2nd
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「大丈夫か?ローズ」
かがんで自分に手を差し伸べてくれる人は、1人しかいない。
低い落ち着いた、大好きな声。
細くて長い、でもごつごつして鍛えられている指先、掌。
「くにっ・・・手塚君、ありがとう」
お礼の言葉を述べながら遠慮気味に手を取って引き起こしてもらうと、彼は軽くため息をついて、距離を詰めたまま頭をポンと撫でてくる。
「2人の時は名前で呼ぶ約束だろう。わざわざ言い直すな」
「だって///誰が見てるかわからないし・・・」
不安そうに俯いてそういう恋人をひそかに(可愛い//)と感じつつも顔には出さず、先ほど部室で不二に言われたことを思い出す。
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『手塚も気づいてるんじゃない?君と星野さんの関係は、青学の生徒ならだれでも知ってるって』
『・・・そのようだな』
『本人たちは隠してるつもりかもしれないけどね?そのままでも十分かわいい星野さんが、手塚の前だと100倍可愛くなってしまうんだから、仕方ないよねv』
『////』
『オーラを隠し切れないのも困ったものだよね』
それについては、持って生まれた人を惹きつける才能なのだろう。
実家が芸能事務所で、同じく美形の三つ子の弟と妹もその世界で生きていこうとしているらしい。
『妹と弟が芸能人だからな。目立つことは避けたいらしい』
『星野さんもテニスプレイヤーとして、有名になりつつあるしね。可愛さはもちろんだけど実力も確かだし。でもそれだけで、星野さんには関係ないよね?彼女が学校で目立ちたくない理由は、他にあるんじゃないかな?』
『・・・わかっている』
ローズは見た目からは天然と言われることが多々あるが(否定はしない)、その実とても慎重でこちらが気付かない範囲でもあちらこちらに手を回して周りを助けてくれることがある。
生徒会の仕事は特にそうだ。
会計の資料、各委員会の報告、各部、行事の詳細など自分が着手する前にいつも資料をあらかたまとめてくれている。
部長としての後輩からの相談や、仲間への配慮も、それに自身のテニスへの情熱の追及も忘れていない。
そこまでこなす彼女が、自分の色恋沙汰を隠したい理由は、周りから孤立するとか、嫌がらせを受けるとかそんな単純な理由ではない。
『きみがいいなら、堂々としたらいいんじゃないかな?』
『一度話したことはある。目に見えてひけらかす必要はないが、隠す必要もないんじゃないかと。ローズが他の生徒から何かされている様子は無いしな。
・・・・・・だが、いろんな男から親しげに話しかけられているのは正直気分が悪い』
遠い目をする友人に不二は吹き出しつつ笑みを深めた。
『ハハッ、確かにそうだね。だから手塚としては、”自分の女なんだから手を出すな”って、周りに知らせたくなるよね』