてしまうことがある。女の子ならなおさらだ。早く出た方がいい。」
そう言って、ドラコはシオンの腕を掴むと踵を返して歩き始めた。
「っ?!ちょっっとまってっ」
浴衣の下に履いていたのは下駄のため、走るのはもちろん早歩きも難しい。
そんなものを知らないドラコが平然と強めに手を引いたせいでシオンはバランスを崩し倒れ込んだ。
「きゃっ」
「っイズミ!」
ドラコもすぐ異変に気づき、シオンを支えるために腕を伸ばした。
おかげでシオンは硬い石畳の道に倒れずに済み、ドラコに抱きとめられる形になった。
「っ////」
浴衣越しにドラコの体温を感じ、シオンは心臓がうるさいくらい高鳴り、少し苦しいくらいだった。
半年前に抱きとめられた時を思い出したが、今は浴衣姿ゆえにあの時より体温を直に感じられてしまう状況。
ザワザワ
すると突然、沢山の人が近づいてくる気配をドラコが感じとった。
「まずい、魔法使いの軍団だ。」
「軍団って?」
「見つかったら生贄にされるぞ」
そう言ってドラコは建物の壁を向いて、少し小さいシオンの身体をマントの中に隠して頭を抱えるように抱きしめた。
「ドラコ////」
「静かに。しばらくこうしてろ」
ドラコの息を潜めた話し方に、シオンも習うしかなく、大人しくされるがまま、ドラコの胸に顔を預けた。
どくん どくん
そこで気付いた。
ドラコの胸の音も、自分と負けないくらいうるさいものになっていることに。
少し下にあるドラコの心臓の位置、ちょうどシオンが手を置いた場所から伝わってくる小さいけど確かな衝撃に、少し思ってしまうことがあった。
(ドラコも、ドキドキしてる?私みたいな女でも、緊張したりするのかな)
シオンがそんなことを考えている上で、ドラコは熱を持って真っ赤になっているであろう自分の顔を、腕の中の彼女に見られまいといっそう腕に力を込めるのだった。
そうすることで、自分の心拍数があがってしまうことを恨めしく思いながら。
まさかこんな所でこいつに会うなんて思いもしなかった。
新学期の買い出しのついでに、父上の用事で少しだけノクターン横丁に立ち寄るだけで、子どもが彷徨いていては行けない場所のため直ぐ立ちさる予定だった。
外で待っているように言われ、目立たないように建物の影に居たら、見慣れない格好をした自分と同じくらいの子どもが居て。
何をしてるのかと遠目に見ていたら、振り返り顔が見えた。
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