三章
貴女のなまえは?
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「あ・・・」
空になった手をしばし見つめてドラコは呆然とする。
彼からしたら、紳士として当然のことをしたまでだろう。しかも日本と違ってこっちの人はスキンシップがいささか過激だ。
親子はもちろん仲良しの友達にもキスまではしないが、頬を摺り寄せる挨拶をする姿を駅や街中でよく見かけた。
学校で友達同士というのはあまりないが、恋人同士はまるで周囲に見せつけるように頬にキスを贈っている。
「た、たすけてくれてありがと!も、もうっだいじょうぶだから!!」
「‥どういたしまして。‥で?箒に乗れないお前はどうやってその薬草を乾燥させるんだ??」
「うっ‥‥どうしよう。暖炉の側なら乾くかな?」
うっかり乾きすぎて燃えないように気をつけないといけないが。
使い物にならないほど乾燥させてしまっては意味がない。
この薬草は少し特別で手には入りやすいが、2年生ぐらいが扱うものでは本来ないもの。
授業で扱うにも精々5年生くらいからだろう。
しかも暖炉があるのは談話室、上級生や監督生に怪しまれないかが心配だ。
(どうしよう・・・)
考えを巡らせていると、ドラコが杖を取り出して薬草に向けて動かしている事に気づいた。
あれ??
「乾いてる??」
先程までと違う質感、水分のない軽い状態。
しかも色は鮮やかなままで非常に状態のいい薬の材料に仕上がっている。
「マルフォイ、これどうやったの?」
「イギリスは雨が多いんだ。純血の英国紳士として服が濡れても直ぐに乾かせるように父上から教わった。いつまでも濡れたままではみっともないからな」
(純血・・・)
「・・・純血ってどういう意味なの?ハーフとは違うの?」
本当は知っている、お母さんから沢山話は聞いてきた。
けど、こう話した方が、マルフォイはよくしゃべってくれると思ったから。
もっと話していたいと思ったから・・・という思いはこの時はわからなかった。
「純血とは、父上と母上のように両親とも魔法使いの家系のことさ。大抵の魔法使いはマグル出身のやつがいて、マグルの血なんて一滴も混ざっていない純粋な魔法使いの血統。つまり僕のような、な!」
「ドラコにとって、それは誇りなの?」
「もちろんさ!誇り高い我が一族は、代々純血の家系と婚姻を結ぶことで純血を守ってきた。それなのに、今では24の一族しか純血は残っていない。マグルの力を持たない血を入れて、他の奴らは魔法界の面汚しだ。」
「・・・かわいそうね」
「何??」
自信満々に話すドラコの耳にはわけの分からない言葉だった。
「それって結婚は、純血の人としかできないのよね?
じゃあドラコは、愛する人と一緒にはなれないんでしょ?」
ーーそれはすごく悲しいことだと思うわーー