dark Knight
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誰もが寝静まった街灯が照らす夜道、悪魔の絶好な狩場であるその場所に一人の"幼女"が通りかかった。金髪で宝石のような美しいスカイブルーの瞳で、子供ながらに何処か大人びていた。
なぜこんな夜中に子供が一人でいる・・・
悪魔か?いや、魔力は感じない・・・ただの人間だ。
「待て」
「・・・」
「あまり子供が夜中に一人で歩き回らない方がいい。最近ここらの近くで人が何人も消えたそうだからな」
「・・・そう。態々忠告ありがとう」
ふとその幼女の事が気になったVは、彼女を呼び止め、早く帰る様に忠告をした。幼女はVにお礼を言うと、再び歩きだした。
タトゥーから鳥型の悪魔グリフォンが出てきて立ち去っていく幼女の後ろ姿を見て呟く。
「なんだ?随分とマセたガキだな」
「妙だ・・・」
「妙って、あのお嬢ちゃんの事か?」
「違う、先程まで感じていた悪魔の気配がまったく感じない」
本を閉じ、Vはそう言った。
そう、先程まで感じていた複数の悪魔の気配が消えていたのだ。
悪魔の気配が消えたと言う事は何者かが悪魔を倒したと考えられる。人間相手に悪魔は逃げ隠れするとは思わない。
「そういやそうだなァ。ダンテちゃんがやっったのか?」
「近くに銃声は聞こえなかった。奴の仕業だと言うのは考えにくい」
その時ふと、Vの頭に先程の幼女が過ぎった。
「まさか・・・あの子供」
「おいおい、まさかさっきのお嬢ちゃんが悪魔をやったと思ってんのか?あんなガキが悪魔を相手にできるとは到底思えねェぜ!」
グリフォンの言う通りあの幼女はどう見てもただの子供だ。悪魔を倒す力を持っているとは考えにくい。
考えすぎか。
そして次の日の夜、歩き続けてしばらく経った頃、悪魔の気配を感じ取り足を止めた。
すると、Vの背後に巨大な悪魔が地面から生える様に現れた。真っ赤なブニブニとしたグロテスクな体から触手を生やし、目は肉で覆われている。
触手が勢いよくVに襲いかかるが、Vは触手を避ける。
「グリフォン」
「あいよ!」
グリフォンを召喚し、グリフォンは襲い来る悪魔から伸びる触手を雷で包み弾く。
触手は雷で焼き切れ、地面に落ちる。
「なんだこいつ、全然歯ごたえがねェな!ゼリーみたいに柔らけェ!」
「油断はするな」
「わーってるって!」
そして次にシャドウを召喚し、シャドウは尾で作り上げた刃で迫りくる触手を次々と斬り落とし、全ての触手がなくなった。
「オラッ!これで終わりだ!」
最後にグリフォンが雷で悪魔を包み、そのまま弾き、悪魔は力尽き倒れた。
「ほら、今のうちにトドメ刺しちまえよ」
「言われなくてもそうする」
そう言ってVは悪魔に近寄り、止めを刺そうと杖を振り上げた。
その次の瞬間、悪魔の体から触手が生え、Vの手首に巻き付いた。
悪魔が動き出したのだ。
「Vちゃん!」
すぐ様グリフォンとシャドウが助けに入ろうとするが、切り落とした触手が動き出しグリフォンとシャドウに巻き付き2匹は拘束された。
「ッ!クソッ!離しやがれッ!」
杖は落とされ、次々とVに触手が巻き付き、両腕は一つに拘束され吊るし上げられた。逃れようにも触手によって拘束されているため手も足も出ない。
バチンッ!!
「うあっ!!」
「V!」
触手が鞭で叩きつける様にVを攻撃した。
バチンッと何度も肌を打ち付ける音が響き、Vの体が傷だらけになろうとも、触手の攻撃は止まらない。Vは為す術もなくただ悲鳴を上げることしかできない。
グチュ!
「んっ!?」
やっと触手の攻撃が止まったかと思った途端、口に触手を入れられた。喉奥まで突っ込まれ、謎の液体と共に多くの小さな粒が流し込まれる。
これは・・・卵か?
その時・・・
ドーン!!
「ガアアアア!!」
何処からともなく黒い魔力玉が飛んできて悪魔に直撃した。その拍子に拘束が解けVは地面に落とされる。
「ごほッ!ごほッ!ごほッ!っ・・・はぁ・・・」
「V!大丈夫か!?」
いつの間にか触手から開放されたグリフォンとシャドウが咳き込むVに駆け寄る。
「ッ・・・今のは」
「言っとくけど俺たちじゃねぇよ。あの女がやったんだ」
「女?」
グリフォンが嘴をクイッと後ろの方にやるのを見て振り返ると、悪魔の前に黒衣を身に纏った白髪の女が立っていた。
女の右手には魔力を帯びた黒剣が握られている。
悪魔は唸り声を上げて女に向かって触手を伸ばし襲いかかってきたその瞬間、一瞬にして全ての触手を斬った。
しかし、悪魔は触手を再生させ再び女に襲いかかる。
人間離れした身体能力で悪魔の攻撃を避け、触手を斬り落とし、悪魔の首を斬った。そして悪魔は倒れ、灰となって散り散りに消えた。
あの女は・・・いったい・・・
女は、一度だけこちらを見た後その場立ち去っていった。Vは立ち去る女を引き止める様に手を伸ばす。
「待て・・・うっ!おぇぇぇ・・・ッ!」
突然もの凄い吐き気を感じ、その場で嘔吐してしまった。吐き出したのは先程悪魔に飲まされた卵だ。
「おいおい!大丈夫か!?そういや卵飲まされたんだったな!全部吐き出せたか!?」
「ッ・・・まだ残ってる。それよりあの女を」
「助けてくれた礼を言おうってか!?そんな事は後にしろ!早く吐き出さねェと腹ン中で還ってヤベェ事になるぞ!?」
「ッ・・・!」
強い吐き気と身体の気だるさで動けない・・・
あの女の姿はもうなく、結局追いかける事はできなかった。