二章
貴女のなまえは?
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(私もマグルだったら、ドラコはあんな風に話してはくれなかったのかな。きっとそうよね。)
考えているとなんだか心の中がもやもや、悲しくなってくるとは少し違う何かがこみ上げてくるので、シオンは考えるのをやめて今度こそ薬を失敗しないようにハリー達の会話は聞かないようにした。
「・・・・・・・・・」
ずっと何かを話してる。耳を傾けたい好奇心に蓋をして無心で調合を終えた。
「・・・できたよロン。これ飲んで?」
サラリとしているがツンとする臭いの液体に鍋をのぞき込んだロンは青白い顔を更に歪めた。
「臭いは悪いけど、これは確か味はしないってお母さんが言ってたはずよ」
「味のしない薬??こんなきつい臭いなのに・・・」
「味がしたら、また吐いちゃうからじゃない?ほら、スプーン一杯ぶん飲んで」
シオンの差し出した大きな匙を見て一瞬青ざめたロンだが、意を消してガシッとスプーンを掴んで素早くすくってグイッと飲み干した。
「っっっ~~~・・・・・・
本当だ、味がない」
「暖かいお湯みたいでしょ?・・・じゃあ、私図書室に行く途中だったから」
そう言ってシオンは手早く荷物をもって小屋から出ていった。
「すごいや!さっきまで気持ち悪かったのが嘘みたいだ!!」
「でも一時的なものだから、まだ動かない方がいいわよ?!」
「[#dn=1#]ってすごいね。まだ2年生なのにいろんな薬知ってるし、作るの失敗したのも見たこと無いし」
「なんじゃお前さん達知らんのんか?[#dn=1#]の母親はホグワーツ始まって以来の魔法薬の天才だったんだぞ!」
「「「ええっ!!」」」
「まあ、今ではスネイプ先生の方が上だろうが、それでも学生の頃は断トツでチヒロが一番だった」
ただでさえ珍しい東洋人の[#dn=1#]の母親が魔法薬の天才。
三人は新たな情報に少し、いやかなり友人の印象が変わっていくのを身に染みて感じていた。
「なんか意外ね。[#dn=1#]って優秀だけれど、魔法界にはそこまで興味ないみたいに見えるもの」←人見知りのせい
「確かにね。そういえば[#dn=1#]って、あまり談話室にいるの見ないけど、ベッドに居るの??」
「いいえ?どこにいるのか私たちも気になって聞いてみたんだけど、秘密って、教えてくれないの」
「そうなんだ・・・[#dn=1#]ってなんだかミステリアスな子だね」
「・・・結局、戻ってきちゃったな」
行き場を失った[#dn=1#]は図書室に行く気にもなれず、先ほど聞いたことで頭がいっぱいのまま、いつもの丘に来てしまった。
なんとなく誰とも会いたくなくて戻ってきて、同じ場所にまた座ると、さっきの言葉が頭をぐるぐる回った。
「穢れた血・・・」
いかにもスリザリンらしい言葉で納得してしまうけれど、友達が口にしている言葉と思うとやはり悲しくて。
両親とも魔法使いじゃない人、ということは自分は当てはまらないのかもしれないけれど、母はきっとそういうことになったんだろう。
おじいちゃんとおばあちゃんが魔法使いだったという話は聞いたことがない。
父は安倍晴明の末裔だから、ある意味それは純血・・・とは違うけれど血は守っている。
でも魔法界のように両親ともずっと魔法使いなんてことはないと思う。
「文化の違いって難しいな」
それをずっと守っていこうとするイギリス人の文化ってすごい。
ハーマイオニーみたいに悲しい思いをする人もいる。
沢山の犠牲の上に成り立っている文化なんだろうな、純血主義って。
なんだか急に日本が恋しくなってきたような気がして、今年のクリスマス、日本に帰ることが待ち遠しくなってしまった。
end.2025.5.16